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アートコンサバター ❇ 写真・詩・備忘録

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    英国でのアートコンサベーションのお仕事を通して考えたこと

記事一覧

≪わたしごと79≫万差の個多

13年住んだロンドンを離れて、6月から拠点を日本に移す. 住む場所も仕事も白紙の、まっさらな帰国. 何故帰国するのかと聞かれるけれど、理由の層が入り組んでいて、日…

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≪わたしごと78≫Happiness と Joy

"喜びの書" というダライラマと大司教ツツの対話を収めた本をしばらく前に読んで、書きかけだったnoteの続きを書こうかなと思う。 幸福論や、幸せって何?幸せになる方法…

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≪わたしごと77≫多様であることってどうして大事?

多様性という言葉が良く言われていて、多様性ってどうして大事かという事について考えるのだけれども、ロンドンに住んでいると、考える前に経験が先に来たりする。 ロンド…

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≪わたしごと76≫コンサベターにまつわる、もろもろの事

コンサベターというお仕事は、文化財や美術品、考古学的資料や思い出の品、そんな多岐に渡るものを修復するお仕事だ。私はそれをロンドンの大学で学び、現在コンサベターと…

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≪わたしごと75≫学びと接合とイノベーションと

デザイン思考、アート思考、STEAM教育など言われていて、アートを通した学びが注目されている。これらはどちらかと言うと、"アートが役立つ" というコンテクストなので、ア…

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≪わたしごと74≫日本人の"もの観"って独特?

美術館で修復のお仕事をさせて頂いていた時、いろいろな種類の "もの" に出逢った。私はちょうど収蔵庫の移転に関われたので、展示されていないひっそりと眠っているもの達…

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≪わたしごと73≫価値とリスクマネージメント

日本人はリスクを取りたがらないと言われる。しかし "何がリスクか" は、コンテクストによって変わって来る。安全と思っていたことが、他の面から見たら実はリスクだったと…

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≪わたしごと72≫オープンな学習回路と本当の意味の「和」

安冨歩さんが書かれた "超訳論語" という本を読んで、思考がかき回された。特に序章に要約して大切な事が詰め込まれていたのだけれど、noteに学んだ事、考えたことを少し書…

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≪わたしごと71≫文化と価値のオーセンティシティー

保存修復のお仕事をしていて、文化ということと価値ということについて考えたりする。どちらの言葉もなんだか捉えにくい。 捉えにくいのはおそらく、それが多様で流動的で…

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≪わたしごと70≫ "楽しい" って切実に大事

最近、"楽しい" という事について考えている。 日本に於いて、楽しいという価値は実際どの様に認識されているのだろうか。楽しいに越したことは無いのだけれども、それは…

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≪わたしごと69≫ Kōgei 2020|工芸・自然・未来 ルーツをツールに

東京国立博物館で9月から開催されている "工藝2020" のシンポジウムが先日開かれた。日本の工芸と自然観という切り口で語られて、沢山の学びとインスピレーションを得るこ…

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≪わたしごと79≫万差の個多

13年住んだロンドンを離れて、6月から拠点を日本に移す. 住む場所も仕事も白紙の、まっさらな帰国. 何故帰国するのかと聞かれるけれど、理由の層が入り組んでいて、日本はやっぱりいいなと思う、という曖昧な感覚だけが残る. 私は日本の文化について、無知だなぁと思う.説明を求められて説明に詰まるのは英語のせいではない.心の底で分かっていないからだ. 他に気になるのは、日本人の日本人嫌いの気.日本なんてとか、小さな島国とか随分卑下したりする.自分の根本的な自信というのは、どうや

≪わたしごと78≫Happiness と Joy

"喜びの書" というダライラマと大司教ツツの対話を収めた本をしばらく前に読んで、書きかけだったnoteの続きを書こうかなと思う。 幸福論や、幸せって何?幸せになる方法というお題がある中、あえて "Joy 喜び" を高齢の2人のおそらく最後になるであろう対面の対談に選んだのは、どうしてなんだろう。  私は昔から"幸せ"という事が、なにか心にしっくり来なくて、"幸せになる"という状態はさらに腑に落ちなかった。ちょっとひねくれているのか分からないけど、例えばサッカー選手になる様

≪わたしごと77≫多様であることってどうして大事?

