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感想 ~おまゆさんの絵と声~ 短編小説「ハコダテのがごめ」

おまゆさんとのコラボ作品「ハコダテのがごめ」

今回は裏話ではなく、おまゆさんの絵と声に対する僕の感想を書きます。




◆ ◇ ◆ ◇ ◆

はじめに。

今回の挿絵、僕から強引にお願いして、押して押して、口説いて口説いて、描いてもらいました。
だっておまゆさんの絵もスキなんだもん。

おまゆさんは今後も朗読を続けていきたいと仰っていますが、絵に関しては特別大サービスだったと思っています。

おまゆさん、ありがとうございました。




◆ ◇ ◆ ◇ ◆

~彼女の読解力と表現力~

今回、物語の執筆にあたり、長くなり過ぎないことに気を付けました。
まず第一に、絵本のような物語を目指していたため。
そして第二に、音声配信するにあたり、あまり長くなるのは避けるべき、とおまゆさんからアドバイスをいただいたからです。

そのため、描写をなるべく削っています。
本来の僕であれば夜の市場や公園の雰囲気や、キャラクターの容姿や言動など、細かく描写していたと思いますが、今回はそれが限られているのです。

そしてそれは、挿絵を描く、演じる人間にとっては、ヒントが少ないということになります。

そんな作品にも関わらず、おまゆさんは物語の世界の細かいところを読み取ってくださいました。

僕から設定を説明する前に、おまゆさんの方からイメージを送ってくださいました。

カモメさんもノラネコさんも気の強そうな男だけど、がごめはこの人たちに出会えてよかった!強くなった!

シカさんは個人的にかなり年配?

幽霊さんは「お兄さん」ってくらいだからちょいと若め…?

僕のイメージとぴったりで、とても嬉しかったです。

その後僕からも設定を伝え、たくさんいるキャラクターの差を見事に描き分け、演じ分けてくださいました。
読解力と想像力、そしてアウトプットする際の技術も必要とされる、すごいことだと思います!

自分の作品が他の人の心を通して絵や声といった別の形として表現される……コラボの楽しさを堪能しました。





◆ ◇ ◆ ◇ ◆

~彼女の絵の魅力~

おまゆさんが描いてくださった挿絵、かわいらしいですよね。
個人的マニアックな注目ポイントを書いていきます。


【カモメに驚くがごめ】

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がごめの毛色については描写はありませんし、こちらから特に指定もしていません。
おまゆさんの飼い猫つみれちゃんの毛色を意識しているのかもしれませんね。

表情がかわいらしいのは言うまでもありません。ぐりぐりまんまるのおめめ。四角く伸びた口。

猫などの動物を書くことは結構難しいこと。僕も猫が好きなので時々落書きしますが、あんまりうまくいきません。
しかし、おまゆさんの描く猫の体のライン、猫のポージングはとても素晴らしいと思います。普段から猫を見て、猫と触れ合って、猫を愛しているからこそ描けるんだと思います。
うしろに飛び上がるような姿勢。ぴんと伸びたしっぽや足。おひげもぴんと伸びちゃっています。
めんこいです。


【ノラネコと出会ったがごめ】

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まずはやはり猫の体のライン。しなやかに「うにょーん」と伸びた背中と、「ぼでっ」としたお腹のラインが絶妙です。

表情からは無邪気で好奇心旺盛ながごめの性格が伝わってきます。
また、しっぽからはご機嫌であることが窺えます。

そしてもう一点注目していただきたいのが、耳毛です。猫の耳毛はイヤータフト、またはイヤーファーニッシングと呼ばれています。
おまゆさんの描く耳毛の表現、なまらめんこくないですか?


【ニンゲンたちと出会ったがごめ】

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耳毛も素晴らしいのですが、今回注目するのはこの猫の座ったポーズ。これもまた描くのが難しいのですが……この時の膝がとても愛らしい。
「猫の膝ってどこ」という声も聞こえてきそうですが、要するに後ろ足のふんわりした曲線。
美しいです。

ちなみにこちらはノラネコさんなんですが……

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こちらの膝も素晴らしいです!
いわゆる「香箱座り」に近い姿勢に見えます。香箱座りとはつまり、手足を収納して箱のようになる姿勢です。wikipedeiaはこちら→香箱座り
しかしこの収納しきれていない、箱になりきれていないノラネコの「でっぷり」としたボリューム感……いいもん食ってんだろうなぁと想像してしまいます。猫様のふてぶてしさが表現されています。
この猫らしさを描けるのは素晴らしいです。


【おにいさんと出会ったがごめ】

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耳毛も膝もいいんですが、ここで見るべきは、やや「ふにゃん」としたしっぽやひげ。がごめの不安感が伝わってきます。
そしてやはり柔らかそうな体のライン。もふもふ。


【シカに叫ぶがごめ】

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こちらも表情がかわいらしいですよね。
緊張して揃っちゃっている前足、ぴーんと伸びたしっぽ、ぷりっと突き上げられたお尻。がごめなりの精一杯が伝わってきます。


【がごめのごはん】

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がごめのごはんって描いちゃう。
これを描いちゃうおまゆさんがめいこいです。


【カモメがくわえている魚】

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魚の表情まで描いちゃう。
これによって自然の世界の厳しさが伝わってきます(?)


【ラストシーン】

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ママの表情がなまら優しい。

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なまらめんこい!    ハッピーエンド!



