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妹が、家に居ないでと言ったから⑦

バイクと車でツーリングをしようと目論んでいたのだった。
でもやめた。なぜか。暑すぎるからである。
 
なんだ38℃って。殺す気か。
いやわりと冗談じゃなくて、その気温でバイクはほんと拷問である。

灼熱地獄の真っ昼間に乗れば溶けてしまう。

帰ってきたら足しかないかもしれない。

最悪、バイクしか残ってないかもしれない。


そんなこんなで、車で行く予定だった友人に「やっぱ無理、隣に乗せて」と相成ったのである。

行く先は丹後。美山の予定だったのだけれど、それはバイクだからであって、車ならもっと遠くへ行ける。
それで、海を見に行こうとなったのだ。

目指すは舞鶴、琴引浜。
もう一人道連れを見つけて、3人での道中となった。

私がいつも見ているのは太平洋だから、日本海を見る機会はあまりない。
シーグラスが落ちていなくて、貝殻とかも少なくて、たまに日本語ではない漂流物が見つかる。私にとっては日本海のイメージはこんな感じだ。

なんてこった。

とってもきれいだ。そして穏やか。水ももっと冷たいかと思ったがそうでもない。少し藻が多いけど。

行った時間のせいかもしれないけれど、とってもきれい。
そして土曜日にも関わらず、結構空いていた。

見るだけのつもりで来たけど、これはっ。

泳ぐしかねえ。


ぬかりもねえ。

大自然に放てばそこいらの枝でも遊べる野生児、遊布野(姉)。

ダメでもともとと水着もちゃあんと持ってきてある。

そんな感じでほかの二人を差し置いて私だけダイブしたのであった。
そんな私の写真を撮りまくる2人。

まさかこんなところで海に入れるとは思ってなかった。

今年も和歌山には帰れない、海も川もぶどう狩りもお預けだと腹を括っていただけに、このサプライズは相当うれしかった。遊布野家では、ぶどう狩りと川遊びはセットなのだ。採ってきたぶどうを川遊びの合間に川で冷やして食べるのは至高である。

小学生の夏休みなんか、毎日のように海へ行った。午前と午後と2回行くこともざらだった。母はよく連れてきてくれたものだと思う。

ちなみに和歌山で海に入るときは、必ず砂浜ではなく岩場から入り、岩場から上がる。
 
そうすることで波に巻き上げられた砂を水着や髪の中に入れずに泳ぐことができる。あとごみとの遭遇率も下がる。
 
ただ今回は、岩の場所や形もわからない初めての場所だということと、一歩惜しくて度入りのゴーグルを忘れて目が見えないことで諦めて砂浜からダイブ。

海に来たらこれをやらなきゃ終われねえ、というのが水中での宙返り。
ぐるんぐるんと潜って遊ぶ。

ああ、夏だ、海だ。

嬉しいなあ。

心ゆくまで遊んで、波が急に高くなったころ、5時を知らせる夕焼けこやけのメロディが鳴り響いた。

楽しかった。

そして帰り道、峠をものすごいスピードで攻めた友人が連れて行ってくれたそこのてっぺん近くの林。景色を楽しむ2人をそっちのけに、今度は心ゆくまでセミ獲りをしたのだった。戦果はニイニイゼミ8匹、ミンミンゼミ2匹、ヒグラシ1匹(全部素手)。



野生児・遊布野は健在である。






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