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SNSが浸透しない音楽業界に「もったいない」と感じる、にわかファンのぼやき

先日、人生ではじめて自分から友人を誘って、とあるアーティストのライブに行ってきた。

私にとってライブは人生で4回目。それなりに好きなアーティストや普段から聞く音楽はあるが、ライブのチケットを頑張って取るほど音楽に対して情熱があるわけではないタイプ。今までの3回は全部知人から誘われたものや、ひょんなことからチケットが手に入ったものだった。

しかし、今回は珍しく自分から友人に声をかけた。前からいいなと思っていたアーティストがいて、たまたまライブをやるとの情報がSNS上で目に入ってきたこと。チケットが5,000円程度で安かったこと。直近CMに曲が使われていて、すごく人気になったら一生ライブに行けないかもと思ったこと。様々な要因が重なり、約4年ぶりにアーティストの音楽ライブに行ってきた。

結果、すごく楽しかった。やはり生で聞く臨場感、会場内の一体感、全員がステージに集中している没入感。そのアーティストをもっと好きになったし、行ってよかったなと素直に思った。

しかし、ライブ中は「もったいない」という言葉が頭から離れなかった。
普段ライブに行かないけど、好きなアーティストのライブが近くであるから行ってみたい!この程度のにわかファンの私からすると、疑問だらけのライブだったのだ。

「ライブがよかったらCDとグッズを買ってね!」は観客の心に刺さる時代なのだろうか

まず、私のようなにわかファンは全部の曲を知っているわけではない。なので、ライブ中のところどころで、今まで知らなかったけれどもすごくいいなと思う曲が現れる。しかしもちろんだけど、その曲の情報がどこかに表示されるわけではないし、最初に曲名を言われただけでは忘れてしまう。犯罪になるから録音や撮影なんてできないし、その場ではいいなと思ったが、その曲を知る術がなく、もうわからなくなってしまった。

………あとでツイッターやインスタストーリーで、セットリストとともに曲のサビだけ流してくれればいいのに。投稿のリンクでApple MusicのURLをつけておいてくれれば、課金をしてそこからダウンロードするのに。事前に告知をすればセットリストを知りたくない人にも影響ないし、ストーリーなら24時間で消えるし。「もったいない。」そう、思った。

新曲をライブで披露するという瞬間があった。ステージ上で「みんなこの曲広めてねー!」と言っていた。

………新曲だけ携帯取り出しOK、SNS投稿OKにすればいいのに。昔だったらCD買って友達のMDに焼いてあげて広めるようなこともできるけど、CDもMDも使わなくなったし。曲名のハッシュタグつけさせてSNS投稿OKにするだけで、同日同時刻に数百人がアップをすれば大きな宣伝になるのに。そうしたらその場にいるファンがインフルエンサーとなって、新曲を宣伝できるのに。「もったいない。」そう、思った。

ライブの最後には「会場出たところでCDとグッズを売ってるから、みんなぜひ買ってね!」と言っていた。

………正直、そのアーティストがどんなに好きでも、CDやグッズという物体としての物は持ちたくない。会場にApple MusicのQRコードを貼っておいてくれたら、そこからダウンロードするのに。ライブ後にApple Musicのページを貼ってSNSを更新しておいてくれたら、そこから買うのに。グッズもタオルやTシャツはかさばるので、noteやクラウドファンディングで無形コンテンツを配信してくれたら課金するのに。なんなら、すごく極端な考え方ではあるが、会場のスクリーンの片隅にQRコード表示してくれないだろうか…。「もったいない。」そう、思った。

ライブはとても楽しかった。そのアーティストがもっと好きになったし、また行きたいなと思った。

………しかし、東京ではしばらくライブはやらないようだし、地方遠征に行くほどの情熱は、にわかファンの私からすると正直ない。どこかのLIVE配信サイトと連携して、臨場感のある角度から動画配信してくれれば、数千円課金して見るのにな。「もったいない。」そう、思った。

上記から「コイツは音楽にお金を払う気がないのではないか」と思われる方もいるかもしれない。声を大にして言うが、全くもってそういうわけではないし、良いコンテンツに対してはキチンとお金を支払い、そうすることで継続してコンテンツが作られていく方が良いと思っている。

しかし、今の音楽業界の課金の仕組みは私のライフスタイルに全くと言っていいほど合致していない。

CDやグッズを買うことでアーティストにお金を還元し、SNSへのコンテンツアップロードは例外なく全てが違法で全てが禁止。この慣習を見直すべき時がきているのではないだろうか?

検索数を2倍に上昇させた、フジロックのYoutube配信

日本最大級のフェス「フジロック」が今年も無事に終了した。
今年から新たな試みとして始まったのが、YoutubeでのLIVE配信。

インタビューの中で担当者は下記のように語っていた。

一方で、ライブ配信によって「来場者が減るかもしれない」などの懸念はないか。この問いに対し、担当者は以下のように話す。
「もちろん初の試みですので、若干の懸念はありますが、それよりもライブ配信を観て、くやしい想いをされた方が翌年来場いただけるのではと期待しております」
引用:https://www.huffingtonpost.jp/2018/07/04/fuji-rock-decides-to-live-stream_a_23474665/

実際に開催期間中は「LIVE配信見てたら行きたくなった」「来年は絶対に生で見たい」「Youtubeを通して初めて見たけど、興味が湧いたし行きたくなった」というような担当者の思惑通りなコメントがSNSに流れた。そして、本施策だけの影響ではないだろうが「フジロック」というワードの検索数は従来と比較して約2倍に伸びる結果となった。

「コメント欄が荒れた」などの課題もあるようだが、潜在的にフジロックに興味を持っている人たちに対して、会場に行きたくなるようアプローチできたことは間違いない。来年のチケットの売れ行きや話題性が、今から楽しみである。

ちなみに私は初日の金曜日はYoutubeで配信を見て、土日は会場に向かったのだが、やはり会場で生で見る迫力、臨場感、没入感、一体感は、Youtube配信とは比較できない素晴らしさがあった。「Youtubeで見られるなら行かなくていいや」ではなく、「Youtubeで見たら行きたくなった」に感情がシフトするだろうということを身を以て実感した。

何でも無料で手に入る時代だからこそ、「投資したいと思えるもの」を探すSNS世代

最初にも書いた通り、私は音楽に関しては特に詳しくない「にわかファン」である。おそらく私が想像しえない様々な事情が、SNS活用や課金形態移行のリスクとして存在しているのだろう。しかし、にわかファンだからこそ、「音楽業界の当たり前が当たり前ではなくなってきている」にも関わらず、それに目をつぶり、時代に沿っていない慣習に捕らわれる有望なアーティストがいることに、心から「もったいない」と感じてしまった。

CDが売れなくなり、違法アップロードが蔓延し、「音楽業界は衰退していく」という声を聞く日も少なくない。しかし、何でも無料で手に入ってしまう時代だからこそ、SNS世代の若者は「投資したいと思える本当に好きなもの」を日々探しているように思う。好きなアーティストがいても、CDやグッズを形あるものとして買うことに躊躇いを覚え、止むを得ず投資しないと判断する人も多いはず。ライフスタイルの変化に合わせて、業界の慣習自体がもっと変化してくれたらいいな…と「にわかファン」だからこそ、率直に感じた瞬間であった。

「変えられない」ではなく「変えたいけどわからない」のであれば、ぜひお手伝いさせていただきたい…!
その道に詳しい人に届くといいな…(-人-)


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