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マスクを触って、その手でどこを触っているの?

コロナの感染対策でマスクをしていることが日常になった。だが、果たして正しく感染予防ができているのだろうか。


不織布マスクと布マスク

コロナウイルスは、飛沫感染と接触感染で感染すると言われている。そのため、飛沫感染予防にマスクが推奨されている。簡単に言うと、「唾(つば)」を飛ばさないようにしているのだ。感染対策の観点で言えば、不織布のマスクの方が意義が大きい。医療現場では不織布の「サージカルマスク」を使用している。しかし実は、不織布を含めてマスクそのものの感染予防に対する効果は立証されていない。そもそも、マスクについての研究がなされていないため、データがないのだ。それでも、「自分が飛沫を飛ばさない」「他人の飛沫に曝露しない」ことにある程度の効果はある。下図1のように、ウイルスはそれ自体は小さい。しかし、飛沫(つまりウイルスを含んだ唾)は直径5μm以上と言われているため、マスクの穴を通らないとされている。

布マスクに使用されている綿布やガーゼ布は、1枚の布を見てもらったら分かるとおり、肉眼で確認できるサイズの穴が空いている。しかし、実際の布マスクは何層にもなっており私個人としては、「他の人にうつさない」ことに関してはある程度効果があるのではないか、と考えている。

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▲図1. マスクの穴と微生物の大きさ

マスクの付け方・外し方

マスクは、人にうつさないだけでなく、自分が罹らないためにも着用されている。しかし、正しく着用していなければ効果は期待できない。

まず、マスクには上下・裏表がある。ニュースを見ていると、コロナ対策を述べてはいるが、当の本人はマスクの着用方法を誤っているとういう官僚も多く映っており、医療は専門領域なのだなと改めて感じる。不織布のマスクは通常は3枚構造になっており、表は撥水加工布、中間層にフィルター、裏は肌に優しい素材となっている。裏表で着けてしまうと、自分の呼吸で生じる水滴がマスク内に溜まってしまい、不衛生になる。マスクのプリーツの向きが違うので、普段マスクを使っている者からすると正しく着けていないのは一目瞭然なのだ。

着用中も注意が必要だ。飲食をする時に、顎にマスクをかける(俗に顎プロテクターと呼ばれる)ようにして口元を出す方が多いが(下記図2参照)、顎先についたウイルスをマスクの内側で擦って集めているようなものだ。これを再度着用すれば、口・鼻の粘膜に直にウイルスが付く可能性がある。また、苦しいから、という理由で、鼻を出している(俗に鼻マスク)方もいるが、鼻粘膜からのウイルス吸着が防げない。(下記図2参照)

マスクは通常であれば、感染性の高い環境から脱した時に破棄するのが正解だが、現在は予防的な使用の場合は1日1枚の支給となっている。私は食事などで一時的にマスクを外す時は、マスク置き場を机の上で決めている。そして、再度装着した後は、机をアルコールで拭いている。知り合いのドクターは、なるべく壁につかないようにして吊り下げていると言っていた。

マスクを2枚重ねにしている人も見かける。しかし、空気抵抗が増して、マスクの隙間から空気が入ることがあるので、2枚重ねに意味があるのかは疑問が残る。マスクをする時は、ピチッと空気が入らないようにすること。

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▲図2. メディコムジャパンHPより引用


そして、マスクをしている時は、マスクを手で触らないことだ。マスク表面は、掃除機のフィルターのようなイメージをしてもらうと良いのではないだろうか。ウイルスは目に見えないので、マスク表面は一見汚れていないように見える。しかし、マスク表面は汚染されている可能性が非常に高い。着用中は無闇にマスク表面に触れないようにし、触れてしまった場合や、マスクを外した後は速やかに手を洗うことが大切だ。

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▲図3. 自治医科大学附属さいたま医療センターHPより引用


マスクを装着して出かけ、そのままマスクの表面をベタベタ触って、目を擦る。これは、本当に意味が無いと思う。マスクは万能ではない。口、喉、鼻しか覆われていないからだ。ウイルスは目からも入ってくる。2015年のある論文では、人間は1時間の間に、平均23回も顔を触ることがわかっている。マスクをすると、粘膜部分(鼻口)が覆われるので、接触回数が減る効果もあるとされているが、しっかりとした手指消毒も必須である。


独り言

私自身も病院勤務のため、カレンダー通り毎日出勤している。勤務している人が、偉いとかではなく、人間が生きていくのに、多くの人の助けが必要なんだなあと実感している。食べるのが大好きな私は、まずは農家の方への感謝をしたい。運送業の方も、感染リスクが高い中、働いて下さっている。在宅勤務の人だって、ずっと家にいて、心も身体も限界なのではないだろうか。

本当にみんなに感謝しているし、ありがとうを言いたい気持ちもわかる。

しかし!

感謝したり、拍手したり、嬉しいけれども、そんな事よりして欲しいことがある。ただ、ただ、して欲しいのは、マスクをしなきゃ行けないような所に出かけないで欲しい。外で色んなものに触れる(スーパーのカゴや、陳列物は手で触れてしまいますよね?)のは最小限にして欲しいと願う。


少しでも役に立つことを祈って

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ゆん



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