多様性という言葉が良く言われていて、多様性ってどうして大事かという事について考えるのだけれども、ロンドンに住んでいると、考える前に経験が先に来たりする。 ロンドンには世界中から人が集まっていて、普通に暮らしている中で、ヨーロッパ各国、アフリカ、中東、アジア、アメリカ、南米、沢山の国の人に出逢う。宗教的に定められた服装をしている人もいれば、タトゥーを全身にいれた人もいるし、スーツで電子スクーターに乗って出勤している人もいれば、自分より速いスピードで歩いている目の不自由な方もい

≪わたしごと76≫コンサベターにまつわる、もろもろの事

コンサベターというお仕事は、文化財や美術品、考古学的資料や思い出の品、そんな多岐に渡るものを修復するお仕事だ。私はそれをロンドンの大学で学び、現在コンサベターとして働いている。 日本語では何に当たるのだろうとお話を幾人かの方に伺い、また本を読んだところ、最終的にわかった事は、決まった名前が無いという事である。修復師、修理士、修理技術者などなど、分野によって違う言い方がされていたりする様だ。 ヨーロッパでは、Conservation と Restorationと2軸があって

≪わたしごと75≫学びと接合とイノベーションと

デザイン思考、アート思考、STEAM教育など言われていて、アートを通した学びが注目されている。これらはどちらかと言うと、"アートが役立つ" というコンテクストなので、アーティストを育てる為のものでは無いが、その過程で何かを拾って、つくりたいという衝動に繋がっていけばいいな、とは思う。 思い返せば、小学校の時一番好きな科目は図工だった。課題が出されているので、それを一番に終わらせて、残りの時間で余りの材料をつかって好きなものをつくるのに全力をつかう、ちょっとズレた子だった。

≪わたしごと74≫日本人の"もの観"って独特?

美術館で修復のお仕事をさせて頂いていた時、いろいろな種類の "もの" に出逢った。私はちょうど収蔵庫の移転に関われたので、展示されていないひっそりと眠っているもの達を、点検・修復する機会を得ることが出来た。 ライティングされて展示されているものとは違って、これらのものは30年前から誰にも触れられていないと思われるものまであって、かなり渋くひっそりとしている。 それはインドのシバ神の像であったり、イランの壁画の破片だったり、トルソと書かれた石ころ、無名の男性のデスマスク、日

≪わたしごと73≫価値とリスクマネージメント

日本人はリスクを取りたがらないと言われる。しかし "何がリスクか" は、コンテクストによって変わって来る。安全と思っていたことが、他の面から見たら実はリスクだったという事を、経験したことはないだろうか。 コンサベーション(保存修復)のお仕事で、とても大事な観点はリスクマネージメントだ。修復が必要な作品、例えば小ぶりの彫刻などは、たとえ手で持ち上げられるものでも、点検も無しにまず持ち上げたりはしない。壊れるかも知れないからだ。 笑えない話だけれども、アンティークの椅子を持ち

≪わたしごと72≫オープンな学習回路と本当の意味の「和」

安冨歩さんが書かれた "超訳論語" という本を読んで、思考がかき回された。特に序章に要約して大切な事が詰め込まれていたのだけれど、noteに学んだ事、考えたことを少し書いてみたい。 論語の冒頭の言葉が論語の思想を表している、と著者は言う。 学んで時にこれを習う、亦たよろこばしからずや。 私が驚いたのは、一見逆説的に、学ぶことは危険な行為だと論語の中で捉えられていていることだ。学ぶことが危険なはずがあるだろうか、と思ったのだが、思えばそう感じた時期が私の中でもあった。アー

≪わたしごと71≫文化と価値のオーセンティシティー

保存修復のお仕事をしていて、文化ということと価値ということについて考えたりする。どちらの言葉もなんだか捉えにくい。 捉えにくいのはおそらく、それが多様で流動的でもあるからかもしれない。時代や環境、土地などいろいろな要因で変わる。でも逆に言うと、文化や価値というものは多様で変化するもの、という事は言えるのかもしれない。 文化というものは、良しとするものの共通理解があること、というような定義づけを聞いたことがあって、なるほどなと思った。その共通理解はあまりにも当たり前に自然に

≪わたしごと70≫ "楽しい" って切実に大事

最近、"楽しい" という事について考えている。 日本に於いて、楽しいという価値は実際どの様に認識されているのだろうか。楽しいに越したことは無いのだけれども、それは何か人生に於いて、優先順位の高いものとは位置付けられていないのでは無いのだろうか。 ルース・ベネディクトの "菊と刀" は、戦時中に日本文化や価値体系の解明の為、米国の人類学者の彼女のリサーチをもとに書かれたものだが、楽しみに触れる部分でこの様に書いている。  "務めに忠実であろうとすると、人生はつらいものにな

≪わたしごと69≫ Kōgei 2020|工芸・自然・未来 ルーツをツールに

東京国立博物館で9月から開催されている "工藝2020" のシンポジウムが先日開かれた。日本の工芸と自然観という切り口で語られて、沢山の学びとインスピレーションを得ることが出来、とても面白かったので、すこし思った事を書いてみたい。 私自身ガラスを日本とイギリスで学んで、その間に芸術か工芸か、ArtかCraftかというディベートはあったし、また海外でも陶芸やガラスをつかったオブジェをFine Artと捉えるよう訴える広告も見た。それは、用があることで工芸がファインアートより一