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漆14:漆器の取り扱い方

おはようございます。
今日も快晴、週末にはこうあってもらいたい、と思うほどの気持ち良い朝。

さて、今日は丹精込めて作られて、抗菌効果はじめメリット目白押しの漆器を、どうすればより長くより美しく使えるのか、日頃使っていく上で気をつけたい点をまとめてみよう。

漆器に対するイメージが「漆器は弱くて繊細なもの」、言い方を変えれば「面倒なもの」と思われている方も多いかもしれない。かくいう僕も調べるまで、なんとなくそういう類のものと思っていたから、素材としては面白そうだけど、好きな色もないしと思って距離を置いていた。
しかし見てきた様に、漆は自然界に存在する最強の塗料であり、木製は焼き物やガラスと違って落としても割れない素材であり、 永年使って剥げたり欠けたりしても修理ができるという漆器特有の「強さ」がある。

特別なケアは不要

こうした強みを持った漆器だからこそ、基本的に普段使われている食器とほとんど変わらず日常遣いが出来る。
ただ、より美しくより長く使うためにコツがいくつかあるので見ていきたい。

使う前に匂いをとる(万一必要なら)

買ったばかりの漆器には、独特のにおいがあることも(僕は3ヶ所で購入したけれど1つもそういったことはなかった)。
この場合は、すぐに使わないのであれば風通しのいい場所に7~10日間置いておくのがベスト。
その他、米のとぎ汁を温めて少量のお酢を混ぜたもので拭いたり、米びつに数日間入れておくことでも匂いが取れる。

湯通しする

漆器は急激な温度変化には弱いので、急に熱いものを入れると白く変色したり、変形することがある。これを防ぐために、使う前に一度ぬるま湯に入れて「湯通し」すると良いだろう。

NGな家電

「素地が木製」「塗りが天然漆」の伝統的な漆器は、比較的新しい家電の使用は想定されておらず、「長時間の冷蔵庫での利用」「電子レンジやオーブンの使用」を禁止している。それぞれ理由を見てみよう。
冷蔵庫は、食品にラップをかけないと乾燥してしまう様に、一般的に湿度が低い。このような乾燥状態に漆器を長く置くと、素地の木製部分が変化し、ヒビが入ったり、形状に歪みができたりする可能性がある。
一方電子レンジは、食品内部の分子に電磁波の持つエネルギーを与えて加熱するしくみ。ガラスや陶器は電磁波が透過しますが、漆器は塗り面や木製部分に反応して電磁波が透過しない。漆器を電子レンジにかけると、塗り面や木製部分が食品と同様に熱くなるだけでなく、蒔絵や沈金など金属粉を使ったものは火花が生じるので危険だ。
オーブンも、漆は極度の高温だと変色変形しやすく、木製部分は燃えやすいので使用できない。
食洗機でも洗剤が強すぎたり、乾燥させる際に高温になったりすることもあるので使用しない方が良いだろう。

金属カトラリーは避けた方が無難

お椀やお重ではあまりないケースだが、お皿になっているものにナイフとフォークを使うとそこから表面の凹み、最悪漆の剥がれ・木地の露出につながりそこから水分が入ってしまうため、覆い直す修理が必要となる。お箸であればそういったリスクはほぼないので安心だ。

洗い方 

上にも通じるが金物たわしなど固いものでゴシゴシこすると表面に傷がつくので、柔らかいスポンジで洗う。ほとんどの汚れはぬるま湯でとれるし、油汚れは食器用の中性洗剤を使って落とすことができる。
長時間のつけ置きは注意が必要。特に洗う前に既に傷がある漆器は注意が必要で、漆が剥がれるほどの深い傷の場合、傷部分から水がしみこんで素地の木を変形させその力で傷のまわりの漆をさらに剥がす恐れがある。傷がついたら、早めの修理をおすすめする。

洗い終わったら、自然に乾かすよりも布巾で拭くほうが漆が長持ちします。洗った後は柔らかい布で水気を拭き取り、さらに磨くと独特のツヤが出ます。

艶がなくなったら

少量の食用油を布にしみこませて磨くことで艶が復活する。磨いた後はお湯で洗い流し、水分をふきとって保管しよう。

保管時の注意点

天然素材の漆塗りの塗膜は人のお肌同様に紫外線は弱く、変色や艶がなくなるなど劣化の原因となるので、直射日光の当たらない食器棚に収納したい。
重ねて収納して傷や衝撃が気になる場合は、漆器と漆器の間に布や紙などを挟む。
漆器は極端な乾燥を嫌がるので、長く使わない場合は(シルバー製品のように)、食器棚に少し水の入ったコップなどを置いて乾燥しない様にすると良い。

ただ、ずっとしまっておくよりも日々の生活の中で使えば、乾燥も免れ、漆器にとっても良い状態が維持されることになり、やはりせっかく買った漆器は日々使うことが最も適した保管方法ともいえる(裏返せば、毎日使いそうなものから始めるのが良い)。


*上記の情報は以下のリンクからまとめています。

漆器は、極度に乾燥・高温状態に置かず、長時間水につけず、傷つけない、というこれらの点さえ押さえておけば他の食器と比べてもなんの気遣いもいらない。そして、毎日使うことが漆器にとって良い環境ともなるので、まずは使いやすいお椀(汁物だけでなくお茶碗代わりにも使えるので使い勝手は最高)もしくはお箸辺りから始めれば、結果的に軽さや丈夫さも実感できる。また、美しい塗りも楽しめて、毎日のご飯もより一層盛り上がり美味しく満ち足りた気持ちでいただけますよ。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い週末を。

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