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世界最古の聖堂と、昔々の悲しいお話【アルメニア旅行記3】


こんにちは!yukiです。

今日はアルメニア旅行記の3回目。

美しい教会での出来事や、
出会った人とのエピソード
お届けします。

楽しんでいただけますように!



美しき聖職者の殉教


民泊しているリダさんの家に、
僕より少しお兄さんのケイさん
来てからというもの、

毎朝庭でコーヒーを飲み、
毎晩庭でワインを飲み、
のんびりおしゃべりする…

という楽しい生活が
4日間続きました。

ケイさんはぜんぜん外に出ないので、
(冬の中央アジアで
 体力を使い果たしたそう)

昼間は僕ひとりで、
街から少し離れた古い教会
あちこち見に行っていました。

3か所、紹介していきますね。


まずは、エチミアジン大聖堂

ここ、301年頃に建設された、
世界最古のキリスト教大聖堂
なのだそうです。

1700年も前に建てられたとは…

中はだいぶ綺麗です。
1700年間、何度も改装しつつ、
大切に使われてきたのでしょうね。


前回もご紹介したとおり、
アルメニアは301年に世界で初めて
キリスト教を国教とした国
でした。

それまでは、お隣イランと同じく、
ゾロアスター教が大勢だったようです。

ちなみに、当時のヨーロッパでは、
ローマ帝国ディオクレティアヌス帝
303年にキリスト教の大迫害をしています。

(今さら迫害?ってことで、
 “出遅れティアヌス”って
 覚えた方もいるかもしれません笑)

そう考えると、
最古の大聖堂があるのも納得ですね。



次は、7世紀に建てられた
聖リプシメ教会

この教会にまつわる、
悲しい物語をお話ししますね。


時は3世紀。

修道女だった美しいリプシメは、
ディオクレティアヌス帝に求婚されてしまい、
ローマからアルメニアに逃げてきました。

しかし、なんとアルメニアでも、
国王に求婚されてしまったのです。

「私は、神にこの身を捧げています」
とリプシメは求婚を拒否。

国王は怒り狂いました。

リプシメは拷問を受け、
殺されてしまったのです…

しかしリプシメの死後、
国王は重い心の病になってしまいました。

ボロボロになった国王は、
キリスト教の聖職者に救われます。

その聖職者の導きにより、
国王はキリスト教を国教にしたのでした。


この小さくも美しい教会は、
殉教した聖リプシメのために、
数世紀あとになって建てらたもの。

地下にある彼女のお墓に、
僕もお祈りを捧げたのでした。


カメラを盗まれるかと思った


最後は、
ホルヴィラップ修道院です。

田舎道で乗り合いバンを降りました。

ぽかぽかと暖かい日差しが注ぎ、
春の花々が咲く平原。

教会が見えてくると、
美しい眺めにハッとさせられました。

後ろにそびえるのは、
標高約5000mのアララト山

雲がもっと薄ければ、
美しい全容が見えたのでしょうが…

日本人にとっての富士山のように、
アララト山はアルメニア人にとって
心の拠り所となっている山です。

アララト山は、
ノアの箱舟が洪水後に漂着した山だと
多くのキリスト教徒に信じられています。


さて、ホルヴィラップ修道院は、
もともと地下牢だった場所の上に
建てられた修道院です。


先ほどのリプシメと同時代、
聖グレゴリウスという聖職者が
十数年ものあいだ幽閉されていたのでした。

キリスト教の初期って、
本当に苦難の連続ですね…

聖グレゴリウスは長き幽閉に耐え、
ついに解放されました。

そして心の病になった王を救い、
キリスト教の国教化へ導いたのでした。

お話しがつながってきて面白いですね。


さて、ホルヴィラップ修道院に入ると、
僧衣をまとった聖職者の方に
声をかけられました。

お名前は、
アイリールーさんと仰います。

ちょっとお茶目な人で、

「この子は、“my tiger”です」

とか真顔で言ってきます笑


アイリールーさんが、

「聖堂の中を案内しますよ」

と中へ連れて行ってくれました。

聖堂自体は、
リプシメ教会くらい小さめ。

「君の写真を撮ってあげますよ。
 カメラを貸してください」

「ありがとうございます、
 お願いします!」

彼にカメラを渡しました。

どこを背景に撮ってもらおうかな、
とキョロキョロしていると、
後ろで何かが素早く動く気配

・・・ん?

振り返ると、アイリールーさんが、
カメラを持ったまま聖堂の外へ
ダッシュしていくではないですか!

まさかニセモノ聖職者…?!

慌てて追いかけ外に出ると、
修道院の門のあたりで、
彼はにこやかに立っていました。

「カメラを人に渡したときは、
 よそ見をしないように
 気をつけないといけませんよ」

「ハイ…反省してます…」

さすがに今回は肝を冷やしました。
これからは十分気をつけよう…

緊張感を復活させてくれて感謝ですね。

アイリールーさんにお別れして、
修道院を後にしたのでした。

ケイさんと共に


リダさんの家に戻ると、ケイさんが、
旅を再開する気になっていました。

「明日、ここを出て、
 マラカンっていう人々の
 村に行こうと思ってるんだ。」

「マラカン?
 どんな人たちなんですか?」

「もともとロシアから来た人たちで、
 アルメニア人との接触を絶って
 自給自足で暮らしてるらしいんだよ」

「へえー…
 行きたいところがスゴイですね…」

「セヴァン湖の近くに
 村があるらしいんだ。
 yukiくんセヴァン湖行くんだよね?
 途中まで一緒に行かない?」

「もちろんです、
 一緒に行きましょう!」

ということで、ケイさんと一緒に、
セヴァン湖へ行くことにしたのでした。




次回で、
アルメニア旅行記は最終回となります。

セヴァン湖の教会歴史ある墓地
顔馴染みになった人々との交流
書いていきますね。




最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

それでは今日も良い1日を!

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