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ゼロから始める伊賀の米づくり16:田植え機のメンテナンスとトラクターの故障!?

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3月。この時期になると、いよいよ田植えも近づいてきます。

田植えは例年、5月連休中に行います。それまでしばらく時間はありますが、いざ当日になって「田植え機が動かない!」では話になりません。

今回も、一度バッテリーを充電して燃料を入れ、エンジンを動かしてみることにしました。

バッテリー充電にはしばらく時間がかかるので、その間にこの時期のやること。春起こしを行います。

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今回もトラクターに乗り込み、いざ耕します!

秋起こしの時から何度も何度も田んぼ(圃場)を耕していますが、毎回毎回同じやり方で耕している……と言うわけではありません。

秋起こしの際は、圃場内の移動速度を最低にし、耕す土の深さは可能な限り最も深く、ロータリーの回転数も調整します。稲刈りを終えた後の稲藁を丁寧に地面に鋤き込むためでもあり、堅くなった土を丁寧に掘り返して耕すためです。

そして、耕す回を繰り返すごとにトラクターの移動速度を徐々に上げ、並行してロータリーの回転数も上げ、耕す土の深さも徐々に浅くしていきます。

土が解されることで、トラクターのロータリー(回転爪)への負担も減り、また同時に、土の表面を田植えをしやすい柔らかさにしていくためでもあります。

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と、ここで何やらトラクター前方から白い煙が漂ってきました(!?)

計器を見ると、どんどん機体の熱が上がっており、エンジン付近からもシューシューと異音が聞こえてきます。

(え、これはまずい!ヤバイぞ)

急いで家に引き返し、ボンネットを開けてみました。

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(うわぁ、派手に煙を吹いてる!そしてこの緑色の液は何だ!?)

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とにかく冷静になることを心がけ、まずはクボタさんに連絡を取ることにしました。

幸い、すぐに予定が空き、向かってくれるとのこと。

クボタさんが到着するまで、落ち着かない時間をじりじり過ごすことになりました。

と、クボタさんが到着したようです。

『あ〜、これはファンベルトが千切れちゃってますね。冷却ファンを回すためのベルトなんですが、これ、いつ交換されたんでしょう?』

「うわ、本当だ。ひどいですね。何か、黒いサキイカみたいになっている」

『部品の交換が必要になりますが、注文から急いでも3〜4日はかかりそうですね……』

「えぇ、弱ったなぁ。また例によって天気予報で雨の予報も出ているじゃないですか。どうにか早くできませんかね……?」

『う〜ん……、やってみますね(携帯電話で話し始める)』

『申し訳ないです、ダメでした。このトラクターの型に合うファンベルトは特殊で、他の機体のもので代用することは難しいようです』

「そうですか……、わ、かりました……。すみません、無理を言いまして」

『いえいえ、それでは冷却水(例の緑色の液体)だけ見ましょうか。普通の水道水を入れてやればこちらはそれで大丈夫ですので』

「そうなんですね!ありがとうございます」

その日はこれで一旦終了しましたが、本当に肝が冷えました。

何か、取り返しのつかない故障があれば、このトラクターは廃車にし、また別のトラクターを融通しなければなりません。

祖父の代から使ってきた機械の代用を、今すぐポンとできるものでもありません。

(だからこそ、丁寧なメンテナンスを心がけてきたのですから)

そんな最悪の事態にならなくてよかった……。

そんなことを考えながら、胸をなで下ろしました。

ただ、これでこの後の予定が大幅に修正が必要になりました。

田んぼのメンテナンス上の適切な時期、天気予報の雨か晴れか、雨が降ったら何日後に土壌は渇いてトラクターで作業できるか、そもそもそれ以外の自分の予定……機械の故障ひとつで、農作業の場合諸々の調整が、一気に降りかかってきます。

必死で頭を働かせて計算し、ようやく落とし所を見つけることができました。

自然のままならなさと、機械相手のままならなさという「不確実性」に対して、自分はどう向き合っていけるのか?

そんな農業の一面が垣間見えたような出来事でした。

続きは、また今度です。

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