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甲子園決勝戦:仙台育英 vs 慶應義塾

おはようございます。
今日は雲はあるのに朝から日差しが強く、また暑さがぶり返してきた感じ。
今日から台北に旅行だというのに昨日夜出してきたスーツケースの存在を忘れて思い切り蹴飛ばしてぶつけた左足薬指が朝からひどく痛い…。

昨日は今までになく盛り上がった甲子園の決勝戦。
盛り上がっていたのは世の中的になのか、個人的になのか、判断できないのはきっと自分の周りに慶應の人が多いから。大学時代に慶應の兄と慶應のチームで一緒にアイスホッケーをやっていた縁で慶應の友達が多く、横浜高校を破って横浜代表になった試合から慶応の同級生だらけのLINEのチャットでは中継が入ってくるくらい盛り上がっていた。
甲子園に行ってからは、ベスト8あたりから「おいおい」、「今日も勝ったの?」、「まさか?」的な盛り上がりを見せ始め、決勝戦に進んだ日には「チケットまだ取れるのか」「行くか?」的な声がFacebookに出始める。そして昨日、目についただけでも3人が「弾丸で甲子園行きます!」や「甲子園来ちゃいました!」との投稿があり、優勝の後には当然「やったね!」「おめでとう!」等のコメントが飛び交っていた。

OBの思い

慶應生がこんなに盛り上がる理由は単純に母校愛が強いだけではないようだ。
実際に昨日午後休を撮って弾丸で甲子園にいった先輩のポストからコメントを拝借させてもらえば「慶応はスポーツが弱い(かった)」から。他の高校がやっていないラクロスやアイスホッケーなどごく一部を除けば、全国大会はおろか神奈川予選で決勝に行ける種目はほぼ無し。外から早慶戦(慶応では慶早戦)と聞けば互いに勝ちつ勝たれつ盛り上がっている印象があるが、20年ほど前とはいえ高校に関して言えば勝てる競技もほぼなかったのだとか。
今回の甲子園決勝は、そんな彼らの高校生時代からのコンプレックスに近い負い目を癒し、自分の高校時代に得られなかった「仲間と肩を組んで母校を応援して勝利を掴むという輝かしい青春」を取り返す、そんな眩しすぎる舞台だったのだろう。
塾高生だけでなく大学出身者でさえも、初回の先制から「うそやん」、「やばい」、「どうしよう、勝っちゃいそうです」といつひっくり返されるのかと怯えながら応援コメントを送っているのを見るにつけ、スポーツでの活躍は慶應生の悲願だったようだ。

現地での応援

7校目の連覇か、107年振りの優勝か。
3486校の頂点を決める試合は、史上初の決勝戦先頭打者ホームランを丸田選手が叩き込み口火を切る。スポーツでの全国タイトルを欲して、というか渇望している塾高だけでなく慶応卒業生全員に夢の始まりを感じさせるには十分過ぎた。これにより、ただでさえ人数で勝る慶応の応援はより勢いを増し、仙台を圧倒。5回表の5得点も、フライを取りに行った仙台育英の外野選手二人の声がけが聞こえずぶつかって落球させたことでチャンスを広げた、とされている(仙台の須江監督はこれをやんわり否定しているが)。去年の王者で今年もその座を狙い後一勝と迫ったチームをも狂わせる応援。こんなにも試合に直接的に影響する応援は正直見たことがない。
仙台のピッチャーが去年の優勝投手高橋選手に代わってからのこの5得点が、仙台育英選手の心を折るのに十分だったかはわからないが、慶応の二人目のピッチャー小宅選手に落ち着いて投げさせるには十分だった様に思う。
応援のルールを把握せず、本来仙台育英の攻撃時には抑えるべき応援を抑えなかったと受けるべき批判も受け入れて、今後はよりフェアに強みとしていってほしい。

両校選手を見て思うこと

個人的に今までの甲子園と違うなと思ったのは、仙台育英で先発した湯田選手に代表される笑顔だ。甲子園にはまだ「ただひたすらまじめにスポーツに打ち込んで」いるイメージが残っていたけど、こんなに投げる前、打たれた後でさえもキャッチャーとコミュニケーションを取りながら白い歯を見せて笑うのは、ただただ清々しく気持ちがよかった。慶応などは「enjoy baseball」をチームの標語に掲げてここまで勝ち上がってきた。
そんな彼らを見て、くだらない「坊主 vs 長髪」議論は置いといて、選手の個性と自主性を尊重するチームが強い、もはややらされているチームでは勝ち上がれないことを証明した大会だった様に思う。(「坊主の方が野球に専念する覚悟にもなっていい」と高校生が言い切ってそうするのも十分尊敬に値する。)

くだらないと言えば、あまりに色が白くてプリンスと呼ばれている丸田選手を見て「しっかり日焼け止め塗ってるんだろうな」と余計なことを思いつつ、同時に大学時代の日焼け止めをしっかり塗りすぎたことで顔が白粉塗ったみたいになり「殿」ってあだ名がついた友人を思い出したのは、ここだけの話。

両校監督を見て

選手が「こうしたい」と思っても高校という枠組みでは完全に自由にはなり得ない。そして、成長途中の選手達をより高い視座で導く指導者が高校でのスポーツでは選手個人としてもチームとしても重要だ。
そんな中にあって、慶應の森林監督と仙台育英の須江監督はどちらも選手と互いに敬意を払い、そして「楽しく」野球をすることを最後まで貫かせて決勝まで勝ち上がらせた功績は大きい。慶應の大村選手がインタビューで「楽しんんだもん勝ちだと思って楽しみました」、「新しい歴史を創って」いると実感として語るのを聞き、選手にもしっかりそのコンセプトがしっかり共有され理解されていることが窺える。
お互いにさん付けで呼び合い、「仙台育英だから実力以上の力が出せた」、「負けたのが慶応さんでよかった」と認め合える関係性は彼らが今後も高校野球の軸になりそうな予感すら感じさせる。
個人的には、仙台須江監督の「2年間で頂点、そしてあと1つの悔しさ共に味わうことができた。人生は敗者復活です。この経験を次に生かします」というコメントで、SLUM DUNKの絶対王者山王高校の堂本監督が湘北に負けた選手達に投げかけた『「負けたことがある」というのがいつか大きな財産になる』という台詞を思い出した。
そして、「2年連続決勝の舞台に立てるなんて奇跡だと思いますし、金メダルと銀メダルを2つ持っているなんて、幸せな人生だなと思いますね。強かったです」とも。
サバサバしたように見える須江監督自身も、全然このまま負けっぱなしでいるつもりはなさそうだ。

おまけ:歴史

ちなみに105回大会なのに107年ぶりなのは、1941〜1945年は戦争で、そして直近では2020年はCovid-19で開催されなかったため。前回優勝は第2回大会らしい。前回優勝した1916年には甲子園はまだなく、高校野球の前身である全国中等学校優勝野球大会で慶応普通部が頂点についたのは大阪・豊中グラウンドが舞台だった(甲子園は来年が開場100周年)。

いろんな背景はあったものの、今回の試合は観るに足る素晴らしい試合だった。
両校の選手には御礼と共にお疲れ様と伝えたい(本当にこんな殺人的な暑さの中でよく頑張ったし、来年はもっと改善してあげて欲しい)。
この試合を見てより甲子園を目指す選手や子供も、増えたと思う。
高校生でありながら夢を与えられる彼らに叱咤激励されたおじさんでした。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。

皆様も、良い一日を。

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