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日記

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何も起こらない日はない。何も感じない日はない。詩への架け橋になるように日々をつらつら綴る。
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2023年1月の記事一覧

日記「My spring has come.」

日記「My spring has come.」

幼い頃から住む場所の近くにはいつも小さな川が流れていた。川沿いのサイクリング道路は桜並木で遊具があったり草地があったり子供達の絶好の遊び場だった。幼い私はまだ寒さが残る季節の陽だまりにオオイヌノフグリを探すのが好きだった。とても小さくて鮮やかなブルーのとても可愛い花だ。最盛期には遠目からでも群生しているのがわかるほどブルーになる。せっかちな子は早々に咲いてしまうのだ。

こんなに可愛い花なのにオオ

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日記「最終手段は神頼み」

日記「最終手段は神頼み」

しばらく父のお墓参りに行っていなかった。父は家族や親戚やその他にも迷惑をかけ、勝手に追い込まれて勝手に自ら死んだ人。だからお盆とかお彼岸とか命日とか、命日とはいっても本当にその日に死んだのかすらわからないし、とにかくお墓参りには行きたい人は行けばいいし、行きたくなきゃ行かなくたって構わない。それが暗黙のルールになっている。

母はそうゆう季節の行事的なものは必ず守る人。時期が来る度にいつも遠慮がち

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日記「ウィンドーショッピング」

日記「ウィンドーショッピング」

若い頃からウィンドーショッピングが嫌いだった。欲しい物を買えないのに見るだけなんて蛇の生殺しだ。それに、着る機会もないのに素敵な服を見ても、置く場所もないのに素敵な家具を見ても、いらないけど素敵な雑貨を見ても、ちっとも楽しくない。惨めな気持ちになるだけだ。

学生の頃、初めて友人に誘われてウィンドーショッピングをした。散々歩き回って疲れて喫茶店でお茶をしてる時に友人に正直に言ってみた。友人は「心が

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日記「好きな漢字〝哲〟」

日記「好きな漢字〝哲〟」

朝、日課のお散歩をしていたら梅の蕾が紅く膨らんでいて、植物って季節にすごく敏感で忠実で好きだなぁって思う。まだ寒いけれど梅はもうじき春が来るのをちゃんと知っていて準備をしているのだ。春かぁ。春が近づいてくると「子供の頃から春は好きではない」と言っていた人のことを想い出す。桜が咲いて菜の花が咲いて景色が一気に賑やかになる。置いてきぼりを喰らったような寂しい気持ちになる。卒業、入学、進級、人事異動、色

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日記「読み手の自由は通用しなかった」

日記「読み手の自由は通用しなかった」

現代詩や小説や評論などなどあらゆる文章の解釈は読み手の自由である。と常日頃そう思っている。そう豪語する背景には誤読という大きな過ちに対する保険のようなものがあったりもするのだか。しかし今や難解化した現代詩においては解釈は読み手のご自由にどうぞと公言している詩人もいる。この言葉に甘えている自分がいることは否定できない。

大学入試をひかえた娘が現代文の過去問を解いている。予備校の先生に「あなたの解答

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