ゆきだるま

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「長靴をはいた猫」感想分

アニメーターの大塚康生さんがお亡くなりになった。まだまだお元気でいらっしゃると思ってたのでかなりショックを受けています。 追悼の意味で東映動画の名作「長靴をはいた猫」を観ました。とりあえずすぐ観られる状態にあるのがこの映画だったので、これが大塚さんの代表作というわけではありません。それでも「動き」の楽しさはたっぷり味わうことが出来ます。なんと言っても黄金期の東映長編動画ですから。 以下、久しぶりに観た感想を書きます。「長猫」未見の方は読まない方がいいかもしれませんが、スト

    • Diet or Alive (Part.12)

      あれから絶食してるはずなのに まだ死んでない。 夫が言う。 「たぶん軽いウツだろうって先生は言ってたよ。 点滴抜いちゃったのだって、発作的なんだって。 だから心配しないでゆっくり養生しなよ。 ウチのことは娘たちがやってくれてるから。 ひさしぶりの休暇だと思って。」 娘が言う。 「お母さん大丈夫だって。 あたし料理だって洗濯だってするから。 パパやりまの面倒だって見るから。 ダイエットだってママがいやなら絶対しないから。 だから、早くよくなってよ。」 お医者さんが言う。

      • Diet or Alive (Part.11)

        雪乃は悪夢を見ていた。 夫と娘たちの目の前で、自分が徐々に溶けていく夢だった。 何か言いたいのだが、声帯が最初に溶けたのか声が出せない。 おぞましいモノを見るような目で自分が溶けていくのを 眺めている娘たちを見て泣きたくなって目が覚めた。 目を開けると真っ白な天井が目に入った。 部屋には誰もいないが、どうやらここは病室のようだ。 ではあれから気絶してしまって病院に運ばれたらしいと気がつく。 「・・・あ、あーーー。」 良かった、声が出せる。 あの時、気絶したことによって最悪の

        • Diet or Alive (Part.10)

          (こんなときお姉さまがいてくれたら・・・) 最後の戦いの勝利を見届けたあと、 忽然と姿を消したお姉さまのことが脳裏に浮かぶ。 結局彼女が誰なのか、何の目的があったのかは最後まで不明だった。 それ以来忘れたわけではなかったが、 漠然と(もう会うこともないかも)と感じてはいた。 結婚して子供ができてからは、もはや戦いの日々は過去のものとなっていった。 胃の中に存在する『兵器』の存在もいつしか意識しなくなっていた。 だが、 20年間一度も作動しなかった超兵器『羅臼』が 再び敵を関

        「長靴をはいた猫」感想分

          Diet or Alive (Part.9)

          (前回のお話から20年が経過しました) 雪乃は困惑していた。 ダイエット戦士ゲロッピーナの活躍で 陰謀は暴かれ、忌まわしいダイエット規制法が廃止されてから 早や20年。 人々は思うさま減量を謳歌し、リバウンドをも愛しんだ。 雪乃も戦いに明け暮れた日々は遠い過去のものとなり 今では13歳と8歳の二人の子の母となった。 二人とも娘だったが、すくすくと健やかに育っている。 ・・・と、昨日までは思っていた。 上の娘の様子がおかしいことに気が付いたのだ。 いや、おかしいと言うほど

          Diet or Alive (Part.9)

          Diet or Alive (Part.8)

          (2万字規模の戦闘シーンがありましたが省略します) 「・・・はあ、はあ。」 「よくがんばったわね、雪乃。」 「お姉さま・・・。」 怪物に変身した佳枝は、もう元の姿に戻ってソファーに寝かされている。 「お姉さま、いつからそこに・・・?」 「ちゃんと玄関からお邪魔して、お母様に手みやげをお渡しした後ノックして入ってきたわよ。」 「わ、わたしがこんなに苦労してたのに!?」 「あなたがどこまでヤツらと戦えるかじっくり観察させてもらったわ。」 「あの・・・わたし、どうなっちゃってるんで

          Diet or Alive (Part.8)

          Diet or Alive (Part.7)

          「ついに・・・気が付いてしまったのねえ。」 それまでの佳枝のフランクな態度がぬぐい去ったように消えた。 「知らなければ普通の人生を送れたのに・・・。」 佳枝の目が青白く光ったかと思うと、大気に磁場のようなエネルギーが満ちてきた。 「な・・・なんなの?!」 驚く雪乃の目の前で、見る見るうちに佳枝の外観が変貌していく。 ぽってりした身体が盛り上がり、髪が逆立ち、柔和な顔が邪悪なものに変わってゆく。まるでハリウッド映画のCGのようだ。 「これで貴様を殺さなきゃならなくなったな。」