◆ ◇ ◆ ◇ ◆

~彼女の声の魅力~

まず始めに。

小説って「この描写がよかった」とか「あのセリフがよかった」とかコメントいただくことが多いですが……
朗読についても、もっと細かい点に注目して「感動した!」とか「上手い!」とかコメントしても面白いよなぁなんて思うんですよね。



この作品、とても朗読が難しいと思うんです。
まず、「がごめ」が言いにくい(笑)
そして、おまゆさんにとっては聞き馴染みのない地名が出てくるのでイントネーションも困ったと思います。
そして何より、キャラクターのセリフ。キャラクターがたくさん出てくる上に、そのほとんどが男(オス)です。女性であるおまゆさんにとっては難易度が高かったと思います。

しかし、キャラクターの演じ分けをきっちりと心を込めてされていて、とても感動しました!
しかも、録音の仕方は、少しずつ録ってあとから繋げたり編集するのではなく、一発録り。瞬時に声色を使い分けており、期待以上の仕事をしていただきました!



ここから、音声配信でのおまゆさんの声の魅力を細かく書いていきます。

・・・・・前半・・・・・

【前半00:18】 ☆めんこいポイント
「ハコダテ」で一旦区切る優しさ。

【前半00:38】 ◎ここがすごい!
ママからがごめへと、初めてキャラが変わる瞬間。一瞬で演じ分けるその技量に良い意味でぞくっとします。

【前半01:52】 ◎ここがすごい!
カモメの鳴き声の効果音。細部へのこだわりに思わず唸りました。

【前半02:03】
溜めて溜めてからの「ぬあー!」
おまゆさんが苦労したポイントのようです。
「ここで8割ぐらいの確率で咳き込みます(笑)」「つみさん、ぬあーぐあーが言えない……」とDMがきて「わかりました! セリフ変えましょう!」と返事をした途端「言えました!」と返ってきました(笑)

【前半02:25】 ☆めんこいポイント
がごめの「カモメさん」「ねえねえ」というセリフ。舌足らずで幼い感じ。めんこい。ここを聞くと僕は身をよじって悶えます。

【前半02:45】 ☆めんこいポイント
2回目の「ぬあー!」。1回目より勢いが良くてめんこい。顔がにやけます。

【前半03:11】 ◎ここがすごい!
ノラネコのセリフ「フヌケだね」の言い方。「ふぬけだねぇ…」という感じで、ノラネコの気怠そうな感じ、ずる賢そうな感じが表れています。ノラネコとカモメはキャラが被ってしまいそうですが、そこも細かく演じ分けていてすごいと思いました。

【前半03:26】 ☆めんこいポイント
がごめの「ノラネコさん」
「カモメさん」に続いて身悶えポイント。

【前半03:34】
1発目のシャーッ! 「よ! 待ってました!」と言いたくなります。

【前半04:53】 ☆めんこいポイント
ニンゲンたちに対してまだうまく「シャーッ!」と言えず、「しゃ、しゃー……!」と言うところ。「ニンゲンたちは「かわいい」と言って喜びました」と続きますが、僕も「かわいい」と言って喜びます。おまゆさんを捕まえようとしたくなります。僕が警察に捕まります。


・・・・・後半・・・・・

【後半01:08】 ★感動ポイント
「たわむれに……」の歌。男の声が優しくて優しくて……男の僕が惚れてしまいます。あれ、女性の声だからいいのか? とにかく素晴らしいです。

【後半01:50】
シカの「そこの君」というセリフ。物知りで穏やかなお年寄りのイメージで、おっとり、ゆったり、ちょっともごもごと喋る感じ。愛おしいキャラクターに仕上げてくださいました。

【後半02:35】 ☆めんこいポイント
シカの「おや。」というセリフ。「おやぁ?」という、ちょっと間の抜けたのんびりした感じでなまらめんこいです。心がむずむずします。良い意味で。

【後半03:45】 ★感動ポイント
「いちもくさんに駆け出しました」
もともとがごめのセリフがあったのですが削ってしまいました。それでも、ナレーション部分を心を込めて読んでいただいたことで、がごめの気合や緊張感が伝わってきます。気持ちがぐっとノっていきます。

【後半03:55】 ★感動ポイント
酔っ払いに向けた、がごめの渾身の「シャーッ!」
「シャーーーーッ!」という感じで、おまゆさんの気迫も伝わってきます。
ここはやはり外せません。

【後半04:11】 ★感動ポイント
「がごめはママの腕の中にぴょんと飛び込みました」の「ぴょん」の部分。かわいらしい明るい声で、ここで一気に緊張感が溶け、優しい空気に変えてくれます。
ここから続くがごめとママの仲直りのシーン、愛情と優しさが溢れていて最高です。
最後のがごめの「ご飯をちょうだい?」も優しさたっぷり。

【後半05:46】 ★感動ポイント
ママの悩みのセリフを終盤に入れてしまい、下手をすると悲しい空気で終わってしまいそうですが……そこから続くラスト2行、しっかりとスイッチを切り替えて、明るく愉快な雰囲気で読んでくれたので、聴いたあとにすっきり幸せな気持ちを味わえるようになっていると思います!!




◆ ◇ ◆ ◇ ◆

本編はこちら↓


ぜひもう一度おまゆさんの音声配信を聴いてみてください!!


そして皆さんのお気に入りポイントをコメントしてください♪



最後まで読んでいただきありがとうございました!

幸野つみ

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