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[#これからの家族のかたち] オッサンの気づき 第26話 ~カウンセリングで気づいた!~

私は、平たく言えば都会暮らしと仕事のしすぎでノイローゼになってしまったオッチャンです。これまでにそのいろいろな原因や症状について漫画に描いてきました。そしてまだ漫画に描いていなかったことが、今回の漫画の内容です。

カサンドラ症候群と言う症状があって、私はそれに近い状態なのだと思います。これは身近にアスペルガー症候群を持った人がいて、その人と深く関わることで心身が不調になってしまうことです。妻ちゃんはアスペルガーではないですが、思考パターンに特殊性がある人と深くつきあうと自分も疲れてしまうのはよくあることですよね。特に我々夫婦のように片方(妻ちゃん)が夢を追って、もう片方(私)がそれを支える関係だとさらに多いのではないでしょうか。夢を追っている間は他人のことはなかなか考えられないものですしね。

我々は二人でお店をやっているとは言っても、実務的な事は妻ちゃんがメインなので、どうしても主導権は妻ちゃんがメインになります。休み時間や休日、時間外の仕事などは全て妻ちゃん中心です。基本的には週二回の定休日以外、休日はありません。年末も31日まで営業します。保護犬の預かりボランティアもやっているので、定休日やお店が終わった後もいろいろやることがあります。妻ちゃんはワーカホリック性があるのです。

https://note.com/yuki1192/n/n837598da0969?magazine_key=mba96e2f2675e

私が体を壊してしまったのは2014年前後からです。この時期は自分の起こした会社もやりつつお店も始めた頃だったので、単純な仕事量の多さが不眠の原因でした。その会社を解散してお店一本になり、しばらく経った2016年~2018年が不調のピークでした。お店が軌道に乗るにしたがって、妻ちゃんの闇ももろ出しになって来たのです。それは妻ちゃんが毒の母親からされてきた事と一緒でした。「高い水準を求める」という闇です。妻ちゃんは小学生の頃からメンタルの不調から体調を崩すことが多かったのですが、すると母からは「はー!またかよ!」と責められます。妻の家系は社会的地位が高い人が多く、基本的に全てにおいて高い水準が求められ、体調を崩すなんて愚鈍というわけなのです。その基本がクセになって、特に愚鈍でない事でも責められる(体型のこととか)という流れもありました。なので、妻は朝からゲーゲーしながら学校に行っていたそうです。元から体調不良というよりは、プレッシャーからの体調不良という悪循環だったのだと思います。体は今でも壊したままで、今でもよくゲーゲーしており、薬を飲まないと美容院にも友達に会いに行くこともできません。さらに妻には兄がいるのですが、彼からもいじめを受けていました。彼は普通に愚鈍だったので、おそらく母からの攻撃を避けるため、ターゲットを妹に向けていたのでしょう。愛玩子・搾取子なんて言葉もあるように、毒親にとって男の子は小さな彼ピッピ、女の子は女としてのライバルと見てしまうのは王道パターンです。

https://note.com/yuki1192/n/n75c82f89e0f1?magazine_key=m5c1ceb5a8550
https://note.com/yuki1192/n/n4702767bb6d7?magazine_key=mba96e2f2675e

そして、毒が次の世代に連鎖するのも王道パターンです。要は毒親の子供も毒親になりやすいということです。実際妻の母の母(祖母)も母を追い詰めるタイプで、私が見てもそっくりキャラです。そして我々夫婦には子供がいません。妻が絶対私はお母さんと同じ闇攻撃しちゃうからということです。なので子供の代わりに私に闇が来ました。子供でなくても、身近な人、さらに主導権が無い側の人に連鎖するパターンです。それが今回漫画に描いた内容です。不眠症になってしまった私は愚鈍ということでした。

