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ゼロから始める伊賀の米づくり57:稲刈り前の除草作業と雑草の正体

2020年1月に父から実家の米作りを継ぎ、5年目の稲刈りが目前に迫ってきました。

今年はノロノロ台風と呼ばれた台風10号が迷走し、そして日本海に抜ける前に温帯低気圧へと変わったため、すっきりしない天気が続きます。

稲刈りをするにはすっきり晴れた天候がほしいところです。

雨粒や水滴の残る稲をコンバインなどの収穫機械で刈ろうとすると、コンバインが稲を根こそぎ掘り起こし、泥のついた根っこごと機械に取り込んで詰まったり、濡れた籾が詰まったりと、トラブルの原因となります。

それでは仕事になりません。

ある雨の日の中日は、こんなに稲は綺麗に黄金色に染まっているというのに、何ともヤキモキさせられる日々を過ごしていました。

夕日に照らされて輝く稲穂

雨に濡れた稲穂も近くで見ると、いよいよ収穫時期が来たような熟れ具合です。

雨で濡れてしまっている稲穂

台風が温帯低気圧に変わったここ数日は、夕焼けもよく見えるようになりました。

目の覚めるような夕焼けでした

この、作業工程は既に見えているのに、天気の都合でどうにもできないモヤモヤをどう解消したものか?

前回の記事で言及した、田んぼに侵入した野草たちを除草することで解消しようと考えました。

その結果を、以下にまとめていこうと思います。


田んぼを歩き、除草作業を実施

まず、除草作業の結果は以下のようなものでした。

1メートル以上にもなる雑草が台車10台分ほど、田んぼの中に侵入して勢力を伸ばしていました。

びっしり根を張り巡らせていたため、田んぼの土が付着しています

雨が上がったばかりの水をふんだんに含んだ状態の田んぼであれば、根をびっしり張った雑草であっても抜いていくことができます。

こうした雑草は水を取り込む水路から侵入したり、除草を怠って放置した結果、落ちた種が越冬し、発芽することで繁殖します。

せっかくの土壌が稲ではなく、雑草を育てる場所となってしまっては収穫量にも影響が出てしまい、厄介この上ない存在です。

しかし、ただ「雑草」と認識していては、本質的な改善に策を打つことができません。

そこで、この除草した雑草たちの種類を調べてみることにしました。

雑草の種類を検証:大きく3種類

まず、優先的に除草し、そして、台車に載っている9割方の雑草がクサネム(草合歓:マメ科クサネム属)です。開花し、結実した後はマメ科植物らしく房の中に種を準備し、種が落ちるとそこから増えてくる植物です。

クサネムの枝の先端には、マメ科らしい房が見えます

また、太く堅い茎は収穫機械のコンバインを詰まらせる原因となるため、クサネムは徹底的に除草したいところです。

続いてはアメリカセンダングサ(亜米利加栴檀草:キク科センダングサ属)です。こちらは、近所の田んぼに侵入していたものを撮影しました。

田んぼの中に一際目立つ、背の高い植物が見えたら、このアメリカセンダングサでした。

大きく鮮やかな緑色の葉を繁らせるアメリカセンダングサ

キク科のこの植物は大きいもので全長150cmほどにも成長する上、根も広く張り巡らせるため、周囲の稲の根を巻き込んで除草してしまうこともあり、やはり厄介です。

続いて目立ったのが、ススキのような見た目をした雑草のイヌビエ(犬稗:イネ科)です。

群生しているイヌビエは近所の田んぼで撮影しました

イネ科植物のイヌビエは稲に擬態し、なかなか初期のうちには発見が難しい上、根を深く伸ばすため、除草も難しくなるという性質をしています。

以上一通り、我が家の田んぼに侵入する雑草を除草し、その生態を調べてきました。

ご近所では、収穫時期を迎えたにもかかわらずこれらの雑草に覆われ、全面が緑っぽくなっている田んぼも見られます。

ご近所の皆さんも長年米作りに取り組まれているはずがこうなるということは、雑草たちが除草剤に耐性をつけるなどより強くなってきているということかもしれません。

あるいは別の理由もあるのかもしれません。

稲刈り前に時間ができてしまい、別の作業を挟むことになりましたが、移り変わりゆく地域の米作りについて考える機会となったように思います。

さぁ、いよいよ稲刈りへ!雨の間、悶々と待つ時間はなかなか辛かったです。

気持ちよく晴れた日に、コンバインで田んぼに出てガンガン収穫していきたいですね!


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