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なぜ、他人を変えたいと思うのか?(1)

こんにちは、マインドコーチのゆりです。

私たち人間は、自分のありのままの姿を受け入れてほしいと願う一方で、他の人には「こうあってほしい」「ああなってほしい」と望みがちです。

この「変わりたくない自分」と「他人を変えたい自分」という矛盾した願望は、人間関係の中でストレスや葛藤を生み出します。

なぜこのような相反する心理を抱えてしまうのでしょうか。

今回は、その背景にある要因について、いくつかの視点から探っていきたいと思います。




心の中の二つの願い


心地よい日常を守りたい気持ち


変わりたくないという思いは、今の状況を保ちたいという自然な欲求から生まれています。

例えば、「性格や価値観を変えたくない」「慣れ親しんだ生活リズムや習慣を続けたい」など、多くの人が「居心地の良い場所」を守りたいと感じるのではないでしょうか。

この気持ちは、想定外の出来事や状況の変化に対する不安から自分を守ろうとする本能的な反応の一つと考えられます。
私たちは無意識のうちに、安心できる環境にとどまろうとするのです。




周囲をコントロールしたい気持ち


他人を変えたいという思いは、周りの環境をコントロールしたいという欲求の表れです。

例えば、「子どもに自分の期待通りの進路や人生を歩んでほしい」という願望や、安心感を得るために相手の行動や選択を管理したくなる気持ちは、このような欲求から生じるものかもしれません。

その根底には、周囲の状況を自分にとって都合の良いようにしたいという思いがあります。
無意識のうちに望む方向に物事を進めようとするのです。

しかし、他人の行動や考え方を完全にコントロールすることは不可能であり、このような働きかけは相手の反発を招きやすく、信頼関係を損なう可能性があります。



理想と現実のズレ


他人に対する理想像と現実の姿との間にズレが生じると、変えようとする気持ちを抱くことがあります。
この「理想像」は多くの場合、私たちが勝手に思い描いたものに過ぎません。

そのズレに直面したとき、「期待に沿った行動をしてほしい」「願いを叶えてほしい」といった思いが生まれます。
そして、無意識のうちに自分の価値観を相手に押し付けてしまうことがあるのです。

このような思考や行動は、ありのままの相手を受け入れることの難しさと、理想の姿に当てはめようとする心理が表れています。
結果として、相手の個性や意思を十分に尊重できなくなってしまうのです。



自己防衛の心理


自分を変えることの難しさから、私たちは課題に向き合うのを避け、代わりに他人を変えることで問題を解決しようとする傾向があります。
これは、変化に伴う負担や不安から目をそらし、相手に焦点を当てることで一時的な安心感を得ようとする行動といえるでしょう。

しかし、人にはそれぞれの理由や考え方があり、本当の変化はその人自身が「変わりたい」と思わないと起こりにくいものです。
そのため、周囲の人を変えようとする試みは、多くの場合、思うような結果にならないことが少なくありません。

他人を変えたいと思う自分の姿勢を見つめ直し、その思いを自己成長への意欲に置き換えていくことが、効果的な解決策の一つになるかもしれません。
ただし、これらの傾向には個人差があることも忘れずに、自身の状況に合わせて考えていくことが大切です。


このように、「変わりたくない自分」と「他人を変えたい自分」という構図は、関係性に軋轢を生み出しやすくなります。
では、どのようにこの課題と向き合えばよいのでしょうか。




次回は、人間関係をより良くするための鍵となる「自己理解」について考えていきます。
自分の内面と向き合うための質問を通じて、私たちの行動や感情の背景にある本当の思いを紐解いてみましょう。




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