見出し画像

日記「最終手段は神頼み」

しばらく父のお墓参りに行っていなかった。父は家族や親戚やその他にも迷惑をかけ、勝手に追い込まれて勝手に自ら死んだ人。だからお盆とかお彼岸とか命日とか、命日とはいっても本当にその日に死んだのかすらわからないし、とにかくお墓参りには行きたい人は行けばいいし、行きたくなきゃ行かなくたって構わない。それが暗黙のルールになっている。

母はそうゆう季節の行事的なものは必ず守る人。時期が来る度にいつも遠慮がちに誘われるがやんわり断っている。母には頭が上がらないし逆らうことはできない私だが、これだけは決して譲らないと決めている。父のお墓参りに行く日は私が決める。そして決して誰とも一緒には行かない、ひとりで行く。

命日は1月だからそろそろ行こうかな。ふと思い立って行く。それでいいのだ。今日はそんな気分だった。それでいいのだ。

「お父さんスタバって知らないよね? だからスタバの缶コーヒーだよ。それと第三のビールは知らないだろうしビールはやっぱり昔ながらの星印がいいよね? 今度は試しに第三のビールにしてみようか?」

前置きはこの位にして一方的に近況報告をする。あ~でもないこ~でもない、と死んだ人には何でも話せるからいい。絶対に誰にも言えない事もぺらぺら話せてしまう。死人に口なし。返事がないのは少し残念だけれど。

「ねぇ。前みたいに詩が書けないんだよ。投稿欄にも載らなくなっちゃったし。これって私が下手くそになったのかな。それとも周りが上手になってるのかな。あれか。中学生の時、私って勉強できたじゃん。大して勉強してないのにできちゃって。そんで周りは努力してどんどん成績上がって、気づいたら私の成績下がってて。あれと同じかな? いや私は何も変わってないし私の詩はいつでも最高傑作なんだよ。どしたらいいのかな?」

応えはないけど、自分は自分らしく今のまま頑張りなさい、と言っているような気がする。

「ねぇ。お父さんが会えなかった孫だけど、私の娘だよ。いよいよ受験シーズンなんだよ。お父さんと同じ大学に合格するようになんとかならないかな? あっ第一志望じゃないんだけど第二志望なんだよね。娘も言ってたよ。会ったことないけどじいちゃん何とかしてくれないかなって。ねぇ。何とかしてくれないかな?」

ふむ。これには反応が無いようだが、応援はすると言っているような気がする。

「ん?  困った時はよくここに来るって言いたいの? そりゃ。最終手段はさぁ大抵こうゆうとこにお願いに来るものなんじゃない? あはっ。だってさぁお墓参りとか神社に参拝とかってなんかご利益ありそうじゃん。」

・・・。苦笑いしているような気がする。

「まぁまぁ無事に娘が大学進学決まったら報告にくるよ。あっ。でもお父さんと同じ大学に落ちたら来ないかもよ。詩の活動が順調なら来ないかもよ。私生活がねハッピ~なら来ないかもよ。私とお父さんはそうゆう関係性なんだよ。なんか自由でいいじゃん。」

本当の応えはわからないけれどそれでいい。

18歳の娘。父が死んで18年。どうしたって気になってしまう。今日はすっかり最終手段に出てしまった。くわばらくわばら。。。

#日記
#墓参り
#神頼み

この記事が参加している募集

#今日やったこと

30,912件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?