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【京都】名建築で本を読む~京都の私設図書館で鈍く考える♯104

京都でまだ一つ、心が整う場所を見つけてしまった。

遡ること夏休み、毎日、家で過ごす時間の多い子供と、それに伴う家事で、1日のうち、仕事に集中できる時間が激減。
8月も半ばに差し掛かれば、一人心を落ち着ける時間を渇望していた。
↓2024年夏、心ざわつく毎日のことを書いた記事

そんな中、検索に検索を重ね見つけたのが、京都市左京区にある私設図書館「鈍考」。

時間の流れの遅い場所をつくりたい。そのために設計された私設図書室と喫茶が「鈍考donkou/喫茶 芳 Kissa Fang」です。

人を取り巻く日々の流れが加速するなか、社会のシステムやテクノロジーが求める速度から、敢えて鈍くあること。そして、人としての愉しさや健やかさについて自発的に考え続けること。それが、「鈍考」で促したい時間です。

ゆっくりと焙煎し丁寧に淹れた珈琲を味わいながら、本を読む。なんということのない孤独な時間と、書物という過去の誰かとの交感が、これからの人間の創発や豊かさの基盤になると信じて、ここに「鈍考」をひらきます。

BACH 京都分室 鈍考 donkou/喫茶 芳

直感で「ここだ!」と。

「鈍考」とは、BACH代表・ブックディレクターの幅允孝氏が主宰する私設図書室。

90分で定員6名(1日3回の入れ替え制)のみをWEB予約で受け付ける小さな分室。
建築家、堀部安嗣さんの居心地の良さと温かみがある建物のなかで、約3000冊の蔵書を手に取り、読むことができた。

京都の中心部からの道中もまた良い。
京阪、叡電を乗り継いでも行けるのだが、
私は京都駅から約1時間、バスに揺られて、鈍考へ。
四条、岡崎を経由し、どんどん郊外の風景になる車窓を眺めながらバス停で降りる。
鯖街道と呼ばれる、滋賀、福井に繋がる国道から小径にそれ、地図を見ながら、小さな線路や、田んぼ、小川や木々を潜り抜け、歩くこと20分。
「こんな景色が京都にもあったんや」と感じながら歩く先に鈍考がある。
観光客が溢れる同じ京都市とは思えないほど、道中の川の水は澄み、青々とした夏空が広がり、田んぼのいわば日本の原風景が眺められる。

予約時間になったので館内に入ると、まず、目に入るのは、庭の借景。


そしてその手前に広がる本棚の蔵書の多さ。

併設されている喫茶でアイスコーヒーを頼み、
温かくも静寂さがある場所で、本を手に取り、読書ができた。

私設図書館に出かけるというのは初めての体験だった。
誰かによってセレクションされた本を手に取れるのは面白い。
なんか、人の頭の中を覗けるようになることも。
お陰で、自分がわざわざ買わないような本も手に取れた。

そして夏休みに読んだ、三宅香帆さんの「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の内容も思い出す。

こんな環境だったら、”ノイズ”も受け取れる。

90分間、贅沢だった。
往復の移動時間も含めると、日中、大半の時間は終わってしまっていたけれど、平日、土日休まず仕事、家事、育児に追われ、自分のための時間をつくることのもたまには悪くないと思った。自分自身を労れ、夏から続く、心身の疲労が和らいだ気がした。

なお子供連れも可とのこと。絵本もありましたよ。そんな間口の広さもまた良い。

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