          Diet or Alive (Part.7)

          Diet or Alive (Part.6)

          「どう? 体重が減って気分が良くなかった?」 「・・・そうですね・・・とても気分が悪くなりました。」 「・・・それは法律に違反したという罪悪感かしら?」 治療中の体重減少は違法ではないのだが、あえて質問してみる。 「いえ・・・高根さんはそういうご経験はおありですか。」 「私が? 」 通常の反応ではない。 「私はまだ・・・そういう事はないわね。もちろん小さい法律違反は気付かないうちにしてるかも知れないけれど・・・。」 「もし、ダイエット規制法制定にあたって不正が行われていたとし

          Diet or Alive (Part.6)

          Diet or Alive (Part.5)

          「高根さんはダイエットの効果、ありましたか?」 「・・・・それは・・・・。」 佳枝は突然の質問に思わず口ごもってしまった。 キャリア15年の技能士が見せてはならない動揺である。 だがこの手の質問は初めてとはいえ、禁じられているものでもなかった。 「効果は・・・あるといえばあったわ。つまりダイエットなんて目くらましでインチキだってコトがね。」 「ということは、体重は減らせなかったんですね?」 「ええ。」 不承不承認めたものの、苦い記憶が浮かび上がってきた。 19歳の時、密かに憧

          Diet or Alive (Part.5)

          Diet or Alive (Part.4)

          質問が始まった。 「お名前は高山雪乃さん、お歳は17歳でよかったですね?」 「はい。」 「身長167センチ、体重55キロ。」 「はい。」 「標準よりすこし少ないかしらね。」 「そうでしょうか。体調は全然悪くないです。」 「一年前の身長は165センチ、体重は58キロね。身長は伸びてるのに体重は減ってますね。どうしてかしら?」 「8ヶ月ほど前に胃を悪くして、体重が53キロまで減ってます。だけど完治してからは体重を元に戻すプログラムを開始しています。」 「・・・申請が出てますね。ま

          Diet or Alive (Part.4)

          Diet or Alive (Part.3)

          いよいよこれから始まるんだと思うと ドキドキが止まらない。 お姉さまとの練習の成果をちゃんと出せるだろうか。 ------------------------------------------- 「雪乃、ダイエットって具体的にどういう状態を指す?」 「え、ええっと・・・痩せるために摂取するカロリーを減らしたりすることですか?」 「まあ間違いではないわ。でも例えば運動して痩せたり病気で痩せたりすることとの違いは何?」 「うーんと・・・あ、運動とか病気だとカロリーを摂っても消費

          Diet or Alive (Part.3)

          Diet or Alive (Part.2)

          佳枝は自信を持っている。 この高山雪乃という娘が部屋に入ってきたときから (この子はダイエットしてる) と技能士としての直感が告げているのだ。 ダイエット規制法施行直後からダイエット規制技能士として これまでに499人のダイエット犯罪者を発見し告発し 有罪としてきた実績が この娘の有罪を確信している。 2017年にカナダの研究者によって確立され 発見者の名を採って『クフィーダ鑑定法』と名付けられた 体内組織の変化を克明に記録できるメソッドにより 人体のあらゆる状態の変化が把

          Diet or Alive (Part.2)

          Diet or Alive (Part.1)

          近所のおばちゃん達が話してるのをチラッと聞いたんだけど、 3丁目の河合さんのおねえちゃんが捕まったらしい。 最近ちょっと痩せたかなとは思ってたんだけど こっそりダイエットしてたんだって。 おばちゃん達の横を通るとき そんな話題には全然キョーミありませーんって顔してたけど、 ホントは走って逃げたくなるぐらい焦ってたんだ。 でも走ってカロリー消費して 間違って痩せたりしたら、あたしも捕まっちゃうかもしれないから ゆっくり、ゆっくり歩いてきたんだけどね。 ウチの玄関にはいると、

          Diet or Alive (Part.1)

          フグタ夫人の憂鬱

          過去にmixiに書いた日記の中からサルベージします。 磯野家はなぜ赤字? 「今月も赤字だわ」 フグタ夫人は夫に聞こえる聞こえないか程度のささやかなため息を漏らした。 「ニューヨークの資産運用が上手くいってないのよ」 最新式のタブレットを白く美しいひとさしゆびで撫でると、夫人の頬に微かな赤みが差した。 「ロンドンは少し業績が上がったみたい」 「それもほんの一時的なものだろう。もともと私はヨーロッパ方面への投資は乗り気ではなかったのだ」 フグタ氏は僅かな希望を見つ

          フグタ夫人の憂鬱

          最初は

          何も考えてません。見る人もいなさそうだから昔描いた絵でも置きましょうか。