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働くということ~ベーシックインカム

Yukiです。

前回の記事では、「デジタルトランスフォーメーション」が加速するこれからの時代ではテクノロジーによる破壊的な変革「デジタル・ディスラプション」により50%以上の職が失われるという、英オックスフォード大学 マイケル・A・オズボーン准教授「未来の雇用」の衝撃的な予測について触れました。

今回はそのような「AIによる雇用の危機」が迫っている中で、活発に議論されている「ベーシックインカム」について触れてみたいと思います。

ベーシックインカムとは、国が「全ての人」に「無条件」で毎月一定額の現金を給付するという社会保障制度のことです。

既存の生活保護や失業手当を受給できるのは「条件に合う」、「一部の人」であることから、既存の社会保障制度とは大きく異なりますね。

正式に導入している国は世界中まだどこにもありませんが、失業・格差が社会問題になっているフィンランドでは2017年1月から2018年12月までの2年間、毎月約7万円を2000人の失業者に支払う実証実験が行われたように、現実的に今後導入されうるレベルで議論されている制度です。

資本主義の弊害である「格差」を乗り越えるため、様々な社会保障制度が導入されてきました。しかし、社会保障の仕組みは複雑化の一途をたどり、審査などの手間とコストが大幅に掛かることが問題視されており、審査なしで「全ての人」に「無条件」でお金を配るベーシックインカムに注目が集まったのです。

日本で導入するとなれば、既存の税と社会保障の制度を根本から変えなければなりません。財源問題も含めた具体的な制度設計がなされないとベーシックインカムで本当に貧困が救われるのか、経済全体の成長にはプラス/マイナスどちらの影響が大きいのかなんとも言えないところです。様々な研究がなされていますので、詳細は専門家の議論を見守りたいところです。

ここでは人間は無条件に最低限度の資金を手にするようになったとき、つまりは生活のために働かなくてもよくなった時どのようになるのかについて考えたいと思います。

Facebookのマーク・ザッカーバーグは、2017年のハーバード大学での卒業式のスピーチでベーシックインカムがあれば「誰もが新しいことに挑戦できる」と指摘しています。ベーシックインカムでできたゆとりをクリエイティブな仕事に結びつけていけるというのです。

ただし、「全ての人」が給付対象になるということは、みんながみんなクリエイティブであったり、やりたいことがあるわけではない中で、スキルも知識も創造性も磨かないまま生きていく人が多く生まれてしまう可能性だってあるわけです。富の格差よりももっと再配分が困難そうなスキル・知識・創造性の格差の固定化が起こってしまいそうです。一部の人がクリエイティブなことをしていて大半の人は消費のみしかしない、そういう社会は持続可能でなさそうですし、何より魅力を感じません。

そうならないためにも、今からでも仕事に対する考え方を見つめなおす時が来ているのかもしれません。

もし生活が保障されているのであれば、何をするのが、どう生きるのが幸せなのか。個人でも考え、社会的にも議論され新しい哲学を作り上げなければならないと思います。

人間は他者との関わりがなくては生きていけません。「生活のための労働」の次の仕事の概念を、哲学を周りの人と話すことから始めてみませんか?

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