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【エッセイ】小学1年生の怖かった先生

#忘れられない先生

思わず書きたくなったお題。
”先生”という言葉を聞くと、いい歳になっても小さい頃のことがいろいろ思い浮かんでくる。やっぱり幼少の頃の親じゃない大人の先生とのやりとりは、忘れられない思い出になっていることが沢山ある。

今日は、一番最初の思い出の先生を振り返ってみたい。
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小学1年の時の怖い先生

幼稚園の時、甘えん坊で恥ずかしがり屋だった僕。
その時の先生がめちゃ優しかったこともあって、わがままし放題。

友達同士だと、TVコマーシャルのモノマネをしたりして、目立ちたがり屋な性格だったけれど、みんなでお遊戯の時間のお絵描きとかを1つも描かなかったり・・卒園するときのアルバムが、画用紙1枚しかなかったしw
なぜか不貞腐れている先生を困らせるタイプだった。

そんな感じで小学校に入学・・
1年生のクラスの担任は、めちゃめちゃ怖いと噂の西出先生というひとだった。
友達たちが噂をしている。

「西出先生ってめっちゃこわいらしいで〜」
「ゆきちゃん、絵かかへんから怒られるんとちゃう〜?図工の時間やばいやん」

「そんな怖い先生でも、絵なんて書かへんしな〜。っていうか絵とかかけへんし!」

その時の僕のキャラは、卒園アルバムが1枚しかなかった問題児。
友達の中でも変に有名になっていたので、強がりをいっていた。


西出先生の顔は、痩せこけている感じで、普段はあまり笑わないひとだった。授業も淡々と進めて、忘れ物をすると手の甲をつねったり(三重弁ではチミギル)廊下に立たされたりしたから、みんなからは”怖い先生”と言われていた。


初めての図工の時間

そんな感じで、無情にも図工の時間でお絵描きの授業がきてしまった。
その時の授業は「運動場にでて、なんでも好きなものを画用紙に書いてみよう」というもの。

画板と画用紙と色鉛筆が渡され、授業がはじまった。
クラスのみんなは嬉しそうに運動場に飛び出している。

「なに描こかな〜、おれはジャングルジムかな」
「わたしは花にしよかな」「おれは小屋のうさぎにしよ」
「ゆきちゃんは、絵は描かへんのやろ〜、先生に怒られるで〜」
・・・

幼稚園までは、優しい先生だったから、わがままな反抗は許されていたけれど、もう小学生になったし、ましてや担任は怖いと噂の西出先生。

正直、真剣になって絵を描いたことがなかった僕は追い込まれた。
今更、一生懸命に頑張って描いて、その絵をみんなから「へたくそ〜」とか言われたら、恥ずかしいから嫌だった。
それが正直な気持ちだったことを改めて感じていた。

(なにか、描いてみるか・・)

怒られるが怖いこともあって、頑張って何か運動場にある一番簡単に書けそうな遊具を探す。

(一番人が集まっていない”ろくぼく(当時はろくろぼうと呼んでいた)”にしよう。これなら簡単に書けそうだし・・・)

肋木(ろくぼく)は、鉄棒が何本もハシゴのようになっていて登るだけの人気がない遊具。
僕はその前に座って、画用紙に横棒を6本描いて、それでお絵描きを終わりにした。

(これで・・一応描いたから、怒られなければいいけどな・・・)

すごく不安な気持ちで教室にもどった。


教室でお絵描き発表

教室にもどると、みんなおのおのに描いた絵を見せ合って、楽しそうに会話をしている。

「すげー、すべりだい、かっこええなー」
「うわー、このにわとり、おもろい顔しとる〜〜〜」

「お〜、ゆきちゃんが絵をかいとるぞ〜」
「でも、棒だけやん〜ははは!!!」

まあ、そんな感じになることは予想していたけれど、すごく恥ずかしい気持ちと、先生に怒られないかドキドキした気持ちで泣きそうな顔になっていたと思う。



西出先生は、怖い顔でみんなの絵を見てまわる。
一通り、見終わった後、教壇に立って話し出した。

「みんな、本当に上手に描けてますね。これから先生がよかったと思う人の絵を発表します。名前をよばれたひとは前に出て絵をみんなにみせてくださいね」

怖そうな顔でいうから、教室はシーンとしていて、そんな怖い先生が誰の絵を選ぶのかドキドキしていた。

「3人選びました。ひとりめは、ノブタカくん、上手にジャングルジムをかけてました」
「ふたりめは、かおりさん、きれいなお花がすてきですね」
「さんにんめは、ゆきひろくん、がんばって上手にかけてましたね」

え・・・と驚きすぎて何が何だかわからない気持ちで、前に出て、絵をみんなにみせて拍手をしてもらった。

その時に、ヘタクソな絵をみられることの恥ずかしい気持ちが消えて、いままで頑張らずに絵を描かなかった自分がすごく恥ずかしくなった。


怖い西出先生のおかげで絵を描くことを好きになった

それからの僕は、休み時間や放課後などノートや教科書に絵を描くのが大好きになった。らくがきもしまくった(笑)

小学校高学年の頃になると、白紙の分厚いノートに、ヒーローものや、ギャグ漫画や4コマ漫画などなどを、友達を誘って何冊も描いていた。

絵を上手に描けるキャラで、クラスの人気者になれていたように思う。



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大人になっても、絵を描くことで仕事にも役立ったりしたことも多い。

#忘れられない先生
はじめての怖かった先生の思い出は、厳しいけれど、生徒のことを誰よりも考えてくれる優しい先生だった。

シャイでひねくれ者の僕に、自信を持たせてくれたはじめての先生。

10年ほど前、西出先生は校長先生になったと母から聞いたような気がする。
他にもいろいろな先生は思い出すけれど、一番最初の”忘れられない先生”の思い出だ。



©️Mahalopine


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