君が星こそかなしけれ
一年前の写真を見ていた.
息子が大きくなったら行きたいねと妻と話していたホテルに泊まった時のものだ.
その年の遅い夏休みに,もちろん一人で.
夜に海辺を散歩できる庭は,妻との最期の旅行を思い出させた.
海を向いた露天風呂からの景色.
夜はもう肌寒い季節だった,対岸の灯りと,曖昧になった水平線を見ながら湯に浸かる.
真上には満月、東の空には冬の星座が浮かんでいた.
君たちが見たら何というだろうか.
君たちが星ならどんなに美しいだろう.
消えてしまうのはどれほどかなしいだろう.