大きな森の小さな密室(ネタバレ感想)

著者:小林泰三
出版:創元推理文庫

恥ずかしながら小林泰三さんの名前は存じていたものの、今まで著作を読んだことはありませんでした。中学生の時に角川文庫の金田一耕助シリーズを読み耽っていたのですが、巻末の他の小説の紹介ページに玩具修理者が掲載されていて、気にはなっていたんですよね。今年、小林泰三さんが亡くなられたということで、これは今年中に読まなくてはならないと考えまして、やっと著作を拝読しました。2021年は玩具修理者を読もう。

本作は短編集になっておりまして、「犯人当て」や「バカミス」等、様々なパターンのミステリが読めますので、お得感があります。

①大きな森の小さな密室
表題作。犯人当て。短編の中ではかなりオーソドックスな作りかな。読者への挑戦もあるので自信のある方は挑戦してはいかがでしょうか。どうやって密室を作り出したかよりもなぜ密室を作ったが重視されており、良いですね。

②氷橋
倒叙ミステリです。倒叙ミステリってあんまり読んだことがなくて、古畑任三郎程度ですね。なのであまり僕が言えることはないんですが、嫌いじゃないけど少し盛り上がりに欠けるかなと感じました。誰か倒叙ミステリのおすすめを教えてください。

③自らの伝言
安楽椅子探偵。これは結構好きな作品ですね。真相は目につきやすいんですが、探偵役の刺々しさとかかなり好感でした。真犯人が証拠を隠滅しようと友人に語りかけていく様はこんな奴いそうだなという感じ。

④更新世の殺人
バカミス。本作がベストでした。そりゃそうだろっていう結論に対して、必死に論理的に考えるという良い意味での馬鹿馬鹿しさ。タイムマシンとかね。バカミスってこれもあまり読んだことなかったですが、これはこれで楽しいですね。多重解決感もあるし。

⑤正直者の逆説
メタミステリ。これもあまり読んだことがないタイプの短編でした。内容については、ちょっとなんとも言い難い。バカなので、いまいち作品ないの論理に乗り切れなかった。

⑥遺体の代弁者
SFミステリ。脳に死者の海馬を移植することにより、死者の最後の記憶が見れるようになった技術がある世界。簡単に言えば証拠が入れ替えられていたという話なのですが、真相は見えやすいかもしれません。SFミステリもあまり読んだことないので、言えることが少ない、勉強不足だ。

⑦路上に放置されたパン
日常の謎。パンの切れ端が道に周期的なタイミングで落ちていて真相を探るというもの。探偵が犯人という構図は真相が見えやすいかもしれません。でも色々推理が読めるので、多重解決感があって楽しめますね。

全体的な感想ですが、色々な風味のある作品が掲載されているので、1作は好きな作品があるのではないのでしょうか。僕はあまり今まで読んでこなかったような作品が多くて意外と楽しめました。でもやっぱり王道が好きかな。

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