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池田晃将【アート】

おはようございます。
今日は晴れ渡る中空気がすっきりして涼しい秋の空気感。秋分の日を境にほんとに秋に切り替わった感じ。

今日は、先週の金曜日から渋谷で始まった池田晃将さんの個展にお邪魔してきました。

みなさんは螺鈿と聞いてどんな作品を想像されるだろうか。
一面を全く淀みなく塗り上げられた漆に真珠色の光を放つ貝の殻の内側を薄く細かく様々な形に切って、表面にはめこんで装飾とした、極めて伝統的な作品をイメージするのではないだろうか。
池田さんの作品は、そのいわゆる螺鈿の印象を根底からひっくり返す、伝統工芸の技術を用いてフューチャリスティックに新たな世界観を確立させた独自のジャンルのアート作品。
言葉で説明するよりは作品を(実物の100分の1も魅力を伝えられない拙い僕が撮ったもので恐縮だけど)写真で見てもらった方が良いだろう。

角を面取りして斜めに立ち上がる立方体の飾箱
形もさる事ながら色のグラデーションも美しい香合
同心円の層を緻密に重ねる内側の仕上げも美しい香合

正直見慣れてもやはり異次元感が尋常じゃない。
オーパーツや未来の扉を開く鍵か何かと言われても納得できるそのビジュアル。それでいて抹茶を入れておく棗や香料や香木を保存したり持ち運ぶ香合など、茶道で使われる茶道具としての機能性を必ず持ち合わせている。オブジェとして美しいのではなくて、使う道具として粛然としてただ美しいのだ。
これらの作品は薄く剥がした貝殻の真珠層からレーザーで細かい数字を切り出し、その小さく切り出した数字を無限とも思える漆の上を埋め尽くすように乗せていき、最後にただでさえ薄く力加減を間違えれば真珠層を削ってしまいかねない表面を丁寧に平らになるように磨いて完成する。

今回池田さんにお話を伺って面白かったのは、螺鈿には使える色は限られる、ということ。ベースとなる漆は基本は黒か朱、その上に乗せるものは真珠層と金のみなのだ。そう言われて初めて気が付く程に、池田さんの作品は真珠層の色合いを細やかに使い分けることで色鮮やかな彩りに満ちている。
そして、もう1つはどれを取ってもアートピースとしか思えない作品でもあっても「やはり道具として使ってもらえたら嬉しい」と仰っていたこと。苺乳茶盌を譲っていただいた星野友幸さんも「飾るだけじゃなく是非これでお茶を楽しんでくださいね」って仰っていたのと重なる。ただ美しいものを作るのではなくで、あくまで「道具」のクオリティを自分の表現方法で極限まで高めていくアーティストというよりは職人としての矜持を感じさせられた。
そんな池田さんのInstagramは以下の通り。

https://www.instagram.com/terumasaikeda/

渋谷での展示は10/1(日)までやっているので、是非とも気になった方は実物を見てみることをお勧めする。美術館ではなくギャラリーでの個展開催は、無料で作品を文字通り目の前で見ることができるのでおすすめ。

「近未来」と作品を表現した時に「これが当たり前と思える人や世代が出てくるのを楽しみにしている」と仰っていた池田さん。今まで固定化されていた螺鈿の世界観を一眼でわかる形で変えてみせたご本人の尽きることのない野心と次世代への様々な可能性を感じさせてくださった。
池田さんはもちろん、人間のCreativityの果てない可能性に期待しかない、本当に楽しみだ。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。

皆様も、良い一日を。

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