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特別支援学級を「1組」にしたい

先日、文科省が、新任教員に対して10年目までに特別支援学校、特別支援学級などで2年以上経験するように求める通知を出しました。

こちらの内容に対して、自分の意見を述べつつ、期待する未来像も少しだけ書き連ねたいと思います。

結論から申し上げますと、概ね「賛成」です。


若手教諭にとってスペシャルニーズを知るきっかけになる

特別支援学校や特別支援学級には、35~40人近い通常学級での生活や学びに困難がある多様なお子さんが在籍しています。

といっても、通常学級の中にも、困り感を持つ子どもはたくさんいます。最近話題になりやすい神経発達症(発達障害)のタイプは、1クラスに6.5%以上いるとも言われています。

就学前の進路決定時に、発達検査や知能検査などを通じて、ある程度の指標となる数値(IQ,DQなど)が出るとは思いますが、”特別支援”のクラスに在籍するか/しないか、の明確な線引きは、難しい。

一人ひとり、支援や配慮の内容が異なるし、家庭環境も地域性も異なるから。どうしたって、通常学級の中に困難さを持つ子ども達がほぼ必ずいる

そうしたスペシャルニーズのある子ども達が、学校生活を快適に送れるような配慮を取り入れられるか/そうでないかは、教員の知識・経験(と、センス)に左右されることが多い。

”知識”といっても机上で学ぶものと、実際に子ども達と接して得られる知識とは、だいぶ様相が異なると思います。

だから、早いうちに、特別支援について学ばざるを得ない環境で働き、試行錯誤するということに利点があると考えます。


「特別」は「みんなの快適」になる可能性

”特別支援”の現場では、ちょっとした工夫や配慮があちこちで行われています。支援学校や支援級での経験によって、工夫や配慮の引き出しが増え、多くの子ども達にとっても快適な学校生活の基盤づくりにつながるかもしれません。

例えば、口頭指示だけでは聞き逃しが多い子どもに対して、すぐにでもできる配慮は、

①大事なことは必ず板書して何度でも確認できるようにする
②大事なことは繰り返し伝える
③雑音を減らし、集中して話を聞ける環境をつくる
④話しかける前に、子どもの名前を呼んで注意喚起をする
⑤失敗を責めず、次にどうしたら良いか具体的に伝える
⑥エラーレスで取り組めるように事前予告をする

などなど。

沢山ありますが、特別支援の現場ではどれも当たり前かと思います。

というより、この工夫をしてもらえたら、誰もが安心して仕事や勉強に取り組めそうな気がしますよね。

この特別支援での”当たり前”が、通常学級の中でも”当たり前”の文化になれば、「”特別支援が必要な子ども”以外の子ども達」が快適な学校生活を送れるかもしれません。

特別支援の必要な子どもは 明確な線引きができないはず (1)

ただし、「教員の経験」のために子ども達の貴重な時間が奪われないように

今回の通知の内容が実際に行われるとしたら、担当の先生が次々と変わって変化が苦手なお子さんたちは混乱してしまわないかな、とか、研修プログラムは十分に検討されているのかな、とか、心配な点も沢山ありますが、

長い目で見て、「特別支援」が当たり前、になっていく一歩になればいいな、と。

ただ、もし、フォローしてくれる経験豊富な指導者がいないところへ「経験してきてね」と送り出されるとしたら?しかも、それが(いないと信じたいけど)全く特別支援に関心がない教員だとしたら?

二度と取り戻せない貴重な子どもの学校生活の時間が奪われかねない。

子ども達が、ただ「若手教員の経験のための練習台」になるようなことがないように、今後の動きを見ていきたいと思います。

(だれもが新人からスタートするのが当たり前なので、若手・新任が悪い、というのではなく、それをフォローする体制をしっかり検討して研修プログラムが組まれることを期待しています)


まとめ

まとめにきて、やっと本記事のタイトルの話。

特別支援学級の学級名って、1組、2組とかじゃなくて「なかよし学級」とか「あおぞら学級」とか学校によって様々な名前がついています。あるいは、1,2,3,…で、最後の6組、とか。名簿まで最後にされていたりすることも。

スペシャルに特別扱いされてますよね…。

確かに、特別支援学級の場合、在籍できる人数や授業内容、教室といった環境は異なるかもしれないけれど、そこに在籍する子どもは、”当たり前”にYouTubeを見たり、マイクラにハマったりしている同年齢の子ども。

”当たり前”に特別支援学級を1組とか(2組でもなんでも)にして、先生たちも子ども達も”当たり前”にあるクラスとして関われたらいい。

「1年3組に在籍しているけど、1組の方が人数少なくてわかりやすくて、なんとなく安心してすごせるなぁ~」と、子どもがふらっと移動できるクラスになったらいい。

さらに言うなら、就学前に関わっていた療育の先生たちも居られるクラスだったらとても魅力的になる気がする。外部専門員とか保育所等訪問のような事業よりも、もっとじっくりとクラス運営に関われたらいいのにね。

そんなことを想いながら、今年も沢山の子ども達が卒園、就学していく姿を見届けました。


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(あ、療育の先生を学級運営に入れたい!または、その実績がある!という方がいらっしゃたら教えてください)


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