真ん中エンジン

映画の感想、推理小説、音楽など 賃労働者です

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最近の記事

深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説(ネタバレ感想)

作者:辻真先 出版:創元推理文庫 あらすじ昭和12年5月、銀座で似顔絵を描きながら漫画家になる夢を追う少年・那珂一兵を、帝国新報の女性記者が訪ねてくる。開催中の名古屋汎太平洋平和博覧会に同行し、記事の挿絵を描いてほしいというのだ。超特急燕号での旅、華やかな博覧会、そしてその最中に発生した、名古屋と東京にまたがる不可解な殺人事件。博覧会をその目で見た著者だから描けた長編ミステリ、待望の文庫化!(http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/97844884

    • 大きな森の小さな密室(ネタバレ感想)

      著者:小林泰三 出版:創元推理文庫 恥ずかしながら小林泰三さんの名前は存じていたものの、今まで著作を読んだことはありませんでした。中学生の時に角川文庫の金田一耕助シリーズを読み耽っていたのですが、巻末の他の小説の紹介ページに玩具修理者が掲載されていて、気にはなっていたんですよね。今年、小林泰三さんが亡くなられたということで、これは今年中に読まなくてはならないと考えまして、やっと著作を拝読しました。2021年は玩具修理者を読もう。 本作は短編集になっておりまして、「犯人当て

      • 今年よく聞いたアルバムとバンド5選

        ①Sidney Gish 「No Dogs Allowed」 雑誌か何かでSuperorganismのoronoさんが紹介していて聞き始めました。アメリカのシンガーソングライターです。 特に聞いたのは、「No Dogs Allowed」というアルバム。この人の曲はどれもシンプルで聞きやすい。アルバムからどれか一曲選べと言われても、選べないくらい良い曲が多かった印象。あとアルバムのジャケットが素敵。 歌詞は正直読んでもよくわからない。曲名も良くわからない。I Eat Salad

        • 九孔の罠(ネタバレ感想)

          著者:三津田信三 出版社:角川文庫 前作の感想を書いてからかなり時間が経過してしまいました。中々仕事が忙しくて、どうも感想をまとめる時間もだらだらしてしまい、反省。 ようやく三津田信三さんの死相学探偵シリーズの最新作が読めました。この本はめちゃくちゃ大きな仕掛けが施されているのですが、僕は完全に騙されてしまいました。この本単品で読んでも全く面白くないと思うので、素直に1巻から読んでください。 ストーリーとしては、ダークマター研究所という怪しげな国家機関があり、超能力者

          非在(ネタバレ)感想

          著者:鳥飼否宇 出版:角川文庫 前回の感想を書いてからかなり時間が経過してしまいましたが、前作「中空」の続編、いわゆる観察者シリーズと呼ばれているシリーズの第2作です。 あらすじとしては、大学生が人魚や仙人が存在するという伝説の島に行くのですが、そこでの殺人事件が起き、助けを求めることを示すフロッピーディスクが発見され、探偵役である鳶山、相棒の猫田、同じく仲間の高階と共に探しに向かうところが前半。その後、島を探し上陸。惨劇の真相を明らかにする部分が後半となっております。

          非在(ネタバレ)感想

          使用人探偵シズカ(ネタバレ感想)

          著者:月原渉 出版:新潮文庫 初めて読んだシリーズです。 見立て殺人がメインに置かれている作品なので、かなりワクワクしながら読みました。見立て殺人といえば、獄門島、ポケットにライ麦を、僧正殺人事件など枚挙に遑がありませんが、基本的にどれも派手な殺害方法ですが、犯人の狂気を想像させられるので無条件に興奮させられてしまいますよね。 見立て殺人の何が興奮させられるか申し上げますと、まず恐怖感ですよね。筋書き殺人と言っても構わないかと思うのですが、いくつか殺人があってもまだ何

          使用人探偵シズカ(ネタバレ感想)

          中空(ネタバレ感想)

          著者:鳥飼否宇 出版:角川文庫 僕は推理小説というかミステリに入門したのが金田一少年の事件簿だったんですよね。アニメの。伝説とか伝承が根付いている地方で、金田一が事件に巻き込まれるその構図や見立て殺人などワクワクしたものです。そこから金田一繋がりで金田一耕助シリーズの門を叩くのですが、こちらも旧家やいわゆる閉じられたような村が出てきて、閉塞感に由来したドロドロ感だったり要はそういう雰囲気にワクワクするんですよね。で、最近それに近い感覚を得られてたのが三津田信三さんの刀城言

          中空(ネタバレ感想)

          消失!(ネタバレ感想)

          著者:中西智明 出版:講談社文庫 本書は前提知識が何もない状態で読んだ方が面白いので、気になった人はこんな文書読んでないで、実物を読んでください。 評判には聞いていましたが、ようやく本書を読むことができたので感想を。まずストーリーは、冒頭で3つの事件が描かれるのですが、そのうち2つは一見不可能に見えるものです。死体も犯人も消える事件が3つ起きるのですから、それは豪華と言っても過言ではないでしょう。特に1つ目の事件は密室に逃げ込んだ犯人が目撃者の前から消えるので不可能性が

          消失!(ネタバレ感想)

          人数の町(ネタバレ感想)

          ストーリーとしては、中村倫也が借金で首が回らなくなって施設というか町に勧誘される→町で気ままにくらす→町で仲良くなった緑という女の人のお姉さん(紅子)が緑を助けに来る→緑の子供のモモと紅子と一緒に施設を脱出し恋に落ちる→でも施設を出ての生活はうまくいく訳もなく施設の監視員的な立場で仕事を開始し家族となった紅子とモモを養っていくという話でした。町ってなんなのかというと、社会的にある意味終わってしまった人たちを集めて社会の裏で暗躍させる組織でした。具体的には町では人は個人という「

          人数の町(ネタバレ感想)

          透明人間(ネタバレ感想)

          あらすじ 富豪で天才科学者エイドリアンの束縛された関係から逃げることの出来ないセシリアは、ある真夜中、計画的に彼の豪邸から脱出を図る。失意のエイドリアンは手首を切って自殺をし、莫大な財産の一部を彼女に残した。セシリアは彼の死を疑っていた。偶然とは思えない不可解な出来事が重なり、それはやがて、彼女の命の危険を伴う脅威となって迫る。セシリアは「見えない何か」に襲われていること証明しようとするが、徐々に正気を失っていく。(https://toumei-ningen.jp/より)

          透明人間(ネタバレ感想)