見出し画像

溶けた氷の下のゴミ、川に浮かぶ油

先週からいきなり気温が上がり、太陽が顔を出し、積もった雪はものすごい勢いで溶け、砂利だらけの地肌が出る。歩く人たちの着てる服も明るい色が増え、自分も水色のジージャンを久しぶりに羽織る。寒くて孤独で贅沢な冬が終わったのは嬉しいけども少し寂しい気もする。

絵描き仲間が日本に帰るのに、ベルリンで事前検査を受けるために私の家に一泊し早朝に見送った。まだ静かな朝、川沿いを散歩する。川に張っていた氷の一部が溶け始め、水面が所々現れていた。今まで真っ白に美しく凍っていた表面から一変、その下に隠れていたゴミやどこからか来た油が幕を張って浮いていた。

画像3

七色に反射しながら浮かぶ油。

私の観察上、白鳥は意地でも氷の上を歩かず氷に囲まれた狭い水面にじっと浮いて冬を過ごしていた。氷が減って増えた水面を優雅に泳いでいるのを眺める。

ある一角の狭い水面に沢山のゴミと油が固まって浮いていて、一瞬ためらった仕草のあと白鳥が泳ぎ進める。水面下の水を蹴る足はゴミが邪魔で泳ぎ辛そうで、白い体には茶色い油がついていた。

画像1

少し歩き進めると、スズメや小さい鳥の鳴き声が近くに沢山聞こえ、見上げてみると川沿いに並んだ木々の一つ一つに鳥小屋が設置されていた。小さい鳥達が木の枝と鳥小屋の周りを行き来して飛んでいる。

20210221小山

ベルリンはドイツの中でも異質な街でゴミも多い。ドイツ人の友達は、ベルリンのゴミは気にするだけ無駄だと言っていた。それでもエコへの関心も強く自然を愛している人もとても多い。無農薬を愛しプラスチック製品を嫌うのはスタンダード。

私が今日見たものは、人間が動物でなく人間であるということ、地球と人間の関係性というものを含んでいるんではないかと思った。相対する二局のものからなるバランス。生と死、孤独と愛、陰と陽。でもどう考えても人間の地球に対するバランスは傾き過ぎるんではないか。知識が少ないので少しずつ勉強したいと思う。

答えもないけど、とりあえず今後はゴミ袋を持って出かけて、拾えるゴミは拾っていこうと思う。