けれども私は、これは仕方がないことだと思っています。何より一番の被害者は妻自身です。心身を病み、ゲーゲーしながら無理矢理学校に行く小学生なんて可哀想すぎます。その調子で高校生まで過ごし、やっと理解者の私と知り合えたのに同じような闇アタックをしてしまう、人格が固まる時期全体において闇アタックを受けるとはそういう悲しいことなのです。そこで人格の基本が出来上がってしまうのです。それは私が、苦労人でかわいそう感のあるおばあちゃんに育てられて、「人間は弱いもんなんだな」「だから助けなきゃな」という人格の基本が出来上がったのと全く一緒なのです。

https://note.com/yuki1192/m/m5f4fba7f27ad
https://note.com/yuki1192/n/n44ef56634a76?magazine_key=m0b7b30a5d458

家族は子供にとって最初の社会です。我々は家族を通して社会の見方の基本が出来上がります。動物だってそうですよね。小鳥がピギャーと生まれて親鳥がイモムシを持ってきたら、あ~この社会ではイモムシを食べるものなんだな~となり、成鳥になってもイモムシを食べますし、子供ができたらイモムシを与えます。妻の場合、与えられていた「高い水準」の闇せいで、私の体調不良に対しては根性出せ的になりますし、自分自身に対してもワーカホリック的な働き方をしてしまうのです。実際妻は優秀なのですが、彼らの闇アタックは単なるいじめでもあるので、優秀なのに責められていたことも原因です。「もっと優秀でないと生きている意味が無い」という基本が出来上がってしまったのです。その働きぶりはある種の自傷行為のようで、見ていることがつらく、それを減らすために私は妻へのお助けを止めることはできませんでした。

https://note.com/yuki1192/n/n1245288e4acc?magazine_key=m99be84dd6d2f

闇を抱えた妻をかわいそうと思い体を張ってしまう、これは私の生育環境が妻のそれにピッタリはまっていたということなのです。妻も闇の連鎖は良くない、私も体の張り過ぎは良くないと、わかっているけどつい反射的にやってしまうのです。あなたにも「これこれをすることは生理的に無理だな~」というものがあると思います。私にとっては妻のような人に「知らん!自分で勝手にやれ!」と見捨てることがそれなんです。それはあの頃のおばあちゃんを見捨てることであり、自分の基本を裏切ることでもあるからです。もし普通の夫婦であればこんなときは、妻へ怒りのエネルギーが向きますよね。私はそのエネルギーは全部、妻をこんなふうにした母と兄に向いていました。そしてそのエネルギーでこれまで漫画を描いてきました。でも、直接負のエネルギーを解放できないことがまた不眠の悪化を招いてもいたんだと思います。

https://note.com/yuki1192/n/n75c82f89e0f1?magazine_key=m5c1ceb5a8550

さらにもう一つの理由は、妻にとって現在の仕事は生きがいであり、それを手放すことの苦しさを私はよく知っているからです。私にとって漫画がそれでした。若い頃は持ち込みを繰り返し、何度も受賞しましたがデビューはできず、

30代でデビューできたと思ったら名前が消されていたり、

https://note.com/yuki1192/n/n0f5fb971b791

最近だと、この連載も無かったことになってしまいました。

https://note.com/yuki1192/n/n8630c48f71d1?magazine_key=mad6a2457605d

そして、こんな夢破れオッチャンになってしまったのです。

https://note.com/yuki1192/n/nff8565ed5834?magazine_key=mad6a2457605d

今でこそこんなふうにPixivやTwitterで漫画を公開して満足していますが、そういう気になれるまでには長い時間がかかりました。ずっと「1円にもならないじゃないか」「雑誌に連載していないと意味がない」という気持ちがありました。私にとって漫画は趣味ではなくプロ志望から始まったからです。何者にもなれなかった劣等感って、持つことも抜け出すことも結構大変なので、生育環境で大変な思いをしてきた妻にそういう感じにはなってほしくないですよね。

