「分析」と、その対義語を極めたい~療育の専門家に求められること~
「分析」の対義語、言えますか?
中学生の頃、国語の便覧を眺めるのが大好きでした。(同志いるかな…)
百人一首はもちろん、平家物語の「扇の的」はいまだに暗唱できるくらいに丸暗記。そんな中学時代の通学路で、よく友人と”対義語クイズ”をしていました。
安全⇔危険、許可⇔禁止、など。
ほとんど全て暗記したところで、最後までなかなか理解できなかったのが「分析」と「総合」。
「分析」の対義語は、ご存じかもしれませんが、「総合」です。
「総合」と言えば・・・
「総合」といえば、「総合的な学習の時間」の印象が強く、小・中学校の経験から「総合」=「総合的な学習の時間」≒調べ学習、何でも良い、発表、行事の準備、という概念を形成していたため、
細かく調べる、というイメージをもつ「分析」と、「総合」が対義語になることに違和感を持っていました。
とにかく当時は、腑に落ちないまま、「分析」⇔「総合」を無理やり暗記をしたような記憶があります。
そんな「分析」と「総合」の対の関係について、今ならわかる。
すごいわかる。
Wikipediaによると・・・
分析とは、
ある物事を分解して、それらを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること。
総合とは、
本来の意味は、別々のものを一つにまとめる事(対義語は分析)。そこから、様々な要素を含むという意味でも使われる。
つまり、一つの対象について、それがどのように成り立っているのかを深堀していくことが「分析」で、様々な情報を整理して対象がどういうものなのかを簡潔にまとめることが「総合」と言えるでしょう。
療育現場における「分析」と「総合」
療育をスタートするにあたり、まず初めに情報収集(アセスメント)をすることになるかと思います。
下の図は、分析と総合についてのイメージです。
情報収集、それ自体は、子どもや家族の過去・現在を知り、分析的に行っていくことです。分析した情報を総合的にまとめあげて、判断し、方向性を示すのが専門家の役割。
ここで注目すべきは、同じ場面・時間でも分析できる分量と精度が、その専門家の知識と経験とツールによって大きく左右される、ということ。
例えば、子どもがお弁当を食べている場面一つにしても、分析の目がなければ「子どもがごはんを食べている」という事実だけで終わってしまう。
専門的な視点を複数持っていれば、
・スプーンは回内握りだな。
・上唇がしっかりおりてきているな
・一口量多すぎる?
・足底の接地がいまいち。不安定だから足台を用意しよう
・このおかずは好きなのかな
・ペースが遅いな、朝ごはんは何時だったかな?排泄はどうかな
など、次から次へと情報が集まってきて、いろんな対応がひらめきます。
知識と経験だけでなくツール、すなわち発達・知能検査やチェックリストなどを活用することで的確に分析できるようになるはずです。
「分析」は目の前の子どもの状態を把握するために必要不可欠なことです。
一方で、分析した内容をありのままに羅列するだけでは、結局この子って何が必要なの?どう対応すればいいの?という皆が知りたいことが周囲の人に伝わらない。
上手に「総合」できる人こそ、頼れる専門家と言えるでしょう。
分析のために、子どもに検査ばかりしていないか?
この考察は適切にできているのか?
発達支援の専門家に求められる一番大事なことは、圧倒的な量を「分析」して、それを他人に伝わりやすいように「総合」すること。
そして、それを継続して常にアップデートしていくこと。
「分析」できないと「総合」できないし、「総合」しているからこそ「分析」ができるのである。
中学生の頃、腑に落ちなかったこの対義語たちを日々思い出しながら今日もまた「分析」したり「総合」したり。
療育現場に限らず、「分析」「総合」は必要な考え方・スキルになってきています。どちらの力も鍛えていきたいですね。
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