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#現代詩

【詩】うたた寝

【詩】うたた寝

一があった
ブラフマーがへそから生まれ
くしゃみをした
一は二になり
二は多になった
多は小多になり
小多から中多
中多から大多になった
大多は数多になり
数え切れなくなった
展開するダイナミズムはひと宇宙続き
ある時、急速に収斂し
一に収束した
ヴィシュヌは寝ぼけ眼で言った
「私の夢のなんと短いこと!」

【詩】敵

【詩】敵

聞いたかあいつの本当の声を
見たかあいつの本当の姿を
離れろ
一寸の隙も許さずに
あいつを倒そうと鬼たちは棍棒を振り回す
お前を巻き添えにするあいつから
いますぐ逃げるんだ!

女神

女神

神様は助けなかった
苦しむ僕を救わなかった
祈っても来てくれなかった
僕の人生はぐちゃぐちゃだ

もういい
神様はいらない
自分が今できることをしようと誓った

その瞬間
神様は僕の前に立ち微笑んだ

野良犬歩道

野良犬歩道

隣にいる兄ちゃんに
挨拶代わりに酒を注ぐ

当たり散らして喧嘩して
酔って目覚めてしらふの目眩

思い通りにならん人生を
人生論に絡めてさ
そんなに上手くいくんなら
呑んだくれなんていやしない

今日も明日も酒まみれ
さらけ出した思いが反感買い
居場所はないと弱音吐く

愚か者の散歩道
歩いてくれるのは君だけか

呟く二羽

呟く二羽

ノイズの酷い真夜中
つながり合うことのない世界線
同じ時を過ごしていても気づくこともない
青い鳥は羽ばたく
一方は西へ
一方は東へ

風がささやくとき

風がささやくとき

こぼれ落ちる涙を
暗闇に投げてしまおう
黄泉の国で待つ鬼が
飲み干してくれるだろう
黄昏に揺れる髪が
憂いに浸っている
沈み行く陽の光が
優しく微笑んで
私の頬を赤く染める
ああ私はどこへ行くのですか
ああ私はどこから来たのですか
流れる雲は何も言わずに
遠く離れて
ささやく風は全てを
洗い流して

幸せの宝石

幸せの宝石

小さき者よ私にすべてください
この世の悲しみと苦しみのすべてを
道なき道を探すよりも遥かに得難いものを
あなたに祈らん
幸せになりなさい

戦う者よあなたの過ちをすべて
私への贈り物としてください
怒り妬み悪業さえも灰にして涙流れるように
あなたに祈らん
幸せになりなさい

私の願いはあなたの幸せ
果たさん限りは幾度も巡ろう
幸せになりなさい
幸せになりなさい

今。

ああ高い高い壁を
越えようとしても
越えようとしても
越えようとしても

ああ不確かな未来
覗こうとしても
覗こうとしても
覗こうとしても

今しかない
今しかない
今しかない

三千年の時が過ぎても
何も変わらない世界

風は吹いてる西に東に
ため息混じりの空の声が



聞こえた気がしたよ

光輝に包まれて

光輝に包まれて

私は見た あの景色を
私は聞いた あの声を
まばゆい光が虚空に広がり
包まれて
そして私は生まれ出た
私が何をするべきか
導かれるために
あなたとの約束を守るために

改札

改札で止まる足
ひらひら千切れる雲はいつもと同じなのに
世界が変わる
未来が変わる
黄金の太陽
光の束
La La La…

人生の曲がり道
行く先はキラキラ川
遥か先に見えるものは
神様の御手だろうか
La La La…

君の脳みそ

きのう君が見た世界はもうここにはない
全く違う世界になって生まれ変わっている

本当は一瞬で変わったのではなく
一刻一刻とグラデーションのように変化している

公園で子供たちが遊んでいた砂場の砂粒
噛みついてきたアリンコ
一時として同じ姿をとどめてはいない

時間は流れ
全ては変化する
君の脳みそだって

ああ無常
裸になってお風呂にとぽん
そして君は明日に向けてまた眠りにつく

そら

そら

宇宙の果てはどこにあるの?
何千年何万年探しつづけてるの?
それより目の前の僕を見てよ
空なんて見てるだけでいいじゃないか

抱え込んでる部屋の空気
僕を引っ張っていって
青空の下へ
痛みも何もない場所へ

ああ神様、こんな世の中
ああ神様、こんな世界

見上げた空は
きっとやさしいはずなのに