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囚人たちにしか作れないものがある。~インタビュー記事①~

こんにちは。今回はPietà(ピエタ)の創設者兼現社長でフランス人起業家Thomas氏のインタビュー記事①です。
スペイン語でインタビュー、書き起こし、そして翻訳と力を入れて作りました。ぜひ、読んでください。

1.ペルー発&刑務所発のファッションブランドの生い立ち

━Pietà(ピエタ)が生まれた背景、経緯について教えてください。

Thomas:約7年前、当時フランスの学生だった私はリマ(ペルーの首都)にいたんだ。フランス以外の国で実践活動を行う必要があって、リマで製造を行っているフランスの衣料メーカーでインターンをしていたんだよね。
ある日、刑務所で囚人にフランス語の授業を教えていた友人に誘いを受け、彼女が生徒たち(囚人)と一緒に行う劇を鑑賞しに行った。そして、そこでたくさんの囚人と出会い、私の友人はこう教えてくれたんだ。

「この中にはミシンを持っている人がいたり、服にプリントをすることができる人もいる。裁縫や刺しゅうの技術を持っている人もいる。でも、仕事がないんだ。」と。

ファッションに関しては、ほとんど勉強したことがなかったんだけど、以前フランスの衣料メーカーで働いていて、少しだけファッションに関する経験を持っていた。
そして、囚人たちも「何かしたい」「働きたい」という強い気持ちを持っていた。
その時、私はこう思ったんだ。

「彼らは、今世の中にあるものとは違った何かを作れるんじゃないか。彼らにしか作れないものがある。」と。

なぜなら、今、世界にある衣料メーカーの99.9%が中国やバングラデッシュなどで製造を行っているからね。だからこそ、刑務所内で製造を行うことによって、

完成した「服」そのものではなく、それまでの「過程」でこれまでなかったようなオリジナルの物語を紡ぎだせるのではないかと考えたんだ。(すべての製品が刑務所内にある工房で囚人たちの手作りによって作られる)

そして、それらを産み出す可能性が彼らにはあると確信した。
こういった経緯でピエタは始まったんだよ。

2.Pietà(ピエタ)の現在までの歩み

━アイデアを思い付いた段階から、現在に至るまでの道のりを教えてください。

Thomas:まずはサンプル品を作るところから始めたよ。囚人の方たちと1から一緒に作ったんだ。でも、初めの頃は製品の完成度が低すぎて、とてもじゃないけど販売できるレベルではなかった。それでも、そこから地道に努力を重ね、機械を扱う技術を上達させながら、サンプル品を作り続けたよ。その結果、少しずつ良い製品を作れるようになっていったんだ。

Pietà(ピエタ)の取り組みを始めてから、約2年後に最初のコレクションが完成した。服を作った囚人たちがモデルとなって、刑務所内で写真撮影を行ったんだ。彼らが作った服を彼ら自身が着て、モデルとなってね。
そして、この取り組みに興味を持ってくれたメディアが取り上げてくれたりもした。ニューヨークタイムス紙なども取り上げてくれ、イギリスやスペインでも報道してもらったよ。
そのおかげで、自分たちの商品を買いたいと言ってくれるお店が出てきたり、手紙をくださる方もでてきたんだ。
こうして、やっとピエタの商品が社会に出ることになった。

ここまで来るのに何年もがあっという間にすぎてしまったけど、少しずつピエタを成長させていき、初の実店舗をJockey Plaza(大型ショッピングモール)で開くことができたよ。現在はペルーのリマ市内に6店舗を展開しているよ。(Plaza Norte, Real Plaza Salaverry, Larcomar, Plaza de Angamos, Callao Monumental )

3.今後の目標

━今後の目標について、教えてください。

Thomas:今後は、ペルーにこれ以上実店舗を持つことは考えてないね。ペルー国内ではある程度の位置まで来れたと思ってる。これからはペルー国内、国外関わらず「ネットショップ」を成長させていきたいと考えているよ。特にアメリカやヨーロッパで成長させたいね。

4.所感

ここからは僕個人の感想と意見です。

「彼らは、今世の中にあるものとは違った何かを作れるんじゃないか。彼らにしか作れないものがある。」

このセリフはしびれましたね。囚人の方に限らずですけど、人間はみんな一人ひとりそれぞれの背景、考えがあって、これらの違いをポジティブに捉えると「その人にしかできない何かがある」ってことですよね。
以前、先輩がウガンダで難民とお話ししていたときに
「“難民”という過去を誇りにし、強みにして、生きていく」(うる覚えなので正確ではないです)
って言われてはっとした、と話してくれましたが

まさに難民であろうと囚人であろうと、何者であろうと
過去をポジティブに捉えて、生きることはかっこいいなと思います。

余談ですが、ぺルーでは窃盗、強盗、殺人などの犯罪が蔓延しています。しかし、罪を犯してしまうことがある意味仕方ないのでは、と思ってしまう経済的事情もあります。一度罪を犯した人にも、社会と関わるチャンスがあることはとても大切なことだと思いますし、この役割をピエタは担っているのだと感じました。

インタビュー②に続いていくので、そちらも楽しみにしていてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

ゆうき
Twitter : https://twitter.com/yuki1017hayashi


僕の記事を読んでくださったことが、本当に嬉しいです。 ありがとうございます!