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紅茶に塩

おはようございます。
今朝は今は気温が低いものの、この後から暖かくなるようで柔らかな日差しと共にさわやかな朝。

今日はここのところの飲み物繋がりで、イギリスとアメリカで大きく論争になったニュースに関して触れておきたい。

紅茶にひとつまみの塩をいれる

こう聞いて皆さんはどう思うだろうか。
砂糖ではなく塩を入れると聞くと違和感を感じられる日本人も多いと思うが、これを提唱したのはアメリカ・ペンシルヴェニア州のブリンマー・カレッジ化学教授ミシェル・フランクル教授。ご本人もイギリスに行って紅茶を飲むのが大好きと公言する大の紅茶好きで(だからこそアメリカでより良い一杯を目指して研究していたわけだけど)、彼女の主張はこうだ

  • 塩には、紅茶の苦みを感じさせる受容体をブロックする働きがある。

  • 味を感じない程度のほんのひとつまみの塩で、飲み物の苦味を中和できる。

  • 砂糖を加えるのとは違い、塩の味はしないので、まずは試して欲しい

ただ、あまりにセンセーショナルな研究発表にすぐさま反応したのは、紅茶の国イギリスだ。毎日推定1億杯分の紅茶が消費されているこの国では、BBCでもニュースとして取り上げられて物議を醸し、在英アメリカ大使館が「この飲み方はアメリカの公式政策では決してありません。そのことを、イギリスの善良な人々に確約したい」とSNSで異例のコメントを出したほど。
もちろん、伝統を重んじるイギリス人からは大きな反発を受けたのはいうまでもない。

もう一つの波紋

フランクル教授の主張はこの塩だけでなく、レモンも入れるとアクが取れること、紅茶が冷めないようにマグを温めておくこと、決してレンジで温めたお湯を使わないことも含まれていた。
レモンはまだ納得できる部分もあるかもしれないが、マグはいかにもアメリカ的だしそれ以上にイギリス人を驚かせたのはレンジでお湯を作ること。昨今マイクロウェーブの人体への影響が問題視される中で「健康にもよくないし、紅茶の表面に抗酸化物質が含まれたあくができてしまい味も良くないので」というのが教授の主張だった。
日本でもお湯を作るために水をレンジに入れることは少ない様に思われるが、アメリカ人にとってはかなり一般的な方法(僕も高校の時にホームステイ先でこうやってお湯を作っているのに斬新さを覚えた)。その証拠に、先のアメリカ大使館の発信でその声明で「アメリカ大使館は、紅茶を電子レンジで温めていれるという正しい方法をこれからも続けていく」と締めくくっている。
これを受けて、日本同様お湯はポットなりで温めるのが当たり前のイギリス内閣府はSNSで「紅茶はやかんを使わないといれられない」と反論し、在ワシントンのイギリス大使館も紅茶のいれ方に関する動画を投稿してアメリカ側をけん制するなどジョークを交えながら応酬が続いた。

歴史の中で見てきたけれど、ボストン茶会事件(1773年)が独立の引き金になった背景もある両国において、紅茶に関するコメントはセンシティブにならざるを得ないのかもしれない。

文化の違い

以前にもアメリカ人シェフが斬新なカルボナーラを作ったら、遠く離れたイタリアで「イタリア文化への冒涜だ」と炎上したという話をした。構図は似ているが、今回の紅茶の件はちょっとそれとは違うと思う。
なぜなら、フランクル教授自身が売名目的ではなく、この事態が起きて一番びっくりしているようだからだ。そして、彼女の釈明の中からは彼女自身が美味しい紅茶をアメリカで飲めないことを嘆いている。同じくアメリカで美味しい紅茶を飲みたいと苦慮している同胞へのアドバイス(だからこそレンジでお湯を沸かさないでねと言っているはず)が、情報が一日で世界を駆け巡るこの時代に何のフィルターもなく思いもよらない人たち(イギリス人)に届いてしまったから起きてしまった、不幸な事件だと言えるだろう。
郷に入っては郷に従えという通り、「異なる文化や生活に立ち入る時は気を遣う必要がありそうですね」という学びと「自分たちと違うものがある」ということを受け入れられるようにありたいねという再確認になるニュースでした。

ちなみに(エリアにも依るだろうが一般的に)アメリカもイギリスも硬水なのに対して日本は軟水なので、研究で触れられている苦味を感じることは元々少ない。僕が実際に試してみてもあまり違いは感じられなかった(そもそも水出し紅茶だからベースごと違うし塩がなかなか溶けなかった…)けれど、興味がある人はぜひ試してみてほしい。

今日も美味しいお茶時間を。

*上記の情報は以下のリンクからまとめています。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

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