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おじさんに最適化して生き抜いてきた女子の懐古と遺書。さよなら全てのおじさん。

先日久しぶりに対面での懇親会に参加する機会がありました。入社間もない若いメンバーもいて、その場を盛り上げねば!と気負った私から出てくる話といえば、昔話ばかり。そして昔話のほとんどは、パラハラやセクハラをくぐり抜けてきたエピソードを面白おかしくしたものばかり。その場は楽しい会になったものの、帰宅してからずっとモヤモヤしていた。

「私は、講演やSNSで失言しているオジサンを、笑えない。」

これは、おじさんに最適化して生き抜いてきた女子の懐古と再生の物語です。

おじさんに最適化することでしか生き残れなかった新人時代

私が大学を卒業して入社した2005年、女性の総合職という働き方がやっと一般的になってきた時代で、地方の営業所ではまだ女性総合職が珍しい時代でした。私が配属になった北関東のとある都市にある営業所では、初の女性総合職配属。上司も先輩も、初めこそ「女性が営業で配属されるぞどうする!?」と話していたそうですが、3日もすると男も女も関係なく、2005年当時は珍しくなかった、愛とハラスメントが複雑骨折したマネジメントの中で新入社員時代を過ごしました。
田んぼの真ん中にある実家から、右も左も分からず出てきた私は、この愛とハラスメントの複雑骨折マネジメントに適応して生きていく以外の道がありませんでした。疑問に思う余裕も知識もないまま、こういうものなんだと受け入れることが、即ち生き抜くということ。こうして地方出身のまっさらな女の子は、おじさんに最適化していったのです。

おじさんに最適化することを楽しんでいた中堅時代

一度おじさんに最適化すると、おじさんしかいない組織で生き抜いていくことは簡単になりました。ましてや、おじさんの想定以上のことを女子が言ったり、行動したりすると、ウケるウケる。おじさんに最適化すれば、組織の中で楽しく、楽に生きていける。おじさんに最適化すればするほど、職位も上がっていきました。こうして何も知らなかった女の子は、おじさんに最適化した女子へと変わっていったのです。

おじさんに最適化することに疑問を持ち始めた管理職時代

時は過ぎ、おじさんに最適化した女子も管理職になりました。そして突然、別の戦い方が求められるようになりました。おじさんに最適化した生き方が、急に通用しなくなったのです。男性的なマネジメントをすると部下には総スカン。生意気、分不相応、力不足・・・散々言われました。
ここで初めて、おじさんに最適化することに疑問を持ち始めます。これまでおじさんに最適化することが、日本で、企業で、生き残っていく最適解だと思っていたのに、もしかして違うんじゃないだろうか。私らしい、女性らしいマネジメントスタイルって、おじさんのそれとは違うのではないだろうか。私は私らしく生きていてもいいんじゃないだろうか。でも、私らしさってなんだろう・・・そんな疑問と悩みを抱き続けた管理職時代でした。

おじさんに最適化することがリスクになってしまった今

更に時は過ぎ、時代は令和。コンプライアンス。ダイバーシティ&インクルージョン。エシカル。そう、おじさんに最適化することが私にとって生き残る術だったのに、15年経ってそれはリスクになってしまった。
女性だから、子どもがいるから、ハラスメント満載の昔話をしても免れる時代はもう終わりました。元々は自分が被害者だったとしても、それを面白エピソードとして話している時点でハラスメントを再生産し、自分が加害者になっている。冒頭の懇親会では、そんな事実に気付かされました。

おじさんには生きづらい時代。それは、おじさんに最適化した女子も、とても生きづらい。考え方を、キャラを、芸風を、変えないと今の時代生きていけないけど、何年もかけて最適化してきたおじさんは、なかなか私の中から抜けてくれない。だから、おじさんたちの生きづらさを、私は心の底から理解できる。

私を育ててくれたおじさんたちへ

そんな私から、私を育ててくれた愛すべきおじさんたちへ。これは、おじさんに最適化した女子である私の遺書であり、おじさんたちへのメッセージです。
それでも私たちは変わらなければならない。自分達の居心地の良い箱から出て、今の世界を知り、若い人たちの価値観に最適化しなければならない。だから、おじさんに最適化した私は、ここでさよならです。
新しい価値観に触れることは戸惑うかもしれない、相容れないと最初は感じるかもしれない。でも、あたらしい価値観は自分を成長させてくれるはず。そう、右も左も分からなかった私が、おじさんたちからたくさんのことを学び、育ててもらったように。だから引きこもらず、怖がらず、新しい価値観に触れていこうと思います。

おじさんたちへ、若い人と話しましょう。若ければ若いほど良い、一番良いのはあなた方の子どもたちです。今の子どもたちは最先端の価値観を純粋に吸収しています。ダイバーシティ&インクルージョンについて、エシカルについて、SDGsについて、子どもたちの意見を聞いてみましょう。家庭での時間も増えて、一石二鳥です。

おじさんたちへ、いつもと違う場に参加してみましょう。Facebookは閉じて、TikTokを開いてみましょう。初めは馴染めなくても、きっと気づくことが多いはずです。

おじさんと、おじさんに最適化した女子が、これからも生きていけるように。一歩を踏み出して変わっていけるように。みんなが自分らしく生きていけるように。私は私のできることから変わっていきたいと思います。

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