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カッパの正体



朝の忙しい時間だったから、
私はきっと、バタバタと……
洗濯をしながら、朝ごはんを作っていたんだろう。

リビングに、河童がいた。



忙しい足をとめて、
ふとソファを見ると、カッパがいた。
真剣な表情で座っている、カッパがいた。



それは、カッパであり、6歳の次男でもあった。



頭のてっぺんに、
きみどり色のおり紙が1枚、
セロテープで貼られている。


こ、これは・・・


聞いていいのだろうか?
聞いてはいけない気もする。。

気になるので、少し離れた場所から
しばらく様子を見ていると、
カッパは動くことなく、真剣な顔をしつづけている。



何か、悩んでいるのだろうか? ーーー



もしかしたら、
あのカッパは、何か、
悩みがあるのかもしれない。

そして、誰にも聞けずに、困っているのかもしれない。

私は、きめた。
カッパに、話しかけることを。


さて、 なんて話しかけよう?


もしかしたら、
私が思うよりずっと、
大きな悩みなのかもしれない。

話しかけることが、急に怖くなった。
なんて、人間は弱いのだろう……

それでも、助けになれるなら!
私は、話しかけた。


「ね、ねぇ、・・・カッパさん?」


カッパは、答えた。


「ちがうよ。」


違うって。
な、なにが、違うんだろう…?


「カッパじゃないよ。」


カッパじゃなかった。らしい。
じゃぁ、何なのだ???


⦅そ、その、頭についている、
 きみどり色のものは、いったい……⦆



聞いてみた。
真剣で、まがおな次男に、直球なげて
聞いてみた。
すると次男は、答えてくれた。


「これは、ぼうぐ。」



防具だった!!! (´⊙ω⊙`)





「よし。これで、防御力、プラス1。」



防御力あがった!!! (´⊙ω⊙`)



カッパは、もういない。
次男は、戦士であり、勇者にもみえた。


私は、6歳という若さで、
自力で防御力をあげるすべを得た
息子を尊敬した。


⦅ 私も、私も、防御力をあげたい…!⦆


すると、
私の気持ちに気づいたのか、
息子はこう言った。


「貸してあげるからね」


それから、ずっと、
リビングのかべに、きみどり色の折り紙が
貼られてある。




すごい、ヒール&キュア力だ。

ママは、HPもMPも回復した。




そして息子があがったのは、
きっと、防御力だけじゃない。

やさしい気持ちが、育っている。

嬉しかった。
すてきな防具を、ありがとう。






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