見出し画像

元職員、現教員が考えた、児童養護施設の就活ロードマップ

毎年、「児童養護施設に勤めたいなと思うんですが、なにをしたらいいかわかりません」という学生がやってきます。

一般企業や公務員のように就活に関する情報がまとまっていないですし、
迷うのも無理はないなと思いつつ、一人ひとりに就活の方法や考え方を伝えてきました。

私自身が就活をしたのは10年以上前なのですが、
情報提供をした学生さんたちは、本人が望んだ場合はしっかり施設に就職していますので、そんなに間違っていないと思いますので(笑)
よろしければご参照くださいませ。

※当たり前ですが、施設や所属校等によって異なる部分もありますので、あくまで参考まで。


【随時更新】施設の就活おすすめイベント

まだあまり具体的に考えていなくても参加しやすいもの

勤めたい施設を考え始めたら。
見学会を探す


【まずは】大まかな流れを確認。いつから始める?

一般企業は卒業学年の前年度から就職活動がはじまることも多いかと思いますが、
施設は卒業学年になってから、しかも求人のピークは10月頃かなという印象があります。
基本的には、現在勤めている職員の雇用継続調査の締め切りが10月頃で、そこから不足する人数分の採用をする、ということになるでしょうか。
ただし、4月に内定、実習をしてそのまま内定、といったイレギュラーもありますので、
早めに見学会等に参加しておくことでより自分に合った施設を見つけられる可能性が高まるため、
卒業年度の前年度から、情報収集などの活動を開始することをお勧め
します。

◎モデルケース(4年制大学の場合)

*3年春~
・対象を広くしている見学会にいくつか参加する(参考:チャボナビ
・自分の働きたい施設の条件を考える
・通える範囲の施設をリストアップ(参考:全国児童養護施設協議会 施設一覧
・候補となる施設のホームページをみておく
*3年夏頃
・可能であれば対面での見学やボランティアを行う
(夏休みだと施設に子どもがいる時間が長いので、様子が見やすいしボランティアも受け入れてもらいやすいことも)
*4年春~
・志望施設をおおよそ絞り込む
・求人が出ないか確認する(施設のホームページや求人サイトをみる)
・履歴書、エントリーシートの内容を考えておく
*希望施設の求人が出たら
・採用スケジュールを確認
・就職試験⇒採用

【前提】なぜ施設で働きたいのかを考える

このページを見てくださる方は、多かれ少なかれ施設で働きたいという意思があるのだと思います。

これから就活をするにあたって大前提として考えておきたいのが、
「なんで施設で働きたいのか?」です。
これ、聞いてみると、実に様々です。

・虐待のニュースを聞いていてもたってもいられない。子どもの役に立つことがしたい
・保育園や幼稚園の集団保育が肌に合わなかった。少人数の子どもに家庭的な環境で保育をしたい
・自身も家庭環境があまり良いとは言えなかったので、施設の温かい雰囲気にふれ、自分もこの中で子どものケアをしたいと思った
・学んだソーシャルワークの知識を使い、保護者の支援をしたい。
・給与が高いから(施設は、宿直手当や賞与をいれると、待遇、悪くないのです)

コリン調べ

ここをしっかり自覚しておかないと、この後の施設選びで迷いが生じたりミスマッチに繋がります。
きれいごとじゃなくていいです。きれいごとだけでは仕事はできません。
志望動機に書くものではないので、自分の気持ちと向き合っておきましょう。

【はじめの一歩】見学会に参加する/施設見学に行く

まずは施設というものを知りましょう。
実習に行って児童養護施設は知ってるよーという方も、
施設によって異なりますので、個人的には見学は3つは行くことをお勧めしています。
1つだとそこしか知らない、2つだと2か所の比較になる、3つ行くと順番が付けられるようになります。
その順番は、本当に人によって変わってきます。
自分が働くうえで何を大事にしたいかで変わってくるからです。
給与?人間関係?養育指針?場所?研修?
見学会に参加してみたら、自覚していなかったけど、意外と自分の中で優先順位が高かった、という条件がみつかるかもしれません。
さきの【前提】も振り返りながら、見てきてくださいね。
あとは直観も意外と大事なので、可能なら対面での見学がより良いと思います!

