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Paris Olympic観戦記⑥

おはようございます。

今日は朝から盛り上がっていてもれなく暑くなりそう。

フェンシング初観戦

昨日初めて、ここ最近着実に実績を残しているフェンシングの試合を観戦した。
種目は女子サーブル団体、3位決定戦。対戦相手はフェンシングを国技とする開催国フランス、会場はパリで最初の五輪が開催された1900年、パリ万博の主会場として建てられたグランパレ。観客の9割はもちろんフランス応援。
3人のフェンサーが総当たりで9試合、各5点積み上げていき最終的に先に45点選手した方が勝ちとなる。フランス勢は個人で金銀を取った選手を有し世界ランキング1位なのに対して、開会式で日本選手団の旗手を務めた女子サーブル個人世界ランキング1位の江村美咲が率いるランキング8位の日本チームは個人で皆3回戦までで敗退。
逆に考えれば、両国国技館でフランス人力士が迎える大一番みたいなもの(全然説得力無い…笑)。この前情報だけ聞いて、誰が日本が勝てると思うだろう。

でも、日本が勝ったのだ。こんなフランスが絶対的有利な状況で銅メダルを世界1位から勝ち取った。
しかも終始拮抗する試合をしながら後半リードを保ちつつ。世界選手権2連覇の江村美咲さんや国内では彼女のライバルである髙嶋理紗さんが金メダリスト、銀メダリストに食い下がり、大学生のスーパーサブの尾﨑世梨さんがフランスのサブからリードを奪う。調子が上がりきらない江村さんを高嶋さんと尾崎さんが支える形で終盤を迎え、3ptリードした形で最後9ラウンドは日本のエース江村さんとフランスはサブの選手との戦い。最終的にエースとしての底力を最後に発揮して、45−40と5pt差にリードを広げての勝利。準々決勝のハンガリー戦、準決勝のウクライナ戦で3人目のとして戦った福島史帆実さんと共に銅メダルを勝ち取った。
世界選手権2連覇で当然個人でメダル有力候補とされながら3回戦で敗退してメダルに手が届かなかったエース江村さんとしては、団体戦でその雪辱を見事に晴らし、日本女子としては、初のメダルとなった一昨日8/1のフルーレ団体の銅に続きサーブル団体での銅。完全に勢いに乗り切っている。

フェンシングがじわじわと強くなっているイメージがあったが、皆の記憶の始まりはおそらく、男子フルーレ個人の太田雄貴さんが08年北京五輪で銀メダルを獲得したのを皮切りに、男子フルーレ団体が12年ロンドンで銀メダル、記憶に新しい男子エペ団体が21年の東京で金メダル、そして今大会の同個人で加納が「個人初」の金を獲得したが、全て男子。完全に置き去りにされてきた女子の念願だったメダルがフェンシングの本場フランスで、団体で2種目で(ほぼ連日の)メダル奪取。
男子が取れているのに、的なプレッシャーも大きなものがあっただろうし、世界選手権2022・2023と2連覇しているともなれば自他共に江村さんにかかる重責が彼女の本来の力を出させなかったとしても不思議ではないのかもしれない。

フェンシングの競技の種類

一言にフェンシングと言っても、上で見てきたように3つの種目がある。それぞれに名前とルールを見ていこう。

エペ

  • 有効面:足の裏を含む全身。「突き」だけが有効

  • 優先権:なし

  • 剣の重さ:3種目の中で最も重くて硬く、重さ770g以下、長さ110cm以下、剣身90cm以下と定められている。

サーブル

  • 有効面:頭や腕を含む上半身。「突き・斬り」が有効

  • 優先権:あり剣の重さ:3種目の中で最も重くて硬く、重さ770g以下、長さ110cm以下、剣身90cm以下と定められている。

  • 剣の重さ:3種目の中で最も小型かつ柔軟性があり、重さ500g以下、長さ105cm以下、剣身88cm以下となっている。

フルーレ

  • 有効面:背中を含む胴体のみ。「突き」だけが有効

  • 優先権:あり

  • 剣の重さ:重さ500g以下、長さ110cm以下、剣身90cm以下の剣が利用される。

エペが一番シンプルで、サーブル・フルーレとなると有効面が狭まっていくのと同時に『優先権』なる聞きなれないルールがある。
この優先権とは、先に腕を伸ばして剣先を相手に向けた方がこの優先権を手にし、もう一方の選手は防御に回る。防御側は剣先を払うなどして攻撃を阻止することにより優先権を奪うことができる、というもの。
なので、お互いに踏み込んでほぼ同時にマークがついても最終的にこの優先権がどちらにあったかでポイントが決まる。(先に突いていても優先権がなければポイントは得られない。)

こうしたルールを学びながら見ていくと、間合いの詰め方や技の出し方など緊張感のある展開が続く。そしてあっという間に展開の流れが変わってくるので、見ている方も油断ができない。
日本の武士道と似て非なる西洋の騎士道を現在に伝える気品のあるスポーツ。今回日本のメダルをかけた試合をじっくり見ることができてとても興味深い経験でした。

上記の情報は以下のリンクを参考にしています。

https://olympics.com/ja/news/differences-disciplines-fencing-foil-epee-sabre

引き続き日本代表の活躍とフェアプレーと感動に満ちた後半になります様に。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。

皆様も、良い週末を。


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