透明人間(ネタバレ感想)

あらすじ

 富豪で天才科学者エイドリアンの束縛された関係から逃げることの出来ないセシリアは、ある真夜中、計画的に彼の豪邸から脱出を図る。失意のエイドリアンは手首を切って自殺をし、莫大な財産の一部を彼女に残した。セシリアは彼の死を疑っていた。偶然とは思えない不可解な出来事が重なり、それはやがて、彼女の命の危険を伴う脅威となって迫る。セシリアは「見えない何か」に襲われていること証明しようとするが、徐々に正気を失っていく。(https://toumei-ningen.jp/より)

感想

正直全く期待しないで本作を見に行きましたが、完全に裏切られました。こんなに面白い映画だったとは。
自分が劇場に足を運んだのは公開した週の週末でしたが、客は5人しかいませんでした。
めちゃくちゃ怖かったですね。何度もビビりました。
とにかく全編を通して音がでかい。あとはここに何かいるんじゃないかと本当に思わせる見せ方が素晴らしい。理屈や技術的なことは全くわからない私ですが、透明人間が絶対どこかにいるよと終始ドキドキさせられましたね。
一番印象に残ったシーンは、主人公が勇気を出してエイドリアンの携帯電話に電話して、屋根裏に行くシーン。そこで衝撃的な見せ方で透明人間の存在が判明し、可視化されるのですが、(ここまではエイドリアンが透明人間になっているという決定的な証拠がない)かなり印象に残りました。あのペンキが顔にかかって輪郭がはっきりとするシーン、文章で書けばそれだけのことなのに恐怖させられるんですよね。
あとホラー映画は味方側の人間関係が不協和音になっていく様子も楽しいですよね。この映画も例に漏れず、主人公が孤立していきます。エイドリアンが生きているとしか思えない状況が多発して、主人公は苦しんでいくわけですが、どんどん味方側の人間に正気を疑われてしまいます。親友の子供を殴ったことにされちゃったりとか、うわーなんでそんなことにみたいな感覚。挙げ句の果てに妹の殺害犯にもでっち上げられてしまい(ナイフが急に浮くところとか好きでした。)。。。
本作では透明人間になるために科学技術を応用したスーツが利用されるのですが、それも不気味でよかったです。全身にカメラが搭載されていて、一方的に相手を観察できるという。安部公房の箱男かよって感じで。スーツが傷ついて、姿が見えたり見えなかったりというシーンがあるのですが、そこもSFチックでよかったです。
そんなこんなで主人公に色々と苦難があるわけですが、最終的に主人公が透明人間の正体を暴くと、それはエイドリアンの兄でした。ここからがこの作品のもう一捻りな部分なのです。エイドリアンは隠し部屋のようなところで、縛られている姿が発見されて、あたかも被害者として表舞台に姿を表します。警察の評価としてはエイドリアンが罪を犯した証拠はないため、エイドリアン兄の犯行と判断します。しかし、主人公は絶対にエイドリアンの仕業だと譲りません。
ではどうするか?エイドリアンと主人公が会食し、盗聴しながら自白を促します。しかし、エイドリアンも絶対に罪を認めない。そこで、主人公が透明スーツを利用し、エイドリアンを殺害。カメラにはエイドリアンの自殺として映像が残るため、主人公の怒りの鉄槌が無事下されるというラストでした。その時の主人公の表情がまた堪らないんですよね。中盤で怯えてた彼女とは別人でした。エリザベス・モスさんという方らしいので覚えておきます。
暗闇の感じとか音響の感じとか絶対映画館じゃないと魅力が半減してしまうので、絶対映画館で見るべきです。

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