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ルドンの色

私が画家のオディロン・ルドンの絵を初めて観たのは、小学三年生ぐらいの時だったか・・・

小学校の教科書だったか・・・小学校の図書館だったか・・・木炭画か、版画のモノトーンの、不気味な生き物や、室内の絵でしたが、靉光の「眼のある風景」と同じぐらい、小学三年生の私を恐怖のどん底に落とし込みました。

が、怖く気味悪いけども惹かれる、という子供には扱いきれないような感情のまましばらくし・・・

中学生ぐらいになると、感覚も思春期になり、そういう気味悪いものも愛好するようになり、普通に眼に見えている世界とは違うけども確かに存在する、そんな世界を絵にしてみせるルドンの魅力にハマりました。ルドン独自のパステル画や油彩の色の美しさにとても惹かれ、高校生になると、真似をして描いてみたりしました。

ルドンのパステル画は、パステルの粉がまるで蝶の鱗粉のような感じの美しさと危うさで、ルドンの作風にとても合っていると思います。

何にしてもルドンの色は素晴らしい。

ルドンは「色を発光させる」のです。

ルドンの色は「なんとも形容しがたい彩度の低い色」の使い方が実に上手い。その色単体で観たら、汚い色、というぐらいの色です。絵の具の補色同士を混ぜた、くすんだ色を多用するのですね。

その何色と特定出来ないようなくすんだ色をベースに、彩度の高い色をハイライトに使うと、その彩度の高い色は正に「発光」するのです。

一般的な絵画技法としての色の使い方だけでなく、自分の表現に合った色の使いこなし方というものがあるのだなあと高校生当時の私は思いました。

その色の使いこなし方と、色に対する姿勢に、とても影響を受けました。


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