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憧れの大学職員を辞めた理由(前編)

憧れの大学職員を辞めました。

学生時代からずっと就きたかった仕事でした。
学科事務室にいた事務職員のXさん(派遣職員さんでした)にはいつもちょっとした勉強の相談をしたり、履修登録の漏れがないか見て貰ったり、お世話になっていました。学科の教授たちと冗談を言い合っている様子も、とても楽しそうに見えました。
ある日ふと「私も大学事務室の仕事がしてみたい!」と気付きました。
Xさんに打ち明けると「思ったなら今度は行動しなさい。考えているだけじゃダメだよ。」とアドバイスされ、すぐに行動を開始したのでした。

就職活動は決して楽ではありませんでした。
大学職員の新卒採用は、毎年何らかの求人が必ずあるとはいえ、狭き門です。求人は「大学職員への道」というサイトや、大学のホームページを見て採用情報を検索して探しました。
何校もの大学に応募しては書類選考で落ち、一次面接で落ち、最終面接まで行ったのに花が咲かなかったところもありました。ある大学の採用説明会では、出てきた職員さんの態度(先輩職員を舞台上に並べて一人ずつ出身大学を言わせたり「教員は馬鹿ですから!」と言い放ったりした)に幻滅し応募を取りやめたこともありました。それでも、面接の後の楽しみを設定して半分遊びのように楽しみながら、落ちても落ちても、何校もの大学の採用選考に通い続けました。
筆記試験も面接もなぜかすんなり通過し、気づけば最終面接まで進んでいた大学がありました。ご縁はあったのだと思います。その大学こそ、正社員として10年ほど勤める事になった、とある医療系大学でした。

嬉しかったですし誇らしかったです。
学生時代に憧れた大学職員になれる。自分がかつてお世話になったように、たくさんの学生さんや先生方を支えることができる。
新入社員だった頃の私には希望しかありませんでした。

そんな私が何故、憧れの、しかも正社員の大学職員を辞めたのか、前編・後編に分けて少し長めにお話ししようと思います(この原稿は前編です)。
ご興味がある方、同業の方、大学職員就職を目指す方など、届いてほしいところにこの記事が届くよう、記事の一部を有料とさせていただくことにしました。
なお、退職検討理由の整理なので抽象的な話が多く、大学職員の普段の仕事ぶりを詳しく知りたい方には物足りないと感じるところがあるかもしれません。

※この記事は前編です。後編を読みたい方はこちらへ。

※退職一年後の振り返り記事はこちら

●全大学には当てはまらない

最初にお断りしておかなければならないのは、全ての大学職員が私と同じではないですよ、ということです。私が「楽しい」、または「ひどい」と書いていたからといって、全ての大学に当てはまるとは限りません。

時々言われる「大学職員って楽なんでしょ」というのも、ちょっと違うんじゃないかなと思います。
年度末や前期後期の変わり目、次年度予算編成、決算など、残業しなければならない時期もあります。
また、大学の教務系、学生系業務では成績や国家試験、就職指導など、学生さんの将来に関わる仕事が多いので、決していい加減な気持ちで、ゆるゆるダラダラで仕事をしていいというものではありません(残念ながら、ゆるゆるダラダラな人は大学職員のなかにもいます)。
福利厚生の手厚さや利益を追求しないのんびりした雰囲気は、そうした取り換えようのないものを扱っているからこそ得られる報酬だったと、ここでは言い切ってしまうことにします。

もう一言付け加えるとすれば、大学職員は真面目に一生懸命仕事できる人が向いています。事実、そういう人は非常に多い環境だと思います。そして、そういう人ほど、特に人を大事にしない大学ではつらい思いをする可能性が高いです。「こういう大学では働かないほうがよさそうだな」と思っていただければ間違いないかと思います。

●大学職員の仕事内容

大学職員は「学生窓口の人」のイメージが強いと思いますが、「関東甲信越地区国立大学法人等職員採用試験」のホームページを見るとそれ以外の仕事のイメージを持てると思いますので、なじみがない方はご覧になってみてください。

●転機は病気休職

一年前の春、私は布団の中にいました。

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