【探す】働きたい施設を探す

見学会を経て、自分の中で「条件」が見えてきたら、行きたい施設を探しましょう。

・通える範囲の施設をリストアップ(参考:全国児童養護施設協議会 施設一覧
・候補となる施設のホームページをみておく
といったことをした上で、見学等に積極的に参加しましょう。
卒業学年になってからはもちろん、就職活動前の段階で行くことも、いい意味で少し気楽に見学ができるので、お勧めです。

【体験】ボランティアやインターンに参加する

就職したいと思う施設が見つかったら、
ボランティアやアルバイト、インターンの受け入れをしてもらえないか、聞いてみましょう。
数日でも現場に入らせてもらうと、見学だけでは見えなかったものが見えてきます。
・子どもの様子
・職員の様子
・業務内容(午前中、午後、平日、休日、夜勤と様々な日が見られると◎)
などについて体験を通して、確認しましょう。

【待ちor責め】求人を探す

待ち
気になる施設は登録したりメモをしておき、求人サイトや施設ホームページ、学校の就職課、ハローワーク等に求人が出ていないか、こまめに確認しましょう。
責め
勤めたい度合いが高い施設へのアプローチです。
求人がないか直接聞きましょう。「ぜひ勤めたいと考えているので、今のところの募集の見通しだけでも教えていただけたらありがたいです」と言って、怒られることはないでしょう。
求人が出ることになったら連絡をいただけることもあります。

【試験準備】履歴書を書く

履歴書の書き方は別でまとめたいと思いますが、
施設の職員の方に「一緒に働きたいな」と思ってもらえるような書き方を、と伝えています。
小論文や作文が求められることも多いと思います。
テーマが指定されることも多く、こちらも別途記事にしますね。

【試験準備】面接対策

面接は、基本的に準備しすぎないほうがいいと考えています
事前に一言一句覚えた内容の受け答えをするのが目的ではないからです。
ただし、緊張のあまり何も話せなかった!ということになってしまうと勿体ないので
ある程度コミュニケーションが取れるような準備をしておくことは必要かと思います。
こちらも追って別記事にしたいと思いますが、
履歴書と同様に、「この人と仕事をしたい」と思ってもらえるよう、
正直に話すのがいいと思います。

【試験対策】現場実習

面接同様、対策は不要というか、難しいと思います。
覚えておいていただきたいのは、
基本的に技術より人となりを見られている、ということです。

子どもへの言葉かけが的確か?
料理が上手か?
家事能力は高いか?
といったことよりも、
養育や仕事への姿勢(積極的か/子どもとどう向き合っているか)や、
職員とのコミュニケーションが円滑にとれるか、のほうが
一緒に働く人を選ぶには大事だと思いませんか?

試験を受ける側だと、どうしても「〇〇が出来た/出来ない」で考えてしまいがちですが、
緊張しすぎず。あとは日頃の人と関わる姿勢が現れてくると思います。

【縁起でもない話】就職試験に落ちたら

正解が見えにくい施設の就職試験、
もし落ちてしまったら、「向いていないのかな」と思ってしまうかたもいるかと思います。

でも、就活は「縁・タイミング」だと伝えています。

施設には「今、欲しい人材像」があるでしょう。
たとえば、男性の退職者が多ければ男性を。
落ち着いて安心感のあったベテラン職員が抜けたときは、落ち着いた人を。
元気な子が多いユニットの人手が足りなければ、活発に動ける人を。

その時々の施設の状況によって、必要な人がいて、
たまたまそこにあなたがマッチしなかっただけかもしれません。
隣の施設では、必要とされているかもしれません。

一つや二つ落ちただけなら、就職活動を継続してはどうかと思います。
また、もし落ちてしまった時は、「今後に生かすため、可能であれば、理由を教えていただきたいのですが」と聞くという奥の手もあります。

子どもに関わることで問題があった場合など、教えて貰えないこともあるかと思いますが、
私の就職活動の際は、わざわざ折り返しをくださって、他にも候補者がいて、積極性がもう少しという判断だったと教えていただきました。
やはり人を育てる仕事をされている施設なので、このように対応してくださるんだな…と感動した覚えがあります。落ちたけど、学びになりました。

おわりにひとこと

夜更かしはしない派なのですが、秋の夜長にずっと書きたかった記事を書いてみるのもいいかと思い、一気に書いて投稿してみました。

いつも、学生が「児童養護施設に勤めたい(かもしれない)」と尋ねてくると、最初に「ありがとう」という言葉が出てきます。
そもそも認知度が低い仕事。
決して楽ではない仕事。
それを目指したいなと少しでも思ってくださった方を、
私は勝手ながら『同志』だと感じています。

内定をもらったと学生から報告を受けたら、
「これからは仕事仲間として、よろしくお願いします」と伝えます。

この記事を読んでくださった方で、施設に勤めてくださる・またはボランティア等、なにかしら関わろう・考えようとしてくださる方が、一人でもいれば、本当にうれしいです。

随時整理・更新していきたいと思いますので、
少しでも参考になったら、
スキ❤してくださるととっても励みになります!

この記事が参加している募集

就活体験記

仕事について話そう

よろしければサポートお願いいたします~☕