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らいおんまるからの手紙

ぼくのなまえは「らいおんまる」。

「ちいちゃん」が生まれた時からずっとそばにいる。

「お母さん」によると「フモフモさんシリーズの”ししも”」というのが正式な名前とのことだ。

すっかりくたくたでびろびろだけど、いいにおいだよ。

ほかの子の一時的な人気に、ちいちゃんの「宝物の座」を明け渡さざるを得なかった時期もあったが、最近またとくにちいちゃんに可愛がられているという自負がある。

ちいちゃんがまだなんでも噛みたい赤ちゃんだった頃に、鼻を食いちぎられ、よだれまみれにされた。

お母さんに何度か洗ってもらって、くたくたになった。

それも広く言えばぼくの勲章だと思っている。

夜は、ちいちゃんに抱きしめられて眠る。

ちいちゃんのお出かけにはもれなく付き添う。

気が向いた時には一緒に食卓を囲むこともある。

先日は、アートの島、直島とかいう島にも一緒に行った。

草間彌生のかぼちゃはかわいかった。

ちいちゃんがたびたび主催する保育園ごっこには、ちいちゃんの弟や他のぬいぐるみたちと一緒に参加し、園児の役を見事に演じきる。

そうそう、そういえば図書館の「ぬいぐるみのお泊り会」にも参加した。

家中のぬいぐるみを代表して、一泊、夜の図書館に泊まったことは、光栄な思い出の一つである。

ぼくのからだが元気なうちは、ちいちゃんのそばにいようと思う。

実は、ちいちゃんが小学校に行き始めてから、ぼくはちょっと寂しい。

新しくできたお友だちと遊ぶことに夢中だし、お勉強も忙しいみたいだ。

だけど、ちいちゃんの世界が広がっていくことをぼくは喜ばなくちゃいけない。

ちいちゃんの宝物を代表して。

(ちいちゃんが小学校の「国語」の時間に、ぼくのことを「わたしのたからもの」という作文に書いてくれたらしい)

だいすきだよ、ちいちゃん。

きみの新しい世界をぼくにも時々、見せてね。

らいおんまるより。

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