見出し画像

日記「ウィンドーショッピング」

若い頃からウィンドーショッピングが嫌いだった。欲しい物を買えないのに見るだけなんて蛇の生殺しだ。それに、着る機会もないのに素敵な服を見ても、置く場所もないのに素敵な家具を見ても、いらないけど素敵な雑貨を見ても、ちっとも楽しくない。惨めな気持ちになるだけだ。

学生の頃、初めて友人に誘われてウィンドーショッピングをした。散々歩き回って疲れて喫茶店でお茶をしてる時に友人に正直に言ってみた。友人は「心が貧しいなぁ」と笑った。それ以来、買い物はひとりですると決めている。誰に気を使うこともなく自分が好きなショップを見て買う。買うという目的があって行く。寂しがり屋のくせに時と場合によってはひとりが好き。

ウィンドーショッピングが嫌いなのに何となく街をふらふらした。みんな誰かと一緒だ。カップルかな、ご夫婦かな、お友達かな、ご家族かな。ひとりが好きなくせに寂しがり屋だ。左手が誰かの掌を探している。誰かの右手はどこで何をしているのだろう。

都心の大型書店を物色する。書店のウィンドーショッピングは実に楽しい。書店好きな誰かと一緒なら惨めな気持ちにはならないだろうな。寧ろ書店好きの誰かと一緒がいい。

街の陽だまりに梅の蕾がふくらんでいた。結構歩いたな。お家に帰ってゆっくりお風呂につかった。窓を開けると雪がちらついていた。梅の蕾は大丈夫だろうか。

#日記
#ウィンドーショッピング

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?