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陶磁器35:日本の焼き物(佐賀県:伊万里焼)

おはようございます。
今日は晴れて朝から気温も高く午後気温が上がりそうな残暑を予感させる。

さて、日本各地の焼き物の名産地をピックアップしたところで、具体的に1つずつ見ていこう。
26回目の今日は、佐賀県の伊万里焼。

伊万里焼(磁器)

伊万里焼は、有田焼と共に佐賀県有田町周辺で作られている磁器。
薄く華奢な印象の伊万里焼・有田焼だが、どちらも陶石から作られた磁器のために耐久性に優れている。
伊万里焼・有田焼の特徴は、キメが細かくなめらかな手触り、透明感のある白磁に染め付け呉須の藍と鮮やかな赤の配色。元々伊万里焼と有田焼はほぼ同じもので、どちらも有田・三川内・波佐見で作られていましたが、出荷する駅や港の名前を使って有田焼・伊万里焼と呼ばれるようになった。
現在の三川内焼や波佐見焼ですら、有田焼や伊万里焼の名前で販売されていたこともあったほど。現在では有田で焼かれたものが有田焼、伊万里で焼かれたものが伊万里焼と呼ばれ、区別されている。ただし、古伊万里は伊万里で焼かれたものではなく、1650年(慶安3年)頃までに焼かれた焼き物を古伊万里と呼ぶ。

歴史

伊万里焼・有田焼の起源は江戸時代の1616年(元和2年)に遡る。鍋島直茂により朝鮮から渡ってきた李参平によって陶石が発見され、焼き物の歴史が始まった。日本で初めて磁器が焼かれた場所が、有田焼の産地・佐賀県有田町なのだ。
つまりこの有田が日本磁器の起源と言えるが、初期から1650年(慶安3年)頃までに作られた伊万里焼は白磁に藍色1色で模様を表したシンプルで厚みのある染付磁器で、これは当時の中国の技法ではなく朝鮮で主に用いられていた技法。
その後1640年代に中国人陶工によって技術革新が行われ有田で窯が増える中で、濁手の乳白色の生地に赤を主調として文様を描いた柿右衛門様式や金彩がはいる豪華絢爛な金襴手なども登場し、焼き物の全面に模様が描かれるようになる。それらは東インド会社を通じ、世界中に輸出されることになり、欧州の王侯貴族から絶賛を浴びることとなった。1870年(明治3年)にはワグネルの影響で石炭窯が作られ、原料がコバルトになった呉須もまたたく間に全国へ広がっていった。
白い素地に描かれた赤・黄・緑・青など、より豊富な色を使った美しい絵柄を持ち、耐久性に優れた有田焼は、現在も日用品として、そして美術品としても、愛用されている。
「古伊万里」、「伊万里」と分けて表現されるが、前者は江戸時代に佐賀県有田町やその周辺で制作された骨董価値の高いもので“オールドイマリ”として世界中に熱烈なコレクターがいる。 後者は明治以降に伊万里市で焼成された磁器を指す。

地理

伊万里焼は佐賀県伊万里市で作られており、日本海側から奥まった伊万里湾を有する伊万里市にある。さらに作陶で有名なエリアは、南に位置する有田市寄りの山間にあり、そのエリアで集中的に作られてきた。
現在は隣合った異なる地域ではあるが、長い歴史の中では他の地域からはほぼ同じものと認識されて、それぞれ日本最初の磁器生産地のしての有田の名を使ったり伊万里湾から出荷されることから伊万里焼と呼ばれたりして同じものが異なる名前で呼ばれることもあった。
伊万里市の作陶エリアには伊万里川が流れており、そこから伊万里湾まで流れ込んでいる。

作り方

  1. 成土 材料となる陶石を採掘し、泉山陶石か天草陶石のどちらかを選ぶ。選別された陶石は、機械で粉末にする。最初にクラッシャーである程度の大きさに砕いた後、スタンパーで粉末にして水の入った水槽に入れて水簸を行う。水簸により鉄分などの不純物を取り除いたら、余分な水分を抜いて陶土の出来上がり。

  2. 成形 成形にはろくろなどを使いますが、その前に土こねを行う。土こねの目的は、陶土の中にある空気を抜くことと水分や粒を均一にすること。陶土の中に空気やムラがあると、ヒビなどの原因になるからだ。なお、土こねは土もみとも呼ばれ、全ての陶芸で必須の工程。土こねが終わった陶土は機械ろくろや手ろくろ、型成形、鋳込みなどで成形を行う。

  3. 仕上・乾燥 成形ができたら、高台やつまみ、縁などの細かい部分を作り上げる。生地を急激に乾燥させるとヒズミなどの原因となるため、ゆっくり乾燥させる。

  4. 素焼 しっかり乾燥させたものは約850~950度で焼成する。素焼きの場合も、温度を急激にあげることはせず、徐々に温度を上げることで破損を防ぐ。冷やす場合も同様で、徐々に冷やして破損を防いでいる。

  5. 下絵付 素焼きが終わってから施釉を行う前に下絵付を行う。下絵付でよく使われる顔料は、酸化コバルトを主成分する染め付け呉須。伊万里焼・有田焼の美しい藍色は、この染め付け呉須により表現されている。なお、濃淡の調整は顔料の違いではなく、水によるもの。緻密で繊細なデザインにする場合は下絵付の段階で線引きや染め付けダミを行うことも。

  6. 施釉 下絵付完了後、薄く均一に釉薬をかける工程を施釉と呼ぶ。釉薬の焼成することでガラス質になるという性質を活かし、焼き物を強化する、表面を滑らかにする、美しい光沢を出す、汚れを防ぐという目的で行われる工程。高台部分についた釉薬をふき取ったら、しっかり乾燥させる。

  7. 本焼成 釉薬が乾いたら1300度程度の高温で16時間ほどかけて焼き上げる。上絵付を必要としない作品の場合は、本焼成が終われば完成。

  8. 上絵付 本焼成が終わった焼き物にさらに絵付けを行うことを上絵付と呼ぶ。伊万里焼・有田焼特有の赤絵を付けるのもこの段階。上絵付に使う顔料は温度の制約を受けるため、上絵付後に行う上絵窯の焼成温度は700~800度程度とやや低めの温度になる。さらに金箔や銀箔を使った金彩・銀彩を施す場合は、上絵窯の後にもう1工程必要となる。錦窯または、金窯と呼ばれる工程で、金彩・銀彩の後に施釉を行い、400度程度の低温で焼成して完成となる。



*上記の情報は以下のリンクからまとめています。

https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/tokonameyaki/



僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

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