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日記

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何も起こらない日はない。何も感じない日はない。詩への架け橋になるように日々をつらつら綴る。
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#子どもに教えられたこと

日記「うまれつき」

日記「うまれつき」

手術室の扉ってのは身体を治す為への扉なのにとても重々しくてなんと無機質なことか。入院の為の部屋や診察室は木製でできていていくらか温かみのある感じだけれど、金属の扉と休まらない微妙に広さのある空間は、こんなにも人を不安にさせ心拍数を走らせるのか。

人間の身体は、聞き慣れた臓器、聞き慣れない臓器、骨、管、ぜい肉、筋肉、色んなものでできている。そんな身体の一部、半月板。半月板?スポーツ選手が半月板損傷

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日記「ヒス構文と自己肯定感」

日記「ヒス構文と自己肯定感」

はいはい。私はどうせネガティブで自己肯定感が低いですよ。こうやって一生下向いて歩いて、猫背になって姿勢悪くなって、あらあらお腹がぽっこりして二重あごになって、気づいたら腰曲がって、ああ歳よりだいぶ老けてんなって言われて、まっ今さら老けたって言われたところでね別にいいんだけど、下向いて歩いてたら雑草が気になってさ、ああたぶん私のお墓は誰も来てくんなくてこんな雑草だらけになっちまえばいいって事なんだね

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日記「歳をとりたくない」

日記「歳をとりたくない」

コンプレックスのひとつは爪。蜆みたいに不格好でおまけに薄いから伸ばすとちょっとした拍子にべろりんと裏返って痛い思いをする。若い頃は甘皮を押したり剥いたりして少しでも綺麗な形に整えてマニュキアを塗っていた。マニュキアを塗れば薄い爪を伸ばしても補強される。

それでも常に深爪状態でいたのは、ピアノを弾くとかちかち音が鳴ってしまうことと、こねこね料理をすると爪と皮膚の間にこねこねが入ってしまうこと。家事

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日記「母と娘とおっぱいと」

日記「母と娘とおっぱいと」

私の母はもうすぐ喜寿を迎える。共働きの兄夫婦と二人の孫の世話で、未だ家事と育児から解放されずぼやくことしばしば。突然ふと私の家にやってきては愚痴をこぼす。あまり良い気持ちはしないのだけれどこれも親孝行になるのでは、と、ただ聞いて「そだね~」と肯定する。私は子供の頃から外でばりばり働き自分自身の世界を持つ母に対して、寂しさや怒りみたいなものを感じていた。家族を蔑ろにしていたわけではない。でも私には足

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日記「読み手の自由は通用しなかった」

日記「読み手の自由は通用しなかった」

現代詩や小説や評論などなどあらゆる文章の解釈は読み手の自由である。と常日頃そう思っている。そう豪語する背景には誤読という大きな過ちに対する保険のようなものがあったりもするのだか。しかし今や難解化した現代詩においては解釈は読み手のご自由にどうぞと公言している詩人もいる。この言葉に甘えている自分がいることは否定できない。

大学入試をひかえた娘が現代文の過去問を解いている。予備校の先生に「あなたの解答

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