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私は「推し」という言い方が好きです

題名の通り、

私は、若い人たちの「推し」という言い方が好きです。

昔なら「贔屓」、普通に言えば「ファン」なのでしょうが、それらとは微妙に違って・・・何というか、上からの態度で「応援してやる」ではなく、自分が好きなものを産み出す人自体を後押しするような姿勢に感じます。その人自身が幸せになって欲しい、という感じ。(全ての人がそうではないのでしょうけども)

自分の好きな俳優さんでも、声優さんでも、漫画家さんでも、芸人さんでも、ミュージシャンでも(その他いろいろ)自分の好きな人と作品を、この素晴らしさを他の人にも知らせてあげたい、この人が羽ばたくところをリアルタイムで見たい、その創作活動をいつまでも続けて欲しい、という心持ちなのでしょうか。なんだか良い感じです。

しかも、ノリは重くないのに、その「推し」の人に対しての情報を沢山持ち、実に深く研究していて、同じ推しの人を応援する者同士の会話がディープで熱いですね。いわゆる呉服関係で、あそこまで作者の事を深く細かく、過去も現状も研究して、その創作を掘り下げてファン同士で新しい価値観を作り出し、盛り上がる事はほぼ無いと私の経験上、思います。かつ、自分の「推し」に迷惑がかからないようにしている感じ。うらやましい。

(「推し」という言い方は、AKBのファンの人たちが発祥で、そこからいろいろな分野で使われるようになった、という話がありますが私は詳しくは知りません・・・)

ともかく、SNSなどで、自分の「推し」を語る人たちの熱意と愛情に、わたくし感心すると同時に羨ましさを感じるのであります。(推しへの愛が強すぎて揉めたりもするようですが・・・)

そんなわけで、こういう「いい感じのノリで」伝統系工芸系にも「推し」の文化が広がると良いなあ、などと思ったりします。

初老のわたくしですので「推し」の使い方が間違っているのかも知れませんが(笑)ともかく、それはそれとして、話を進めて行きます・・・

伝統工芸系や、その他、先細って行く文化系の何かを好きになって楽しんでいる人で、その文化の界隈を応援したいけども、どうしたら良いか分からないと思っている人は意外に多いのではないか?と想像します。その界隈がマイナー過ぎて分かりにくいのです。決まりごとも多いですしね。

それを学ぶには、知るには、どこかのお教室に入ってどなたかの弟子にならなければならないとか、そこでいろいろ搾取されたりという事もあります。それ系の中の人や界隈の人はキョーレツな人もいたりしますし。笑

さらに、なんだか由緒正しいらしい人の作品や、マダム雑誌常連の先生方の作品にはあんまり興味を惹かれない・・・となると、余計に応援・支援の方法が分からない・・・なんて感じかと・・・

私は和装業界で多くの時間を過ごすので、和装を例にしますと・・・

和装業界の団体や、大手の呉服店、大手着付け教室などが主催するイベントに参加したり、そこで買い物をする、という事が比較的とっつきやすい感じがして、そこで作り手に少しでも応援・支援を・・と思う人は多いかと思います。

しかし、そういう方法だと現実的に支援したい人にその支援品(お金)は殆ど届きません。そもそも、そういう会に呼ばれて展示出来る人が作り手の全てでもありません。

長年先細ったままの業界は、構造上、業界の上の立場の人たち自身がその業界を先細らせている原因になっている傾向がありますので、そうなってしまうのです。

これは、その業界人が悪人とかそういう事ではなく「組織や団体は長年続くと機能不全を起こす」という当たり前の摂理によります。制度疲労を起こして機能しなくなっているのです。最初にどんな高潔な意図を持っていて実行もしていた素晴らしい団体であっても、それは起こります。なので、人々からのせっかくの現実的支援が、業界の良く分からない決まりや仕組みの中で霧散してしまうのです。

なので、「気になる人を直接支援すると良い」のです。

それは決してむづかしい事ではありません。

現代は、SNSの時代ですから、ネットで検索すると作家さん自身が発信するものがいろいろ出てきます。そこでSNSやブログ、サイトなどで発信している作家さんや、その界隈の情報を得られます。そこで、興味を持った人の事を調べたり、その人の日常を観てみたり、その作家さんのお取扱店を調べたりすると良いと思います。

直接というのは、例えば私のような仕事だと、その作り手さんから直接購入する、という意味だけではなく(直接販売はしない作り手さんも多いですし)どこかのお店で、その作り手さんの話をしたり、そのお店で購入する、というのも直接的応援になります。

多くのお客さまからその作り手さんの話題を振られれば、お店が現状その人を取り扱っていなかったとしても無視出来なくなり、取り扱うようになるかも知れませんし、取り扱っている所なら、取り扱い量が増えるかも知れません。

「推し」の作り手さんなり、職人さんなりのSNSやYou Tubeがあればそれを閲覧し、いいね!を押したり、記事をシェアする事でも良いですし、その人の話題を知人や友人に話すのでも良いわけです。

この「直接支援」は作り手だけでなく、お店の店主さんやスタッフさんも含まれます。

このお店のセンスはとても良いし、販売価格も良心的で、店主さんやスタッフさんの姿勢も素晴らしいので、是非このお店は続いて欲しい!応援したい!という事も多いにあって良いわけです。

普通に自分の好きなアイドルを「推す」の同じように、その作り手さんや、お店の店主さん、スタッフさん個人を「推す」という事ですね。

「推し」の強度と熱量というのは人によって違うでしょうけども、伝統系だからといって決まりや社会的な評価なんて関係なく、自分がいいな、と思う個人を直接応援・支援すれば良いのです。個人が個人を応援・支援するというシンプルな形です。

まあ、元々好きな人は既に自然にやっている事で(ありがたい事です!)そういう人たちにとっては、何を今更?という感じだと思いますが、しかし改めてそういう行動を書き起こして確認すると、より明快になる感じがするので、こんな記事を書いてみた次第です。

現実的に、多くの伝統工芸手作り系の分野は、その文化の界隈全体を残そうとしても、もう無理な時代に入っていますから、個人を応援・支援、という形式が実行的で良いかと思います。そこで「個」が生き残れば、旧弊の業界ではない「新しい動き」が産まれる可能性も出てきます。

キチンと基礎を身に着けた作り手さん、あるいはお店の人がそれぞれ20人、可能なら30人でも残れば・・・少なくとも維持する事は可能です。さらに多ければ新しく何かを起こす事も可能です。

・・・と、思うのであります。


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