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ぶらりウィーン旅行2日目(森と庭編)ハイキングと宮殿散歩

肌寒い朝8時に目が覚めた。9月半ばでも田舎の朝は寒い。

昨日、夜の丘散歩から帰り21時から死んだように寝続けていたらしい、仰向けで腹の上で手を組んだ体制で目が覚めた。

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キッチンで今日の分のご飯を用意する。ニョッキに瓶のソースと小魚を絡めたものをタッパーに入れ、小さいチーズとリンゴ、瓶のままの白ワインを鞄に詰める。小型犬が足元で餌を求めているが、シェアメイトの男が起きるまで我慢してもらう。

これから歩くハイキングコースの道順をざっと確認する、今回のハイキングコースはこのサイトで情報を得た。世界中のハイキングやトレイル、マウンテンバイクのコースがシェアされている。

展望台を目指し森へ

Jubiläumswarte (ユービラウムヴァーテ、記念展望台)を目指して家を出る。

家が並ぶ坂道を抜けて森に入ると背の高い木々に一気に囲まれる。朝の薄い光が深緑の葉や湿った地面を照らす。

しばらく進むと一気に視界が晴れ小高い草原に出た、空と芝生で一気に視界が埋まる。ひたすら芝生の丘を登り上まで来ると小さい子供と父親が遠くの街を眺めながらパンを齧っていた。そのまま進むとランニングコースに合流し、走り込みをしている人たちの端を歩く、脚の筋肉のつき具合でトレイルランの人達だと予想する。

そこから本格的な森の分岐点があり、地図を確認してから目的地の展望台へと向かう。

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森の中の道を歩くと鳥の声がより増える、たまに向こうに見える道路を車が走るとタイヤとコンクリートの音がごぉぉと響くが、車が通り過ぎて行ってしまうとすぐに森の静けさが広がる。落ち葉や枝を踏む音が心地いい。

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秋口に差し掛かった葉はとても深い色をしていた、これから黄色に変色し枝から落ちるんだろう、5月の若い緑とはまた違う大人びて落ち着いた緑だった。美しくてとてもセクシーな森。

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すれ違う人は皆ストックを持って歩きやすそうな格好をしているが、対照的に私はロングコートとワンピースで歩いていた。自然と人間の摩擦を感じる事でより自然を体感する目的である。

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森の写真は私のウェブサイトに掲載しているので気になる方は是非。

Jubiläumswarte (ユービラウムヴァーテ、記念展望台)

11時過ぎ、目的の展望台に着く頃には嬉しいことに曇り空が青空に変わっていた。子供連れの家族やリュックを下ろしてストレッチをしている老人、瓶ビールを飲んでる人達で展望台の周りはゆるく賑わっていた。

人1人が登れるくらいの螺旋階段をひたすら登りたどり着いた頂上から見たウィーンの眺めはひたすらに続く緑だった、街がある方向には背の低い建物が集まっているが街の小ささに驚く。日本のような標高の高い山もほとんどないので、ひたすらなだらかな木々が波を打って続いていた。2年前に見た六本木森タワーからの東京の眺めや、地元東京御岳山からの眺め、カナダバンフの湖と山やオーストラリア、タスマニア島でのワインベイなどの様々な眺めを思い出す。同じ地球なのにどの街も地形や風土の違いがあって面白い。

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Jubiläumswarte (ユービラウムヴァーテ、記念展望台)に行くと日本の諺「バカと煙は高いところが好き」ステッカーが見れるので行った方は探して見て欲しい。"どんなに頭が良い人でも死んだら高いところに行くというのなら、みんなバカでいいじゃない" というステッカー。

森でご飯

展望台から降り、道を下って行くと昨晩散歩した道にたどり着いた。ここからは街まで出るためのバス停までの行き方もわかるので、森の中でランチを食べて駅まで向かうことにしよう。

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朝用意したニョッキ、リンゴ、チーズを切り株に腰掛け食べる。夕方用に少し残しておいて、ワインはコップがないのでそのままちびちび飲んだ。

手の行き届いたシューンブルン宮殿の庭

ヒュッテル村駅に着きどうしようか考える。16時半に美術館で行われる植物アーティストLois Weibergerの作品展、解説ツアーに申し込んでいるがそれまで3時間ほど余っている。

その間観光地としても有名なシューンブルン宮殿に行くことにした。元宮殿の庭は広く手入れが行き届いていて不思議の国のアリスの庭を彷彿とさせる。敷地内の丘を登ると左右対称の美しい庭が楽しめ、その奥に広がる街が見下ろせる。

宮殿の建物内は有料だが、庭スペースは無料で入れるのでウィーン旅行に行くのなら訪れる事をお勧めする場所だ。

去年の夏に友達と一度訪れた際に歩き回っているので、今回は1人気ままに散歩することにする。

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夏も終わった9月中ば、この情勢もありだいぶ静かかと思ったが観光客で賑わっていた。ヒュッテル村の森はあんなにも静かだったというのに。

中央、宮殿の正面には左右対称に整えられた庭が広がり、そこをそのまま真っ直ぐ歩くと大きい噴水がある。そこから丘をジグザグに登り頂上まで歩く。

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眼下に庭と宮殿、街が広がる。

この頂上にはカフェがあり、ザッハトルテが楽しめるので訪れた際は是非。

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こうして短時間で森と人工的な庭の両方を味わったことで「私は手つかずの森が好きで人工的な庭はあんまりだなあ、」と思いながら宮殿の庭を歩いていた。しかしその感情にどこか違和感があり、ベンチに座って考える。

手つかずの森、手入れされた庭

手つかずの自然が好きで人の手で整えられた庭は好きじゃない、というにはとても傲慢でエゴがあるように感じる、なぜだろう。

これは私が最近掲げているバランス、というテーマに当てはめるととても簡単に解けた。

相反しているように見える森と庭も、根源は同じものであり植物の美しさがそこにはある。表層的な好みはあったとしても、根源理解をしていれば一方を嫌ったり蔑んだりすることはできないはずだ。森と庭、自然と街、生と死、対極にある物は全て同じでお互いがあることでより美しく輝く。

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シューンブルン宮殿にきてよかった、歩き疲れたので早めに美術館に向かい、周辺の公園で休みつつワインを飲もうと思う。

次回は「ヴェルヴェデーレ近代美術館、緑じいさんロイスワインバーガーの展示ツアー」について。