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【映画評】『8mm』 深い奈落の底へ


あるアメリカの大富豪が亡くなった直後に、この悪夢のような物語が開幕する

その大富豪は、アメリカの経済界でひとつの繁栄の時代を築き上げ、莫大な財を得た
それだけではなく、愛する妻との間に子宝にも恵まれ、子供だけでなく多くの孫に囲まれながら、安らかに旅立ったに違いない

彼の死後、金庫を開けると現金や有価証券が発見され、その中にひとつ奇妙なものが見つかる―

8mmテープ

この陰惨な物語のタイトルであり、同時にこの物語の核心でもある

未亡人が弁護士同席の下でそのテープを再生してみると、それには少女がレイプされナイフで斬殺されるむごたらしい映像が記録されていて―

未亡人が呼び出した私立探偵に依頼した内容は、極めてシンプルだった
”このテープが偽物で、映っている少女が今も健在なのかを調べてください”


調査を始めた優秀な若い探偵(ニコラス・ケイジ)は、全米で失踪届けが出されて、潜在的には数万人規模とも言われる
アメリカ社会の暗闇に足を踏み入れてしまう

それは”一度覗いたら、決して戻る事のできない”アンダーグラウンドのポルノの世界へと続く暗闇の中で、探偵は巨大な迷宮に迷い込む


調査が進むにつれて探偵は疲弊していき、心を折られていくが、LAで知り合った売れないバンドマンの助力もあり
ある映画監督へ辿り着くことになり・・・


この8mmテープの真相に気が付いたときには、すでにこの異様な世界の住人たちに囲まれてしまって、退路はない
真相を知った未亡人は罪の意識に耐えられずに自殺して果て、探偵の妻と幼い娘にも命の危機が―

まさかこの世界に―
このような狂った世界・・・
このような狂った怪物が存在するなんて―

個人的にはニコラス・ケイジ出演の中でも、かなり異才を放つサイコ・サスペンスの名作

脚本は『セブン』を書いたアンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
『JOKER』のホアキン・フェニックスも売れないバンドマン―探偵助手役で出演


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