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【書評】ブラック・ジャック "死神の化身”

たとえ”天才外科医”のブラック・ジャックさえ、治せない病気は存在する

今回は政府が情報操作で完全秘密裏に隠している、ある”事故”の犠牲者

ーいや、”感染者”のオペと治療

報酬は一億円

孤島に連れ出されたBJの前には全身に包帯をまかれてベッドに横たわる、異様な姿の患者が数名

そしてそこにはドクター・キリコも政府側によって「医者」として姿を現す


BJとキリコ

ふたりの天才の知見をもってしても、この謎の伝染病の正体と治療法は容易に見つからない

キリコはいった

ーデング熱やカレ・アザールの症状に似ていると思わないか?

・・・しかしいずれにせよ、根本療法はない



いつも傲慢とも取られかねない自信を見せるBJも、珍しく今回は弱気で、しかし

とにかくオペと治療箇所の優先順位を決め、手探りで治療を開始する


そのせいか、患者の容態が僅かづつではあるものの回復が認められ、希望が見えてきた矢先に政府の「上層部」から突然の治療の中止命令が出され・・・


葛藤するBJ


政府側の強力な圧力によって身動きが取れなくなるが、一計を案じ、このまま死を待つだけの患者たちを孤島からの脱出を促す


即座に政府側の人間が追跡を開始するが、途中彼らは不慮の事故で高い崖から転落してしまい・・・


その、虫の息の追跡者の「治療」には出番待ちでもあったドクター・キリコが受け持ち、オペ用の手袋をはめながら一切の感情を感じさせない口調でこうつぶやく


ーすぐらくになりますよ



結局、BJとキリコという正反対の道を極めたふたりの天才的な医者の共闘はなく、因果応報にも似た残酷な結末を暗示させる異型のエピソード


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