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時間薬という言葉.
時間が解決してくれる,時間が経つことでしか解決できないということ.
僕たちを慰める時にその言葉がよく使われる言葉.だから,正直に言うとあまり好き言葉ではない.
なにせ,言われすぎた.
そうとしかいえないものは思いのほか多いと,決して長くない人生でも感じることはあるから尚更だ.
 
愛する人の死,不在,そのかなしさは時間が経てば解決するのだろうか.
思うのは,やり過ごすことが,少なくとも前よりできるようになったということだ.
日々訪れる他人の行動や言葉,余計な気遣い,不意に訪れる不運やトラブル,決まってやってくる一人で過ごさなければならないイベントなどを.
それが,人の目には時間が解決したように見えるのならばそれは構わない.
 
一緒に生まれてきたわけではないし,出会う前だって普通に生きていたのだから,僕たちの身体には脳にはそんな治癒能力があってもおかしくないとは思う.
それでも時折,かなしさや寂しさより先に,体の一部を失くしてしまった様な感覚をおぼえることがあるのは僕だけでないのではないだろうか.
 
大切なもの,家族,その笑顔と生活のためなら何にでも堪えて踏ん張る力が僕らにはあったと思う.
でも今は,そこから力を借りてくるようなことができない.
日々を生き抜く力となるのは,その日食べたもの,睡眠時間,少々の前向きの気持ちだけだ.
それでも足りないなら身と心を削ることしかないように思う.
 
大事な勝負のときにそれが言い訳にならないように,よく食べよく寝て,強くありたいと思う.
薬などいらないくらいに.


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