対立するものを作り出さなくて良い
私は、創作や、何かしらの考えの表明において、何かを否定することで自分の個性の輪郭を立たせようとする手法は、もう古いと思っております。
もちろん、これは何かの問題点を見出しても指摘するな、という意味ではなく「何かを褒めるのに、他の何かを貶す必要は無いよね」という意味です。
また、比較して説明する必要がある場合も別です。
良くあるのは、
「〇〇は△△よりもココがずっと優れている」というタイプの構文ですね。
例えば
「呉服は、洋服よりもここが優れている!」
「呉服は、洋服には無いこういう良さがある!」
とかいうものです。
が、実際には、呉服にあって洋服に無いとされているものは、洋服にもちゃんとあります。
背景にある文化の違いや価値観の違いを、美意識の優劣に言い換えて相手を下げても意味がありません。
そもそも、自分が良いと思うものを褒める際に、他の対立する何かを設定しないと成り立たないのなら、それは脆弱な個性という事になりますから、良く考えてみれば、そういう手法は自分で自分を落としているようなものです。
最近はマスメディアでも上記のような手法が少しずつ減って来ていて、良い傾向だな、と思います。
以前はテレビ番組で一般視聴者参加型のものだと、タレントが一般人をいじって落として番組を盛り上げる手法が取られていましたが、最近は一般の人たちの仕事や功績の、カッコイイところをちゃんとカッコよく映像をつくり、その素晴らしさを皆で分け合うという流れのものが増えて来て観ていて清々しいです。
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