TESOLという学問
私は現在オーストラリアのウーロンゴン大学の修士課程に在籍しており
TESOLを専攻しています。
これは
Teaching
English to
Speakers of
Other
Languages
の頭文字をとったもの。
つまり、英語を母国語としない人たちに対して英語をどのように教えるのか?を研究する学問です。
日本語では「英語教授法」と訳されます。
1960年代の初めごろから学問として隆盛し始め
今では世界中、主に非英語圏で研究が進んでいます。
オンラインで受講できるコースも多いので
日本にいながらにしても学ぶことは可能です。
TESOLにはいろいろなアプローチ方法がありますが
ウーロンゴン大学では主に【教育学的観点】から英語習得にアプローチしています。
具体的にどんな内容なのかというと
「ある指導法(学習法)」が、「ある学習者層」にどれだけ効果があるのか?
を追求していくアプローチ方法です。
例えばシャドーイングという学習法を例にとってみましょう。
シャドーイングとは、聞こえてきた英語の音声を聞こえた通りに発音し、音声を追いかけながらスピーキングをしていく学習方法です。
スピーキング力向上だけでなくリスニング力向上にも効果があることで広く知られています。
「広く知られています」と書きましたが
それは繰り返し実験を行う中で明らかになったことです。
初めは「シャドーイングという学習法が効果があるかもしれないぞ」という仮説から始まり
実験を行ってその中で効果があることが証明されて初めて
「シャドーイングは効果がある学習法である」
と言えるわけです。
TESOLの分野ではそういった学術論文が山ほどあります。
そのひとつひとつを見ていくと
学習法は同じでも、学習者層を変えて実験を行っていることがよくあります。
「日本人の20代前半の英語学習者」を対象に実験しているものもあれば
「バングラデシュ人の高校生」を対象に実験しているものもあるのです。
それは、第二言語習得が母国語に著しく影響を受けるためです。
学習者の持つバックグラウンドによって英語学習のプロセスやその難しさ、苦手分野などは大きく変わります。
そのため、それぞれの学習者層に対して実験を行い
英語指導法(学習)の効果測定をする必要があるのです。
シャドーイングの効果について上記で言及しましたが
数多くの学術論文において、日本人学習者を含むさまざまな学習者に対してシャドーイングの効果は証明されています。
仮に、シャドーイングに関する実験が一度しか行われていなかったとしたら
「シャドーイングは効果がある」
と言い切ることはできないでしょう。
このように、TESOLの分野では
「ある指導法(学習法)」が「ある学習者層」にどのような効果があるのか?
を確認するための実験が日々行われています。
オーストラリア国内にはTESOLの権威と言われる大学が2つあります。
ひとつがウーロンゴン大学、そしてもうひとつはマッコーリー大学です。
ウーロンゴン大学と異なり、マッコーリー大学では【言語学的観点】から英語指導にアプローチしているそうです。
つまり、言語そのものの構造や特徴に焦点をあてて指導法を研究しているんですね。
具体的な内容はわかりませんが、そちらも面白そうだなと思います。
いつか機会があれば、どんな研究をしているのか覗いてみたいものです。
すでに3学期分の勉強を終え、12科目を修了しました。
そのうち8科目がTESOLの科目です。
それぞれの科目でどんなことを勉強したのかについてはまた改めて書きたいと思います。