小指の爪だけのばす本当の理由

満員電車の窓に苦しそうに張り付くおじさんがいた。通勤ラッシュであれば毎日見る光景だ。それなのに今日そのおじさんが印象に残っているのは、彼の小指の爪だけが異様に伸びていたからだ

他の4本の爪は白い部分が0.1センチくらいなのに、小指の爪は1センチくらいある。上には上がいるだろうが、手を見ればすぐに小指に目がつく長さだった。考えると、小指の爪だけ長くする人は一定数いる。そもそも、なんで小指の爪を長くするのだろうか?

調べてみると、小指の爪を伸ばすのは実用的な理由が多い。鼻をほじるため、耳の中をかくため、たばこの銀紙を開けるため、糸を切るはさみ代わりにするため……。中には小指の爪を7ミリ伸ばしてから切ると恋が叶うおまじないもあるらしいけど、おじさん達が爪を伸ばす理由は「便利だから」がほとんどだろう。

ただ本当に実用的な意味だけなのか?ほかの4本の指でもいいのに、多くの人が小指にこだわるのは隠れた理由があるのではないか?ヒマな私は、さらに小指と爪それぞれの意味を調べてみた。

小指はチャンスと自分らしさ、爪は自衛

小指はチャンスを呼び込んだり、自分らしさを高める力があると言われているそうだ。左手の小指がチャンスや恋を引き寄せ、右手の小指は自分の魅力を上げる効果がある。小指につける指輪を「ピンキーリング」と呼ぶのも、英語でチャンスを意味するピンキー(pinky)とあるように、つけていると恋や願いが叶う効果があるとされているからだ。

そして人間にとって爪は、手を動かすうえでは欠かせない。指先を守るのはもちろん、物をつかむ、操作する、挟むなどの行為に役立っている。このように物を動かす硬い爪があることで、自分の身を守れている。

チャンスや自分らしさをつかむ小指と、そして自分の身を守る長い爪。想像するに、おじさんは自分らしさやチャンスがほしくてたまらない。つまり現状の自分に満足していない可能性がある。ただ、現状の弱い自分の身もかわいい。だから社会の荒波から自分自身を守ってあげたい――そんな風に考えているのではないか?

おじさんが小指の爪を切るときは、チャンスをつかんだのか、自分らしく生きられたのか、はたまた自分の身を守り切ったかのどれかかもしれない。やっぱりヒマなわたしは、顔すら知らないおじさんのために、いつか小指の爪が短くなることを願っておいた。

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