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新酒を作る事無く未来の熟成酒を語る愚

例えば、美味しい熟成シングルモルトスコッチを伝統文化系に例えてみると、常に次に出荷するための新酒を仕込んでおかなければならない=常に未来の熟練職人となる若い人たちを入れて育成し続けていなければならない、という事は誰でも納得される事と思います。

そうしないと次の12年もののシングルモルト、あるいはもっと古いもの・・・が出せなくなってしまうのは当然ですから。

もし新酒の仕込みをしない醸造所が「伝統的な本物のシングルモルトの未来」を語ったら、その醸造所の代表は狂っていると思うでしょう?

現状の日本の伝統文化系の多くはその「新酒を仕込まない醸造所状態」です。

若い人を育てていないのに、若い人たちに活躍の場を与えていないのに、伝統文化の未来ガー!なんてやっている・・・

もし「熟成原酒なんて他所から仕入れてウチなりのブレンドをすれば事足りる。シングルモルトである事に意味は無い」と思うなら、それは自醸造所の未来を他人に預けてしまった事になります。

もちろん現実的経営では、自醸造所で新酒を仕込み、かつ必要なら他所から原酒を買い付けし、安定した品質を維持するように努める事はありますが(←シングルモルト以外では)新酒を常に仕込んでいないなら「オリジナルは名乗れない」と思います。

それは、例えば国や自治体の助成金を頼りに「形だけやっていたのではダメ」で、キチンとした行動原理と哲学を持って、当たらなければなりません。

「当たり前の事をする・それをやり続ける」のは大変なのですが、それを怠るようになったら、また、そのための熱意を失ない、先人から引き継いだ種籾を自ら食べてしまっているなら、その文化は自ら終わりに向かっているのです。

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