実は今回の漫画の「カウンセリングで気づきました」は嘘です。カウンセリングに通い出したのは去年からなのですが、今回描いたような内容はもっと何年も前から気づいていました。妻のメンタルケア&毒になる親の勉強をしながら「あれっ、これ俺もされてないか?」といった具合にです。カウンセリングではそれが合っているか確認をしたのみでした。そしてカウンセラーによる暴露療法が始まりましたが、特に妻に言うことは無かったというのは本当です。前述の通り、その気持ちは全て妻の家族に転化しているからです(これはカウンセリングで気づきました)。そしてその気持ちは全て漫画を描き続けることで、整理したり落ち着かせたりしていました。ずっと自分で自分にカウンセリングをしていたんですね。そして今回のような内容は描くのはよそうと思っていたのですが、去年の12月から具合が過去最高に悪く、ちょっと自分が危ない気がしたので、やっぱ暴露療法的にやらないとだめかなということで描きました。実際、少し前に描いた母ちゃんへの思いも、それまでは重い悩みの種だったのですが、漫画に描いた後は少しましになったからです。今の自分を作ってくれた親に、孫の顔を見せてあげられなかった残念な気持ちです。

https://note.com/yuki1192/n/n4c4ed5a3d153?magazine_key=m5c1ceb5a8550

最後に、私の友人が「闇子ちゃん」の紹介ブログを書いてくれました。

紹介では、「いろんなタイプの闇にのたうち回った友人が命を削り出して描いた」と書かれています。闇子ちゃんのモデルは妻自身であり、過去の恋人や友人であり、そして私自身なのです。妻との長い関わりの中で、妻を通じてその家庭の闇に触れ、私も彼女らと同じような苦しみを持つようになりました。助けるには共感が必要であり、共感とはその考えを自分の中に取り込むことでもあったからです。その一方、以前までの自分も同時に自分の中に存在します。その以前の自分を見失わないように、以前の自分ならどうしていたか、という視点で描いていました。それは「杉村くん」も一緒です。あの頃の自分を思い出すことで、今の自分や彼女らの苦しみを相対化させ、客観視し、自分を保つ目的がありました。

私は妻ちゃんを悪者にしたいわけでも、自分かわいそうアピールをしたいわけでもありません。漫画もブログも自分の胸の内を整理する自己カウンセリング目的が基本にあります。それは今後も妻ちゃんを支えるエネルギーを保ち続けたいからです。それはあの頃のおばあちゃんの記憶が人格の基本にあるからです。おばあちゃんをいたわるように妻ちゃんもいたわることは私にとっては自然な事です。人を愛する事は孤独な営みです。相手は他人なので、自分が思うようなことは返ってこないからです。それでも愛情を注げるのは、自分が家族から愛されて育ったからです。私の家族もまた、大してお返しもしない私に自然に愛情を注いでくれていたからです。そこに気づけたのは、妻と向き合った20年間での大きな財産です。自分が自分でよかったと心から思います。つまり人を愛することは自分を愛することなんですよね。そしてそこから生まれた漫画が、読んでくれたあなたへの何かヒントになったり、面白いな~となったり、何かの救いになれば最高です。だって連鎖し続ける闇を、ここに来てポジティブなものに変えられたのですから。

いろいろと具合は悪いですが、できるだけ妻ちゃんよりも長生きし、あまり悲しい思いはさせたくありません。長生きが無理ならせめて、同時に不治の病にかかって最後は同じ病室で「いや~結構楽しかったね~」とか言ってポックリいきたいです。

[おまけ]
我々のような関係を、共依存と言います。AさんはBさんに依存し、BさんはAさんのお世話をすることに依存するという関係です。今までに2つ漫画を描きました。

漫画に描いて客観視したことで、↑↑の漫画の感じまでは病んだ関係にはならずに済みました。漫画に描いた関係は、世話をしている相手のことも支配し、二人とも不幸になってしまっているんですよね。

現在はお店が順調ということもあり、私は少し手伝いの頻度を減らしています。それは悲しいことに、妻ちゃんの基本にいるあの家族は取り去れないということを知ったからでもあります。体まで壊した20年は何だったんだろうという残念感もあり、カウンセリングに通い出したのもそれがきっかけでした。

https://note.com/yuki1192/n/n75c82f89e0f1?magazine_key=m5c1ceb5a8550

でもそのおかげでこういうふうに長~いブログも描けるようになりました。漫画を同人誌にまとめる時間も得られたので、興味を持たれた方はぜひどうぞ。


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