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漆12:漆器の作り方(加飾編)

おはようございます。
今日もどんよりとした曇り空、さらには10℃と朝から結構冷え込んでいる。でもニットが切れるので、寒すぎないこれ位の気温が実は好き笑

さて、今日は漆器を作る「素地作り」「塗り」「加飾」の3つの工程の最後の仕上げ、「加飾」を見ていこう。

漆絵

塗面に色漆で絵を描く技法で、加飾のなかでも古くから用いられている、最も基本的な技法。

蒔絵

金粉等を蒔いて文様を表すことが「蒔絵」といわれる由縁で、日本で独自に発達した代表的な技法。蒔絵には文様を表す蒔絵と、梨地といったベースとなる地文をつくるものとがある。 文様を表す蒔絵の場合、細い筆を使って塗面に漆で絵を描き、その上から金の粉を粉筒という道具で蒔きつけて模様を表していく。
平蒔絵、研出蒔絵、高蒔絵といった技法がある。

平蒔絵

塗面に漆で文様を描き、その上に金・銀などの粉を蒔きつけ、漆で粉固めしたのち、文様を磨き上げる。
蒔絵の中で、もっとも基本的な技法は「平蒔絵」という技法で「消し平蒔絵」と「磨き平蒔絵」がある。

「消し平蒔絵」…漆を使って出来る限り薄く絵を描き、その上に「消し金粉」と呼ばれる金粉を粉筒または真綿に付けて蒔く。漆が乾いたら、摺り漆(金粉の上から灯油で希釈した透漆を施すこと)をし、再度乾かすことで金粉がしっかり付着。漆が乾いたところで完成となる。
「磨き平蒔絵」…消し金粉より粒子の粗い金粉を蒔く。その後は「消し平蒔絵」と同じ手順だが、最後に漆が乾いた後金粉の上からさらに磨き作業を行い、完成となる。これにより、「消し平蒔絵」に比べてより光沢のある蒔絵になる。

研出蒔絵

平蒔絵同様、塗面に漆で文様を描きその上に金・銀などの粉を蒔きつけて粉固めをした後、蒔絵が乾いた後に最終の上塗りをする。上塗りが乾きましたら漆を研いで漆の下の金粉を出していく。
研出蒔絵は平蒔絵のような直接の光り方をせず落ち着いた光を放つので、最後の研ぎの工程により、金粉をどれだけ美しく出せるかが職人の腕の見せ所となる。

高蒔絵

蒔絵を盛り上げて描く技法で、文様の部分を漆、錆漆、銀紛、炭粉などで盛り上げ高さを出し(それぞれ漆上げ、炭粉上げなどと呼ばれる)、その上に金、銀などの粉を蒔き固めて磨き上げます。 一般的に使われる商品には「漆上げ」されたものが多く、かなりの時間と労力がいる作業になるため、「炭粉上げ」「焼錫粉上げ」「錆上げ」されたものは博物館や美術館に展示される美術品に見られる。

平文

「ひょうもん」や平脱(へいだつ)とも言われ、金や銀などの金属を伸ばして薄板を作り、文様の形に切って塗面に貼り付け、漆を塗り込む。

螺鈿

夜光貝やアワビ、蝶貝などの殻の真珠層の部分を削って薄い板状にし、文様の形に切って、塗面に貼ったりはめ込んだりする技法。「螺」は螺旋状の殻を持つ貝類のことであり、「鈿」は金属や貝による飾りを意味している。螺鈿の起源は近東に起こり、のち中国に入り唐時代には精巧な技術に発展し、日本に渡ってきたと考えられている。
個人的に一番好きで、以前にもご紹介した池田晃将さんはこの最右翼と言えよう。

卵殻

漆で模様を描いた上に、細かくしたウズラなどの卵殻を貼り、漆を塗り込み研ぎ出す技法。色漆では難しい鮮やかな白色を表現することができる。

沈金

漆の塗面に沈金刀で文様を彫り、その彫られた文様の刻み部分に金箔や金粉を擦り込んでいく繊細な表現に優れた技法。輪島で特に盛んに使われている技法。

蒟醤

蒟醤(きんま)用の剣と呼ばれる特殊な刃物で塗面に文様を彫り、そこに(沈金の様に金ではなく)色漆を埋め込んで、砥ぎつける技法。日本では高松、中国の古代漆器の線刻技法が東南アジアに伝播し、タイ・ミャンマーの漆器の加飾技法として定着している。

彫漆

完成を考えながら異なる色の色漆を何層にも塗り重ねて塗面をつくり、そこに彫刻刀で文様を掘り出していく。黒漆は百回塗り重ねてやっと厚さが3ミリ、朱漆を塗り重ねて彫ったものを堆朱、黒漆を塗り重ねて彫ったものを堆黒という。立体感のある彫りと通常の漆にはない鮮やかな色漆の層の色彩が美しい装飾。800年ほど前に中国から伝わった技法。


*上記の情報は以下のリンクからまとめています。

こうして、木の塊だったものをまず美しい形に掘り出す技術、そしてその美しい形を維持して強度を高めるために漆を塗り磨く。これだけでも十分美しいのに、さらにその表面を表現のキャンバスとして塗り重ねたり彫ったり埋めたりしながら美しい模様やデザインを描き上げ上塗りで閉じ込めていく。
それぞれの職人たちが失敗が許されない中で、前後の職人たちの信頼関係で作品を作り上げていくことを考えると、この分業制は専門家として効率的な技術の向上の手段という以上に繋がりという面で優れた仕組みだと言えよう。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

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