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私のデザイナーライフ その①

私が長い間”仕事”としてお金を頂き続けて来ていることは服飾デザイン。なんとか20年たった今でもこれでご飯を食べていけるように学校にいれてくれた母とたくさんの事を教えてくれた大学の恩師、たくさんの同僚らには大変感謝している。そしてへこたれずに続けてこれたことだけは自分を褒めたい。なぜって私は自営業やアーティストの親族の中で育った。いわゆる企業に勤めてザ・サラリーマンをしているのは私だけで、会社で働くという価値観を理解するまでとても時間がかかった。

会社ではデザインされたものは、年にX00万枚位(詳しい数字/会社名はnoteでは秘密ですが)生産されていく。その数は決してすごく大きなわけではないけれども、全く小さくはない。中くらい?
カナダでデザイナー駆け出しの当時に夢みたこと『デザインしたものがたくさん生産されて欲しい』は叶った。

しかし!それでも燃焼しきれぬ何かがいつも自分の中にあり、個人でも何かを常にデザインし製作してきた。いざ自分でブランドとなると話が全く違った。そんな何万枚なんて製作するのは会社だから出来ること。スペシャルなヨガのブラトップような作品(あえて「作品」と書かせていただきます)であれば特別なミシンが必要なため自宅では縫えずにパターン、サンプルと外にお願いすることになる。もちろん数を”かなり”たくさん作れば少しは安くなるけれど、在庫にリスクをとる事はできないのが現状。

普通の布帛(伸びない生地)の場合は、1からコツコツと手作業になる。1人では手は足りずに妖精さんにお願いすることはよくある。

これらのサンプル1つを作るまでの生地手配、労力とコストは計り知れない。簡単にはできない。

このような事は個人で始めるデザイナーで資金がないならよくある話。私もすでにカナダから帰国したときにはこのループにはすでに1度引っかかっていた。小さなブランドが大きく活躍しようとするにはいろいろなハードルがあった。それはいいわけで才能と運が足りなかったのかもだけど。美術モデルをしつつ資金を稼ぎ暮らしていたがついには限界を迎えてカナダから持ち帰ってきた自分のブランドを辞めて働くならここ!と決めていたイッセイミヤケに就職したのだった。今は転職し違う会社だけれども。

それから何年もたち、、今回また2度目の同じループに引っかかっろうとしていた、、、←懲りない🥲

が、

しかしだよ、よーく考えてみた。カナダにいた頃は、自分のデザインを1つ1つを管理が届く範囲で作りなんとか回していた。お客さんもいた。地道だが幸せでそれで成り立っていた。

もはや同じようにしたら今も作り続けられる?変に周りをみずに、自分のやりたい目の前のことをやり、拡大や拡散精神を手放す。

あれ?!

もしかして、、カナダの時のようにできるのかもしれない。

マーケットの価値観も変わってきている。

サスティナブルな世の中になってきている。

たくさん作らない事はエコであり、そこにもっとパーソナルなデザインを加えたのならば購入する方もきっとありがたいだろうし、私も嬉しい。

もはやパーソナル”こそトレンドなのではないか!

欲を出さずに、、、目の前の事を、、

例え、毎日がフル活動になって週末の全てをついやしても、撮影やwebsiteまでやらなくてはならなくても、企業ではなく小回りの効く個人でなければできない事に重みをおき、ゆっくりマイペースで1つ1つを目の届く範囲でやっていきたい。

それが最近やっとわかった事。

そりゃあ
有名な”誰か”が着用しましたとか嬉しい。

たくさんの人が手にしてくれるのも嬉しい。

でもありがたい事にそれらの欲望や拡散欲みたいなもの全部は企業デザイナーとしてすでにある程度を味わってきた。

1つの村のみんなが私のデザインした服を着用できるくらいの服が毎年生産されても満足しなかった。その何か心がポカンとするものはなにか?

わかってきた事は、私の”欲しい物”は拡散率、有名人の着用率ではなかった。

そこに重点をおくマインドは確実に何かを崩す。

欲しいのは、ゆっくりと”私”のわかる範囲で「見える人」に本当に喜んで頂ける物作り。重要なのは自分のやりたいようにだけ素直に表現すること。広める、拡散という意識が中心の時代のど真ん中で、しっかりとした意識を持った方向にゆっくりと自分のペースが必要。世の中の波に乗るわけでも背くわけでもなく、飲まれるわけでもなく、、、進みたい。

いつのまにか誰の為でもなく自分の為に何かを表現することは、誰かの為に表現することよりも難しくなっていたのかもしれない。

そして趣味といえよう儲けの上がらない作品的な服作りをできるのも、企業デザイナーとしてのこれまでの経験があるからで何も知らないでなんて出来るわけがないこの経験にやっぱり感謝。

そして逆に、、

企業デザイナーとしても自分の中のバランスを保つには今の個人での製作活動はとても重要。

企業デザイナーとは不特定多数のターゲットとした人の為の物を自分の意思とはまた別の部分で作り出す。

私個人の製作とは私の意思のかたまり。

これらは真逆。おそらくこの陰陽的な関係だから両方が成り立っていると思っている。

そんな長年の日々。

この度展示いたします。

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ギャラリーおかりや 銀座
10/6-10/11

長々と読んで頂きありがとうございます😊

Yukiko The Witch




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